最終戦カタール大会が、10月28日(金)〜30日(日)の3日間、ドーハ郊外のロサイル・インターナショナル・サーキットで開催されました。カタール大会は2005年に初めて開催され、09年まで続きました。その後、4年間はカレンダーから外れましたが、14年に復帰。以来、MotoGP同様、ナイトセッション、ナイトレースで行われています。
ニッキー・ヘイデン
ニッキー・ヘイデン
最終戦を迎えたニッキー・ヘイデン(Honda World Superbike Team)は、前戦スペイン大会のあと、ロードレース世界選手権(WGP)第16戦オーストラリアGPの開催地へ移動。ケガのため欠場したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)の代役として、出場するためでした。そして、代役参戦を果たしたあと、カタール大会を迎えるというハードスケジュールとなりました。
ニッキー・ヘイデン
ニッキー・ヘイデン
それでも、8年ぶりにRepsol Honda Teamの一員としてオーストラリアGPに出場し、予選、決勝と好走をみせたヘイデンは、カタール大会でもモチベーションを高く保ち、気合満点の走りを披露しました。初日のフリー走行は移動の疲れ、マシンの乗り換えの影響か8番手でしたが、2日目のフリー走行で6番手、そして予選では2番手タイムをマークして、今季2度目のフロントローを獲得。第10戦ドイツ大会の3番グリッドを上回る、今季のベストグリッドから決勝に挑むことになりました。
ニッキー・ヘイデン
マイケル・ファン・デル・マーク
勢いそのままに迎えたレース1では、序盤にチャズ・デイビス(ドゥカティ)、ジョナサン・レイ(カワサキ)とともにトップグループに加わり、その後は、シルバン・ギュントーリ(ヤマハ)、トム・サイクス(カワサキ)と3番手争いのグループを形成。今季5度目の表彰台が期待されましたが、タイヤの消耗に苦しみ、僅差の5位でした。
あと一歩で表彰台を逃したヘイデンは、雪辱に挑んだレース2では、ウォームアップで不調となったエンジンを交換。規定数を超えたことから、ピットスタートのペナルティーとなり、最後尾から追い上げることになりました。このレースは、エンジンブローしたマシンによる火災が発生したため、7周を終えた時点で赤旗中断。このときヘイデンは15番手まで追い上げていました。そして、再開した10周のレースで15番グリッドから猛列に追い上げると7位でフィニッシュ。ポイントランキングは5位でシーズを終えました。
マイケル・ファン・デル・マーク
マイケル・ファン・デル・マーク
チームメートのマイケル・ファン・デル・マークは、レースウイークを通じて、コンディションの変化とマイナートラブルに苦戦。思うような結果を残せませんでした。予選は路面とタイヤのマッチングに苦み9番手、決勝レースも9位と11位という結果でした。
ファン・デル・マークは、2014年にスーパースポーツ世界選手権でタイトルを獲得。15年からスーパーバイク世界選手権に参戦しました。また、鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2度の優勝を果たしました。来季はライバルチームに移籍、今大会がHondaでの最後のレースになるため、ベストリザルトを目指していました。今季は6度の表彰台に立ち、総合4位でシーズンを終えました。
マイケル・ファン・デル・マーク
マイケル・ファン・デル・マーク
今大会が第12戦となるスーパースポーツ世界選手権は、前戦スペイン大会で3位表彰台に立ったカイル・スミス(CIA Landlords Insurance Honda)が今大会も好調で、予選5番手から今季2勝目を達成しました。
オープニングラップは、アイルトン・バドヴィーニ(Gemar Balloons - Team Lorini)、ランディ・クルメンナッハ(カワサキ)、ジュール・クルーゼル(MVアグスタ)に続いて4番手でしたが、2周目にトップに浮上すると、中盤まではクルーゼルと何度も首位の座を奪い合いました。やがて、積極的に前に出るスミスはクルーゼルを突き放し、代わって追い上げてきたケナン・ソフォーグル(カワサキ)とのバトルに。そして最終ラップまで接近戦を繰り広げました。
パトリック・ジェイコブセン
パトリック・ジェイコブセン
最終的に0.006秒差で抑えきり、スミスは第4戦オランダ大会以来となる2勝目を達成。ランキング5位でシーズンを締めくくりました。
以下、予選9番手から決勝に挑んだパトリック・ジェイコブセン(Honda World Supersport Team)が4位でランキング4位、バドヴィーニが6位でランキングでも6位。大久保光(CIA Landlords Insurance Honda)は、予選17番手から13位でフィニッシュ。デビューシーズンにして6大会でポイントを獲得し、ランキング21位でシーズンを終えました。
パトリック・ジェイコブセン
パトリック・ジェイコブセン
カイル・スミス(スーパースポーツ 優勝)
「レースウイークを通してペースはよかったです。昨年もここで優勝し、ファステストのラップタイムも出しました。そのため、このサーキットと相性がとてもいいことは分かっていました。ここ数戦、マシンのフィーリングも自信も、かなり上がっていました。いい走りができると分かっていて、それだけにグリッドではナーバスになっていました。その上、ケナン(ソフォーグル)や(ジュール)クルーゼル、(パトリック)ジェイコブセンたちに勝つのは簡単なことではありませんでした。できる限りプッシュして、一切ミスをしないようにする必要がありました。とにかく集中して、少しギャップを作りましたが、ケナンに追いつかれました。最終ラップは一生懸命走って最終コーナーでアタック。わずかなマージンで勝ちました。優勝できてとてもうれしいです。チームに感謝したいです」
