スーパーバイク世界選手権(WSB)の第5戦イタリア大会が、4月29日(金)〜5月1日(日)までの3日間、イモラ・サーキットで開催されました。イモラ大会は、2001年に初めて開催されて、今年で14回目を迎えました。
Honda World Superbike Teamで2年目を迎えるマイケル・ファン・デル・マークは、4戦を終えて4度の表彰台に立ち、総合4位。イモラ大会では、昨年、9位/リタイアという結果に終わっています。今年はイモラ大会初の表彰台を狙いました。
チームメートのニッキー・ヘイデンは、4戦を終えて総合5位。前戦オランダ大会ではWSBにスイッチして初の表彰台を獲得。上り調子でイモラ大会を迎えました。しかし、ヘイデンにとっては初めて経験するサーキット。コース攻略という作業が待ち受けていました。
マイケル・ファン・デル・マーク
ニッキー・ヘイデン
今大会は、決勝日となった日曜日の朝方に雨が降り、ウォームアップセッションがウエットコンディションとなりましたが、そのほかのセッションはすべてドライコンディションで行われました。
青空が広がった金曜日のフリー走行で、思うようにセッティングが決まらず、16番手と出遅れたファン・デル・マークは、土曜日のスーパーポール1でトップタイムをマーク、フリー走行の10番手までに、スーパーポール1の上位2台を加えて行われるスーパーポール2へ進出しました。しかし、そこでタイムを伸ばせず、12台中11番手。4列目から決勝に挑むことになりました。
雲一つない快晴の中で行われたレース1において、ファン・デル・マークは、レオン・キャミア(MVアグスタ)、ロレンツォ・サバドーリ(アプリリア)、シャヴィ・フォーレス(ドゥカティ)、アレックス ・ロウズ(ヤマハ)、マッテオ・バイオッコ(ドゥカティ)、そしてチームメートのヘイデンを加えた7台のし烈な6番手争いの中、7位でフィニッシュしました。
ファン・デル・マークにとって、7位は納得のできるリザルトではありませんが、苦戦したフリー走行から、スーパーポール1、2とセットアップを進めることに成功。決勝では新しいセットアップにトライして結果を出しました。
マイケル・ファン・デル・マーク
マイケル・ファン・デル・マーク
翌日のレース2は、朝のウォームアップがウエットコンディションで行われ、ファン・デル・マークはトップタイムをマーク。しかし、決勝はドライコンディションとなりました。終日、雲の多い天候で、気温も路面温度も前日より低くなり、タイヤ選択が難しいレースとなりました。ファン・デル・マークはレース1と異なるタイヤを選択しましたが、これによって苦しい走りを強いられ、9位でフィニッシュすることになりました。
チームメートのヘイデンは、ファン・デル・マーク同様、セットアップに苦戦しましたが、初めて走る難コースのイモラを着実に攻略。スーパーポール1では、ファン・デル・マークに続いて2番手。初コースながらスーパーポール2へ進出、9番グリッドを獲得しました。
レース1では、ファン・デル・マークとともにし烈な6番手争いのグループに加わり9位でフィニッシュしました。このレースでヘイデンは、終盤にブレーキングに苦しみました。そのためレース2はセットアップを変更。しかし、朝のウォームアップがウエットコンディションだったために確認作業ができず、ぶっつけ本番の決勝レースとなりました。
そのため、序盤は思うようにペースを上げられなかったヘイデンですが、最終的に8位でフィニッシュ。初めて経験する難コースであるイモラの両レースで、シングルフィニッシュを果たしました。
ニッキー・ヘイデン
5戦を終えてファン・デル・マークの総合4位は変わらず。ヘイデンは大接戦の中で総合5位から7位へとポジションを落としましたが、その差はわずか。次戦はヘイデンにとって、MotoGP時代に走り慣れているセパン・サーキットでの戦い。巻き返しに闘志を燃やしています。
スーパースポーツ世界選手権の第5戦は、レース序盤にトップグループを走るランディ・クルメンナッハ(カワサキ)がトラブルを抱えて白煙を吹き、3周目にクリスチャン・ガマリーノ(カワサキ)が転倒。マシンがコース上に残ったために、3周を終えて赤旗中断となりました。そのため、17周のレースは、11周に短縮されて再開されました。
4戦を終えて総合総合8位につけるパトリック・ジェイコブセン(Honda World Supersport Team)は、初日6番手からスーパーポール2で3番手へと浮上。開幕戦オーストラリア大会以来、3戦ぶりにフロントローから決勝に挑みました。
パトリック・ジェイコブセン(#2)
パトリック・ジェイコブセン(#2)
決勝では、ジェイコブセンは好スタートからトップグループにつけます。赤旗で中断するまでは、白煙が吹くマシンを前に走り続けるという、難しい状況でした。再開されたレースでは、ケナン・ソフォーグル(カワサキ)、ジュール・クルゼール(NVアグスタ)とトップグループを形成して3位でフィニッシュ。第2戦タイ大会以来、3戦ぶりに表彰台を獲得しました。過去2戦、転倒で表彰台を逃してきたジェイコブセンにとって、その悔しさを晴らすレースとなり、これで総合8位から6位へとランクを上げました。
パトリック・ジェイコブセン
以下、フェデリコ・カリカスロ(Bardahl Evan Bros Honda)が8位、アイルトン・バドビーニ(Gemar Balloons - Team Lorini)が9位でフィニッシュ。前戦オランダ大会で優勝のカイル・スミス(CIA Landlords Insurance Honda)が11位、ケビン・ヴァール(Gemar Balloons - Team Lorini)が12位でポイントを獲得しました。大久保光(CIA Landlords Insurance Honda)は、26番グリッドからスタートして20位でした。
