スーパーバイク世界選手権(WSB)の第4戦オランダ大会が、4月15日(金)〜17日(日)までの3日間、オランダのTTサーキット・アッセンで開催されました。オランダ大会は、1992年にスタートして今年で25度目。オーストラリア大会が開催されるフィリップアイランド・サーキットの26度に続く、2番目に多い開催数となっています。アッセンは、Honda World Superbike Teamの本拠地であり、地元ファンの声援の中で大会を迎えました。
ニッキー・ヘイデン(#69)
ニッキー・ヘイデン
Honda World Superbike Teamでの2年目を迎えたマイケル・ファン・デル・マークは、チームにとっても自身にとってもホーム大会となり、最も気合の入る大会となります。今年は3戦6レースを終えて、3度の表彰台に立ち総合4位。昨年の大会では2レースともで表彰台に立ってファンの声援に応えただけに、今年は2年連続の表彰台とWSB初優勝に闘志を燃やしていました。
今年は3日間を通じて、オランダ特有の不安定な天候となりました。金曜日と土曜日のフリー走行はウエットコンディション。土曜日午後のスーパーポールと第1レースはドライコンディション。日曜日の第2レースは再び、ウエットコンディションの中でスタートが切られ、次第にライン上が乾いていくという難しいコンディションの中、波乱の展開となりました。その中で、地元ファンの声援を受けて熱走したファン・デル・マークが、両レースで優勝争いに加わり、地元ファンを沸かせました。
第1レースは、ドライコンディションのセットがほとんどできないまま、ぶっつけ本番の戦いとなりました。しかし、サーキットを知り尽くしているファン・デル・マークは、チームメートのニッキー・ヘイデン、ジョナサン・レイ(カワサキ)、チャズ・デイビス(ドゥカティ)の4人とトップグループを形成します。終始、先行するデイビスとレイ。その2人をピタリとマークするファン・デル・マークは、ラスト3周で勝負をかけてトップに浮上。その周回、レイに再びトップの座を譲りますが、再逆転を狙ったラスト2周の3コーナーでフロントからスリップダウン。惜しくもリタイアとなりました。
ニッキー・ヘイデン(右)
ニッキー・ヘイデン
その雪辱に燃えた第2レースは、ウエットコンディションでスタートが切られ、次第に路面が乾いていく難しいレースとなりました。しかしファン・デル・マークは、タイヤ交換のタイミングがよく、大荒れのレースの中で3位表彰台を獲得。ウエットコンディションではトップを走り、地元ファンを沸かせました。念願の初優勝は果たせずも、2年連続で表彰台に立ち満面の笑み。これで総合4位をキープしました。
スーパーバイク世界選手権での初年度を迎えているヘイデンが、第1レースにおいて、初の表彰台獲得となる3位になり、難しいコンディションとなった第2レースでは6位でフィニッシュしました。第1レースでは、レイ、デイビスの2人には届きませんでしたが、ファン・デル・マークとともにトップグループに加わりました。第2レースでも、ウエットコンディションでは終始トップグループで走り、ファンを喜ばせました。
マイケル・ファン・デル・マーク
マイケル・ファン・デル・マーク
開幕戦から第3戦まで、表彰台にあと一歩のレースが続いていたヘイデンにとっては気分の晴れるレースとなりました。史上初のMotoGPとWSBのタイトル獲得が期待されるだけに、次戦以降の戦いにも注目が集まります。ヘイデンは第4戦を終えて、ファン・デル・マークに続く総合5位となりました。
マイケル・ファン・デル・マーク
パトリック・ジェイコブセン(#2)
スミスは、8周目を終えて赤旗中断となった際に6番手。予選順位と同じ6番グリッドから6周のレースに挑むことになりました。ウエットコンディションで再開されたレースでは、ケナン・ソフォーグル(カワサキ)、ランディ・クルメンナッハ(カワサキ)、ジノ・レイ(MVアグスタ)とトップグループを形成。激しい戦いとなりましたが、終盤、ペースを上げて後続を引き離し、今季初優勝を達成。これで総合11位から総合3位へとランキングを上げました。
予選4番手から決勝に挑み、赤旗中断となるまでトップを快走したパトリック・ジェイコブセン(Honda World Supersport Team)は、再開された6周のレースでもトップに浮上しますが、惜しくも転倒リタイアに終わりました。赤旗中断になったあと、ピットに戻る周回で、降雨の中でスリップダウンしたのがレースに影響しました。今季初優勝がなかなか達成できないジェイコブセンの次戦以降の巻き返しが期待されます。
以下、CBR600RR勢は、アイルトン・バドヴィーニ(Gemar Balloons - Team Lorini)は7位、大久保光(CIA Landlords Insurance Honda)は24位という結果でした。
カイル・スミス(優勝)
「難しいレースでした。レースウイークを通して、ウエットではいいペースがありましたが、今日は路面がさらに滑りやすくなっていました。残り2周の感触はとてもよく、優勝に向けて全力を尽くしました。自分とチームの仕事に満足しています。優勝できて本当にすばらしい気分です」
大久保光(24位)
「今回はアッセンの不安定な天候の中で、なにもできないまま3日間が終わったという感じでした。フリー走行はすべてウエットコンディションとなり、初めて走るアッセンの攻略ができませんでした。そして、初めて履くピレリのレインタイヤにやっと慣れてきたと思ったら、予選はドライコンディション。スリックタイヤを入れてぶっつけ本番の予選となり、27番グリッドがやっとでした。決勝はドライで始まりますが、雨で中断して、ウエットコンディションで再スタートするというレースになりました。今回は、最後まで自分のいいところを出すことなく終わってしまいました。これで4戦が終わったのですが、まだポイントを獲得していないので、次のイタリアでは絶対にポイントを獲得しなければと思っています」
パトリック・ジェイコブセン(リタイア)
「あれほど短い時間でマシンを修理してくれて、再スタートに間に合わせてくれたのですが、このようなかたちでレースが終わってしまい、とても申し訳ないと思っています。ドライでもウエットでもトップグループでレースをすることができましたが、今日は運がありませんでした。クルーには感謝しても感謝しきれません。次のラウンドでは運が向くことを願っています」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 21 | 34'12.542 |
2 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 21 | +1.662 |
3 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 21 | +5.365 |
4 | 2 | L.キャミア | MVアグスタ | 21 | +15.542 |
5 | 81 | J.トーレス | BMW | 21 | +16.922 |
6 | 32 | L.サバドーリ | アプリリア | 21 | +22.460 |