パトリック・ジェイコブセン(スーパースポーツ 4位)
「今日はベストを尽くしました。チームはとてもいい仕事をしてくれました。4位は最大限の努力をした結果です。最初はトップグループについていこうとしましたが、そこまでのペースがありませんでした。もしくは思うようにプッシュできるほどの感触がなかったです。チャンピオンシップで2位になれず残念ですが、チームやHonda、このような機会を与えてくれたすべての人たちと、彼らの仕事に感謝したいです」
大久保光(スーパースポーツ 13位)
「13位でした。今年は納得できるレースがシーズンを通じてできず、悔しい結果に終わりました。しかし、いろいろ学ぶことも多く、来年はそれを生かしたいです。とにかく、来年に向けてたくさんの課題ができました。それを一つひとつ克服していきたいです。チームのスタッフとHondaを始めとする応援してくれたスポンサー、そしていつも応援してくださるファンの皆さまに感謝したいです。来年も応援よろしくお願いします。本当にありがとうございました」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 17 | 33'32.214 |
2 | 1 | J.レイ | カワサキ | 17 | +3.904 |
3 | 50 | S.ギュントーリ | ヤマハ | 17 | +10.498 |
4 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 17 | +12.606 |
5 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 17 | +12.766 |
6 | 12 | X.フォレス | ドゥカティ | 17 | +17.879 |
9 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 17 | +20.882 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 10 | 19'38.203 |
2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 10 | +5.855 |
3 | 1 | J.レイ | カワサキ | 10 | +6.376 |
4 | 50 | S.ギュントーリ | ヤマハ | 10 | +8.493 |
5 | 91 | L.ハスラム | カワサキ | 10 | +11.862 |
6 | 81 | J.トーレス | BMW | 10 | +12.232 |
7 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 10 | +13.599 |
11 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 10 | +15.169 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 15 | 30'51.533 |
2 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 15 | +0.006 |
3 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 15 | +2.164 |
4 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 15 | +7.519 |
5 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 15 | +8.843 |
6 | 86 | アイルトン・バドヴィーニ | ![]() | 15 | +9.324 |
8 | 71 | クリストファー・ベルグマン | ![]() | 15 | +18.278 |
13 | 78 | 大久保光 | ![]() | 15 | +38.781 |
16 | 35 | ステファン・ヒル | ![]() | 15 | +48.742 |
RT | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 14 | +1Lap |
RT | 80 | ハビエル・ピンサチュ | ![]() | 0 | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 498 |
- | 2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 447 |
- | 3 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 445 |
- | 4 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 267 |