パトリック・ジェイコブセン(スーパースポーツ 3位)
「今日は表彰台に立ててとても幸せです。マシンのフィーリングはとてもよく、自分の望む通りの状態でした。しかし、ダッシュボードが完全に機能していなかったことで、ライディングに支障をきたしました。それでも、最後まで戦えました。チームはすばらしい仕事をしてくれたし、こうして3位になれてチームにお返しできました。次のマレーシアは、自分にとっては初優勝の舞台なので、いい形で次のレースを迎えられます。今はチャンピオンシップよりも、一つひとつのレースに全力を注ぎたいです」
大久保光(スーパースポーツ 20位)
「難しいレースでした。スタートして1周目は19番手前後だったのですが、その集団のバトルになってしまい、そこからなかなか抜け出せませんでした。ラップタイムは1分54秒台で何周も走れました。予選では一発のタイムだっただけに、その点に関してはよかったと思います。アラゴン、オランダ、イモラとヨーロッパで3戦を戦って感じているのは、金曜日の遅れが土曜日、日曜日に影響しているということです。初めてのサーキットなので仕方ない部分ですが、初日のタイムをもう少し上げる必要性を感じました。ベースのセッティングは出ているので、次戦以降、ポイントの獲得を目指してがんばりたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 18 | 32'15.999 |
2 | 1 | J.レイ | カワサキ | 18 | +3.406 |
3 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 18 | +3.729 |
4 | 81 | J.トーレス | BMW | 18 | +13.631 |
5 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 18 | +19.948 |
6 | 2 | L.キャミア | MVアグスタ | 18 | +25.586 |
7 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 18 | +27.262 |
9 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 18 | +29.263 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 19 | 34'07.278 |
2 | 1 | J.レイ | カワサキ | 19 | +4.262 |
3 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 19 | +4.604 |
4 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 19 | +13.093 |
5 | 2 | L.キャミア | MVアグスタ | 19 | +16.250 |
6 | 22 | A.ローズ | ヤマハ | 19 | +20.078 |
8 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 19 | +26.803 |
9 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 19 | +28.577 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 11 | 20'37.091 |
2 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 11 | +1.429 |
3 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 11 | +3.013 |
4 | 25 | A.バルドリーニ | MVアグスタ | 11 | +7.179 |
5 | 61 | A.ザコネ | カワサキ | 11 | +8.144 |
6 | 87 | L.ザネッティ | MVアグスタ | 11 | +8.618 |
8 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 11 | +9.942 |
9 | 86 | アイルトン・バドヴィーニ | ![]() | 11 | +10.183 |
11 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 11 | +19.964 |
12 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 11 | +20.771 |
20 | 78 | 大久保光 | ![]() | 11 | +36.600 |
24 | 9 | ジェド・メッチャー | ![]() | 11 | +46.851 |
25 | 71 | クリストファー・ベルグマン | ![]() | 11 | +47.731 |
31 | 50 | ブレードン・オルト | ![]() | 10 | +1Lap |
RT | 35 | ステファン・ヒル | ![]() | 2 | +9Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 221 |
- | 2 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 186 |