RT | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 19 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 21 | 38'02.779 |
2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 21 | +2.442 |
3 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 21 | +15.189 |
4 | 32 | L.サバドーリ | アプリリア | 21 | +25.507 |
5 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 21 | +30.853 |
6 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 21 | +36.458 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 6 | 12'17.543 |
2 | 4 | G.レイ | MVアグスタ | 6 | +0.831 |
3 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 6 | +2.424 |
4 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 6 | +8.255 |
5 | 25 | A.バルドリーニ | MVアグスタ | 6 | +26.801 |
6 | 55 | I.ミハエルチック | カワサキ | 6 | +36.940 |
7 | 86 | アイルトン・バドヴィーニ | ![]() | 6 | +44.537 |
11 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 6 | +44.537 |
16 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 6 | +49.784 |
24 | 78 | 大久保光 | ![]() | 6 | +1'16.278 |
25 | 71 | クリストファー・ベルグマン | ![]() | 5 | +1Lap |
30 | 35 | ステファン・ヒル | ![]() | 5 | +1Lap |
RT | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 4 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 181 |
- | 2 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 136 |
- | 3 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 122 |
- | 4 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 90 |
▲ | 5 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 67 |
▲ | 6 | 81 | J.トーレス | BMW | 65 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 190 |
- | 2 | ドゥカティ | 146 |
- | 3 | ![]() | 116 |
▲ | 4 | ヤマハ | 73 |
▼ | 5 | BMW | 70 |
- | 6 | アプリリア | 58 |
- | 7 | MVアグスタ | 39 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 71 |
- | 2 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 61 |
▲ | 3 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 41 |
▼ | 4 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 38 |
▲ | 5 | 4 | G.レイ | MVアグスタ | 36 |
▼ | 6 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 34 |
▼ | 8 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 27 |
▼ | 17 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 11 |
▼ | 22 | 68 | グレン・スコット | ![]() | 7 |
▼ | 26 | 48 | アレックス・フィリス | ![]() | 2 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 86 |
- | 2 | MVアグスタ | 71 |
- | 3 | ![]() | 70 |
- | 4 | ヤマハ | 27 |
- | 5 | トライアンフ | 4 |
- | 6 | スズキ | 1 |
ニッキー・ヘイデン(3位/6位)
「第2レースは、もっといいポジションでフィニッシュできたと思うので、あまりうれしいとは言えません。すべてがうまくいっているようには感じました。スーパーバイクでは、今回が初めてのウエットレースとなりましたが、気持ちよく走れました。その後、日差しが出てきて、路面が急速に乾き始めました。とても感触がよかったので、ピットに入る前に少し長くコースにとどまってしまいました。その後にタイヤを交換しましたが、ウエットのセットアップのままスリックタイヤを使って走ったので、コースに戻ってもなかなかペースを上げられませんでした。ようやくリズムをつかみ、(アレックス)ロウズ(ヤマハ)をパスしましたが、(チャズ)デイビスとのギャップは広がりすぎていました。今回も新しい経験となりました。次のイモラが楽しみです」
マイケル・ファン・デル・マーク(リタイア/3位)
「第2レースは、まるで優勝したような気分です。昨日のレースがとても悔しかったし、本当にうれしい結果でした。観客のサポートは本当にすばらしかったです。過去2年と比べても、今日は観客がとても多かったです。ウォームアップラップを初めてすぐに、今日はタイヤの交換が必要になると思いました。ピットストップの準備はできていました。僕たちはすべてのセッションの最後に、いつもそれを練習していた数少ないチームのうちの一つです。(ジョナサン)レイが僕をパスしていったとき、彼についていくことはできませんでしたが、ピットに入るのはもう1周待ちたいと思いました。その次の周でピットに入りました。いい判断だと思います。残りのレースは基本的に一人でした。僕の前のライダーたちはとても離れていました。すばらしい仕事をしてくれたチーム、そしてスポンサーとすべてのファンに感謝したいです」