- | 5 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 248 |
▲ | 6 | 81 | J.トーレス | BMW | 213 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 582 |
- | 2 | ドゥカティ | 517 |
- | 3 | ![]() | 342 |
- | 4 | BMW | 234 |
- | 5 | ヤマハ | 225 |
- | 6 | アプリリア | 194 |
- | 7 | MVアグスタ | 168 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 216 |
▲ | 2 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 142 |
▼ | 3 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 140 |
- | 4 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 135 |
- | 5 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 125 |
▲ | 6 | 86 | アイルトン・バドヴィーニ | ![]() | 86 |
▼ | 9 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 75 |
- | 20 | 71 | クリストファー・ベルグマン | ![]() | 30 |
▲ | 21 | 78 | 大久保光 | ![]() | 19 |
▼ | 22 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 17 |
▼ | 28 | 68 | グレン・スコット | ![]() | 7 |
▼ | 29 | 80 | ハビエル・ピンサチュ | ![]() | 6 |
▼ | 36 | 48 | アレックス・フィリス | ![]() | 2 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 264 |
- | 2 | ![]() | 221 |
- | 3 | MVアグスタ | 203 |
- | 4 | ヤマハ | 92 |
- | 5 | トライアンフ | 33 |
- | 6 | スズキ | 5 |
ニッキー・ヘイデン(スーパーバイク 5位/7位)
レース1コメント
「スーパーポールセッションでは、とてもいいラップタイムを出せました。とてもうれしいです。そして、いいスタートを切れて、序盤は(チャズ)デイビスや(ジョナサン)レイについていこうとがんばりました。しかし、そこまでのペースはなく、3番手を争うことになりました。次第にタイヤが消耗し、残念ながら5位でフィニッシュ。この結果にはあまり満足していませんが、いいデータがあるので、明日はもっといい結果を出したいです」
レース2コメント
「レース2は、昨日よりも難しい一日になりました。昨日のレース終盤、少し問題が出ていたのですが、それはマシンを少し調整したためだと思っていました。しかし、ウォームアップが始まってすぐに問題が明らかになり、エンジンを換えることになりました。そのためレース2は、ルールで決められた通り、ピットレーンからのスタートになり、最後尾から追い上げました。ポジションを上げていったところ、幸い赤旗中断となり、15番グリッドから10ラップのレースに挑み、7位でフィニッシュしました。ピットレーンからスタートしてのこの結果は、もちろん悪くありません。最終ラップでもポジションをいくつか上げられてよかったです。簡単な日ではありませんでしたが、なんとか生き残りました。チームやすべてのクルー、スポンサー、そして僕を支えてくれたすべての人に感謝しています。来年が今から楽しみです」
マイケル・ファン・デル・マーク(スーパーバイク 9位/11位)
レース1コメント
「FP3ではあまりいいインフォメーションを得られませんでした。太陽が出ていて、夜との気温差が非常に大きかったからです。スーパーポール1では、序盤にミスをしてしまいましたが、最後にとてもいいアタックができて、なんとかスーパーポール2へ進めました。ただ、予選タイヤの感触が思ったよりよくなく、9番グリッドとなりました。レースタイヤでのペースには満足していますが、スタートでかなりポジションを落としてしまい、追い上げるのに苦労しました。本当に残念です」
レース2コメント
「レース2は、とてもいいスタートが切れましたが、1コーナーで後ろから当てられ危ない瞬間がありました。そのためまた後方に下がってしまい、苦戦しました。赤旗後はマシンのセットアップを少し変えて、逃げきれるようにしました。でも、新品タイヤでいいグリップをつかむのに苦戦しました。かなり前進できたと思っていただけに、とてもフラストレーションがたまりました。とにかく、今日はあまりうまくいきませんでした。もちろんもっといい結果でHondaとの仕事を終えたかったです。チャンピオンシップで4位になれたことはすばらしいです。一生懸命がんばってくれたみんなに感謝しています。今年の仕事にはとても満足しています」