第8戦イタリア・リミニ大会が、6月17日(金)から19日(日)までの3日間、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催されました。ミサノ・サーキットでスーパーバイク世界選手権が初めて開催されたのは1991年のことでした。以来、シーズン中盤戦の大会として定着しています。
2007年にはサーキットが大幅に改修され、それまでの左回りが右回りに変更されました。現在は1周4.226km。右コーナー6、左コーナー10。最大ストレートは510mとそれほど長くはありませんが、バリエーション豊かなコーナーが連続し、リズム感あふれるサーキットです。
マイケル・ファン・デル・マーク
マイケル・ファン・デル・マーク(#60)
今年も3日間を通して天候に恵まれ、絶好のコンディションの中で行われました。前戦イギリス大会を終えて、ミサノ・サーキットで事前テストを行っているHonda World Superbike Teamは、そのデータを生かし、順調なスタートを切りました。
初日はニッキー・ヘイデン(Honda World Superbike Team)がトップタイムをマーク。2日目の予選では接戦の中で6番手と、今季2度目の2列目グリッドを獲得しました。チームメートのファン・デル・マークは、テストのときとは異なる路面のフィーリングに戸惑い、接戦の中で10番グリッドとなりましたが、その差は小さく、決勝に向けて闘志をかきたてていました。
マイケル・ファン・デル・マーク
ニッキー・ヘイデン
第1レースは、カワサキ勢の2人が好走を見せます。その後方でし烈な3位争いに加わったファン・デル・マークは、チームメートのヘイデン、そしてダビデ・ジュリアーノ(ドゥカティ)が転倒する激しい戦いをしっかり走り抜き、チャズ・デイビス(ドゥカティ)の追撃を振りきって3位でフィニッシュしました。4戦ぶりの表彰台を獲得し、今季5度目の表彰台に立ったファン・デル・マーク。シーズン序盤の勢いを取り戻し、満面の笑みを浮かべていました。
翌日に行われた第2レースでもファン・デル・マークは、第1レース同様、表彰台争いに加わりました。2レース連続表彰台の期待が膨らみましたが、前を走るデイビスの転倒に巻き込まれてしまいます。これで表彰台争いから大きく後退しましたが、再スタートを切って10位でフィニッシュしました。
ニッキー・ヘイデン(#69)
ニッキー・ヘイデン
初日トップタイムをマーク、予選でも6番グリッドを獲得したヘイデンは、今季2勝目に闘志をみなぎらせていました。第1レースでは、し烈な戦いとなった3位争いの中で好走を見せましたが、レース前半に痛恨の転倒を喫しリタイア。第2レースでは序盤にポジションを落とし、追い上げのレースとなる苦しい展開となりました。レース終盤にはタイムも上がり、いい走りを取り戻すことに成功しますが、表彰台には届かず、6位でフィニッシュしました。
次戦は、ホーム大会となる第9戦アメリカ大会。ヘイデンがMotoGP時代に2勝を挙げているラグナセカ・レースウェイだけに今大会の雪辱に気合満点。今季2勝目、3勝目の期待が膨らむことになりました。
スーパースポーツ世界選手権は、初ポールポジションを獲得したフェデリコ・カリカスロ(Bardahl Evan Bros Honda)と、3番グリッドを獲得し、今季4度目のフロントローから決勝に挑んだパトリック・ジェイコブセン(Honda World Supersport Team)のCBR600RR勢と、予選2番手のケナン・ソフォーグル(カワサキ)の3台の優勝争いとなりました。
パトリック・ジェイコブセン
パトリック・ジェイコブセン
レース前半は、今大会が8戦目となるルーキー、カリカスロがレースをリードします。中盤になるとジェイコブセンがトップに立ち、カリカスロが2番手を走行して、CBR600RR勢の戦いとなりました。そして、3番手のソフォーグルをじりじりと引き離す展開となりました。
しかし、終盤になると、ソフォーグルが追い上げて、再び、3台の接近戦となります。そして、カリカスロ、ジェイコブセンを次々にかわしたソフォーグルが優勝しました。一方カリカスロは、最終ラップにジェイコブセンをパスして2位でフィニッシュし、開幕戦オーストラリア大会以来となる2度目の表彰台を獲得しました。7周目から18周目までトップを走ったジェイコブセンは、初優勝に王手をかけましたが、ラスト2周となった18周目のコース終盤でソフォーグルに首位の座を譲り、最終ラップの19周目にカリカスロに抜かれ、3位でチェッカーを受けました。
パトリック・ジェイコブセン(#2)
フェデリコ・カリカスロ(左)、パトリック・ジェイコブセン(右)
しかし、8戦を終えて4回の表彰台に立ったジェイコブセンは、トップのソフォーグルと54点差の総合3位。スーパースポーツ世界選手権は9月のドイツ大会までサマーブレイクに入りますが、残り4戦で逆転チャンピオンを狙います。
以下、CBR600RR勢は、クリストファー・ベルグマン(CIA Landlord Insurance Honda)が10位、チームメートの大久保光が、予選16番手から3戦連続のポイント獲得となる12位でフィニッシュしました。
フェデリコ・カリカスロ(スーパースポーツ 2位)
「2位表彰台に立てて、とてもうれしいです。今日はスタートからゴールまで全力でプッシュしました。あと、1周か2周あれば、違う結果になっていたかも知れません。でも、こうして2位になれてとてもうれしいです。今大会は予選でポールポジションを獲得することができたし、レース序盤にトップを走ることができました。そして、開幕戦以来の表彰台をホーム大会のイタリアで達成できたので、とても満足しています」