- | 3 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 154 |
- | 4 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 106 |
▲ | 5 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 88 |
- | 6 | 81 | J.トーレス | BMW | 87 |
▼ | 7 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 82 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 230 |
- | 2 | ドゥカティ | 196 |
- | 3 | ![]() | 133 |
▲ | 4 | BMW | 92 |
▼ | 5 | ヤマハ | 88 |
- | 6 | アプリリア | 71 |
- | 7 | MVアグスタ | 60 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
▲ | 1 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 86 |
▼ | 2 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 71 |
▲ | 3 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 58 |
▼ | 4 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 46 |
▲ | 5 | 25 | A.バルドリーニ | MVアグスタ | 44 |
▲ | 6 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 43 |
▼ | 7 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 42 |
- | 18 | 86 | アイルトン・バドヴィーニ | ![]() |
16 |
▼ | 19 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 15 |
- | 22 | 68 | グレン・スコット | ![]() | 7 |
- | 26 | 48 | アレックス・フィリス | ![]() | 2 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 111 |
- | 2 | MVアグスタ | 91 |
- | 3 | ![]() | 86 |
- | 4 | ヤマハ | 27 |
- | 5 | トライアンフ | 4 |
- | 6 | スズキ | 1 |
マイケル・ファン・デル・マーク(スーパーバイク 7位/9位)
「金曜日から土曜日にかけて、マシンの感触は明らかによくなりました。スーパーポール1ではかなり乗りやすくなっていて、トップタイムでスーパーポール2進出を果たし、安心しました。スーパーポール2ではシルバン(ギュントーリ、ヤマハ)が僕の前で転倒し、アタックを中断しなくてはいけませんでした。その後、もう一度アタックしましたが、フロントのグリップに苦戦し、更新できませんでした。レース1は、スタートしてからずっとブレーキングに苦しみ、長いレースになると思いました。それでも最後はニッキー(ヘイデン)をパスして7位でチェッカーを受けられました。今日はポイントを獲得できましたが、もっと上のポジションでフィニッシュするためには、フロントグリップの問題を解決する必要があります。レース2もとても厳しいレースになりました。前日のスーパーポールで正しい方向性を見つけたと思ったし、今日は別のタイヤを使って前日の問題を解決できると思っていました。しかし、切り返しがうまくできず、速さやリズムを見つけられませんでした。次のセパンは全く違うサーキットなので、気持ちを切り替えて挑みます。セパンは好きなサーキットなので、僕もチームも巻き返したいです。すばらしい結果を残せる自信があります」
ニッキー・ヘイデン(スーパーバイク 9位/8位)
「レース1に向けてマシンはかなりよくなり、チームに感謝しています。彼らは夜を通して取り組んでくれたし、フィーリングが改善しました。おかげで、ラップタイムがコンマ数秒上がり、スーパーポール2に進めました。レース1でも、それほど悪くはありませんでしたが、ブレーキングに少し問題があり、思うようにマシンを止められなかったので、ペースを落とす必要がありました。ラスト2周で2つポジションを落としました。今回の結果に満足するわけにはいきませんが、もう一歩前進できれば、いいバトルができると思いました。チームはレース2に向けて再び、夜を徹して調整をしてくれました。しかし、残念ながらウォームアップは路面が濡れていたので、試せませんでした。それでもレースに向けて、そのセッティングのままでいくことに決めました。マシンは少しよくなっていました。ハードタイヤを使いました。最初は慣れるのに少し時間がかかりましたが、次第にペースを上げられました。全体的には難しい週末でした。それでもレースウイークを通して、チームはマシンをよくしてくれました。僕はコースを学ぶ必要がありましたが、最後はそれほど難しくありませんでした。来年はもっと速く走れることを願っています。次のセパンが楽しみです」