パトリック・ジェイコブセン(スーパースポーツ 3位)
「カリカスロよりも、少し快適に走っていたように感じていました。そのため、レースをリードしようと決めました。しかし、ギャップを広げられないと分かり、自分のリズムで走ることにしました。残り4周で自分のペースを維持することができたら優勝できるんじゃないかと思いましたが、残念ながら2人の方が少し速かったです。最後はグリップもあまり残っていませんでした。チームの仕事ぶりに感謝したいです。今日は100%のパフォーマンスを発揮したとは言えませんが、ベストを尽くしました。次は鈴鹿8耐に向けて準備をしなければなりません。それから夏休みを楽しみたいです。
大久保光(スーパースポーツ 12位)
「今大会もポイントを獲得することができました。スタートはうまくいったし、そのままの勢いでシングルフィニッシュを目指しました。しかし、タイヤのパフォーマンスを生かすまでセットアップをつめることができなかったので、後半は我慢のレースになりました。それでも今季ベストでフィニッシュできたし、次の課題が見つかり、成果の大きい大会となりました。今年は鈴鹿8耐に出場することになったので、ペアライダーの秋吉選手から、レースへの姿勢やマシンの作り方を学んで、自分のレベルを上げていきたいと思っています」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 21 | 33'44.254 |
2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 21 | +0.090 |
3 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 21 | +3.093 |
4 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 21 | +5.878 |
5 | 81 | J.トーレス | BMW | 21 | +15.955 |
6 | 21 | M.レイターバーガー | BMW | 21 | +18.200 |
RT | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 1 | +20Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 21 | 33'38.497 |
2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 21 | +2.963 |
3 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 21 | +6.356 |
4 | 12 | X.フォレス | ドゥカティ | 21 | +11.691 |
5 | 32 | L.サバドーリ | アプリリア | 21 | +15.164 |
6 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 21 | +15.248 |
10 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 21 | +23.832 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 19 | 31'35.005 |
2 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 19 | +0.920 |
3 | 4 | G.レイ | MVアグスタ | 19 | +7.166 |
4 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 19 | +8.449 |
5 | 87 | L.ザネッティ | MVアグスタ | 19 | +17.850 |
6 | 25 | A.バルドリーニ | MVアグスタ | 19 | +18.353 |
9 | 71 | クリストファー・ベルグマン | ![]() | 19 | +20.156 |
11 | 78 | 大久保光 | ![]() | 19 | +32.517 |
15 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 19 | +38.788 |
23 | 50 | ブレードン・オルト | ![]() | 19 | +1'30.411 |
25 | 96 | ハビエル・オレジャーナ | ![]() | 17 | +2Laps |
RT | 111 | カイル・スミス | ![]() | 10 | +9Laps |
RT | 86 | アイルトン・バドヴィーニ | ![]() | 8 | +11Laps |
RT | 35 | ステファン・ヒル | ![]() | 5 | +14Laps |
RT | 82 | ロレンツォ・チピチアーニ | ![]() | 0 | +19Laps |
DSQ | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 19 | +0.545 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 343 |
- | 2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 277 |
- | 3 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 244 |
- | 4 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 165 |
- | 5 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 163 |
- | 6 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 146 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 371 |
- | 2 | ドゥカティ | 297 |
- | 3 | ![]() | 214 |
- | 4 | BMW | 147 |
- | 5 | ヤマハ | 122 |
- | 6 | アプリリア | 118 |
- | 7 | MVアグスタ | 105 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 146 |
- | 2 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 108 |
- | 3 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 96 |
▲ | 4 | 4 | G.レイ | MVアグスタ | 81 |
▼ | 5 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 75 |
▲ | 6 | 86 | アイルトン・バドヴィーニ | ![]() | 70 |
▼ | 7 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 68 |
- | 8 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 54 |
- | 9 | 86 | アイルトン・バドヴィーニ | ![]() | 49 |
▲ | 19 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 17 |
- | 23 | 71 | クリストファー・ベルグマン | ![]() | 7 |
▲ | 24 | 78 | 大久保光 | ![]() | 7 |
▼ | 25 | 68 | グレン・スコット | ![]() | 7 |
▼ | 31 | 48 | アレックス・フィリス | ![]() | 2 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 181 |
- | 2 | ![]() | 151 |
- | 3 | MVアグスタ | 136 |
- | 4 | ヤマハ | 28 |
- | 5 | トライアンフ | 25 |
- | 6 | スズキ | 5 |
マイケル・ファン・デル・マーク(スーパーバイク 3位/10位)
「第1レースで表彰台に立つことができました。表彰台に戻ってくることができて、とてもうれしいです。レースウイークを通して、速さはあったと思いますが、十分ではありませんでした。セットアップにも苦労しました。第1レースでようやく満足できる状態になりましたが、スタート直後に混乱があってちょっと慎重になりました。そして、ダビデ(ジュリアーノ)とニッキー(ヘイデン)の転倒があり、さらに慎重になりました。第1レースは、フロントの感触が完ぺきではなくて、ジョナサン(レイ)とトム(サイクス)に引き離されてしまいましたが、最後まで集中して走りました。チャズ(デイビス)がとても力強い走りで近づいてきましたが、終盤の僕のペースはとてもよかったです。フロントの感触を上げることができればまたすばらしいレースができると思いました。しかし、第2レースの行われた日曜日は、思ったほど気温が上がらず、あまりいい情報を得られませんでした。そのため、昨日のセッティングに戻して決勝に挑みました。スタートではポジションをいくつか落としましたが、いいスタートを切ることができたと思います。それから全員を追い越し、チャズが目の前で転倒するまで、いいリズムで走っていました。レースの序盤でしたし、まだ周回数がたくさん残っていたので、すぐにマシンを起こして走りました。そういった状況を考えれば、10位はいい結果だったと思います。それだけに、フラストレーションがたまるレースでした。あの転倒がなければ、また表彰台に上がれたと思います」
ニッキー・ヘイデン(スーパーバイク リタイア/6位)
「第1レースは、いいスタートを切ることができました。そしてカワサキ勢に近づいていました。しかし、ジョナサン(レイ)とトム(サイクス)のカワサキ勢についていくためにプッシュしすぎてしまいました。転倒は自分のミスですが、表彰台に上がれるペースがあったのでとても残念です。ときにはこういうこともあります。この悔しさを第2レースにぶつけようと思いました。そして、第2レースでは、まずまずのスタートを切ることができたのですが、1コーナーから4コーナーにかけてポジションを落としてしまいました。しかし、マシンの感触はよかったですし、ペースもよくなり、追い上げることができました。第2レースでポジティブだった点を挙げるとすれば、19周目にファステストタイムを出せたことです。でも少し遅すぎました。最終ラップでは、(ジョルディ)トーレスをパスして、(ロレンツォ)サバドーリとのギャップを縮めました。6位という結果はそれほど悪くはありませんが、それほどいい結果でもありません。今日は自分のパフォーマンスにがっかりしました。その分、次のラグナセカで埋め合わせをしたいです」