スーパーバイク世界選手権(WSB)とスーパースポーツ世界選手権の第3戦が、4月1日(金)〜3日(日)の3日間、スペインのモーターランド・アラゴンで開催されました。モーターランド・アラゴンは、バルセロナから約200kmに位置するアルカニス郊外にあります。2011年に初開催となり、今年で6度目を迎えました。開幕戦オーストラリア大会の季節は夏でした。第2戦タイは熱帯の国でした。開幕から2戦は、ライダーにもタイヤにも厳しいレースが続いていましたが、ヨーロッパラウンド初戦となったスペインでのアラゴン大会は、土曜日が15℃、日曜日が19℃という絶好のコンディションの中で行われました。
ニッキー・ヘイデン(#69)
ニッキー・ヘイデン
Honda World Superbike Teamで2年目を迎えるマイケル・ファン・デル・マークは、開幕戦オーストラリア大会で3位/2位、第2戦タイ大会で3位/4位と、好調なシーズンのスタートを切りました。今大会は3戦連続となる表彰台獲得と、シーズン初優勝に向けて闘志を燃やしましたが、予選では転倒を喫し、4列目11番グリッドから追い上げのレースに挑むことになりました。その第1レースでは、再び転倒を喫してリタイア。第2レースでは表彰台争いを視野に入れて熱走しましたが、終盤にペースを落とし、最終的に7位でフィニッシュしました。
ニッキー・ヘイデン(#69)
マイケル・ファン・デル・マーク(#60)
第1レースがノーポイントだったため、ファン・デル・マークは総合3位から4位へとポジションダウン。その悔しさを次戦オランダ大会にぶつける意気込みです。オランダ大会は、ファン・デル・マークにとってもチームにとってもホーム大会となります。昨年の大会では、両レースで3位になり、初表彰台とともに2度目の表彰台を獲得しました。今年は安定した走りで表彰台争いに加わっているだけに、次戦では大きな期待が寄せられます。
マイケル・ファン・デル・マーク(#60)
チームメートのニッキー・ヘイデンは10番グリッドから決勝に挑みました。予選では、前を走るファン・デル・マークが転倒を喫し、それを避けるためにアタックを中断しなければなりませんでした。さらに、タイヤテストをしっかりできないまま決勝に挑むことになり、それが苦しい戦いにつながりました。フリー走行では安定したラップを刻み、初の表彰台獲得が期待されましたが、うまく歯車が噛み合わず、第1レースでは6位、第2レースではマシンに不具合が発生し、終盤にリタイアを決めました。
ヘイデンは、2006年のMotoGPチャンピオンで、WSBとのダブルチャンピオンが期待されています。今年は3大会6レースを終えて、4位を最高位に総合8位と、フラストレーションのたまる戦いが続いていますが、次戦オランダ大会はヘイデンが得意とするコース。さらに、チームのホーム大会となるだけに、ファン・デル・マークとともに優勝と表彰台獲得が期待されます。
スーパースポーツ世界選手権の第3戦は、Honda勢にとって厳しいレースとなりました。4番グリッドから決勝に臨んだパトリック・ジェイコブセン(Honda World Supersport Team)は、スタート直後の2コーナーで転倒してリタイアという残念な結果に終わりました。
パトリック・ジェイコブセン
パトリック・ジェイコブセン
今大会のHonda勢は、予選ではジェイコブセンを最上位に、ケビン・ヴァール(Gemar Balloons - Team Lorini)が14番手、フェデリコ・カリカスロ(Bardahl Evan Bros. Honda Racing)が16番手、カイル・スミス(CIA Landlord Insurance Honda)が18番手、日本から参戦のルーキー大久保光(CIA Landlord Insurance Honda)は、初めて経験するサーキットであることとトラブルが続いたことで、27番グリッドと、Honda勢全体が苦戦しました。
その流れは決勝レースになっても変わらず、34台が出場して完走22台という厳しいレースの中で、優勝争いが期待されたジェイコブセンが転倒リタイアとなり、カリカスロが7位。ヴァールが9位、スミスが11位と、3台のCBR600RRがポイントを獲得するだけに終わりました。その一方で、大久保はオープニングラップで17番手までポジションを上げ、その後もポイント獲得圏内を視野に入れて16位でフィニッシュ。ポイントの獲得は果たせませんでしたが、次戦オランダ大会につながるレースとなりました。
大久保光(16位)
「ポイントの獲得までもう少しだったのでとても悔しいです。今回は初めてのサーキットでしたが、初日にトラブルが続き、走れない時間が多く、とても苦労しました。日本にはないレイアウトのサーキットで、コース攻略をちゃんと果たせないまま決勝となりましたが、スタートがよかったことで大きくポジションを上げられました。レース終盤にペースが落ちました。その原因を調べてもらっています。次のアッセンでは、ポイントを獲得できるようにがんばります」
パトリック・ジェイコブセン(リタイア)
「本当に残念なレースでした。今日は前戦タイ大会のように序盤からリードを広げようとしました。しかし、プッシュしすぎて転倒しました。チームはすばらしい仕事をしてくれました。今大会は表彰台に立てると確信していたのでとても残念です。今回の悔しさは、次のアッセンにぶつけたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 18 | 33'31.464 |
2 | 1 | J.レイ | カワサキ | 18 | +4.168 |
3 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 18 | +4.948 |
4 | 12 | X.フォレス | ドゥカティ | 18 | +12.723 |
5 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 18 | +13.151 |
6 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 18 | +21.117 |
RT | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 3 | +15Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 18 | 33'36.606 |
2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 18 | +6.471 |
3 | 1 | J.レイ | カワサキ | 18 | +9.161 |
4 | 12 | X.フォレス | ドゥカティ | 18 | +11.436 |
5 | 81 | J.トーレス | BMW | 18 | +15.969 |
6 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 18 | +18.278 |
7 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 18 | +20.931 |
RT | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 15 | +3Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 16 | 30'58.615 |
2 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 16 | +1.486 |
3 | 88 | N.テロール | MVアグスタ | 16 | +2.943 |
4 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 16 | +3.838 |
5 | 61 | A.ザコネ | カワサキ | 16 | +4.106 |
6 | 47 | A.バッサニ | カワサキ | 16 | +4.177 |
7 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 16 | +9.059 |
9 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 16 | +18.095 |
11 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 16 | +18.155 |
16 | 78 | 大久保光 | ![]() | 16 | +53.750 |
22 | 50 | ブレードン・オルト | ![]() | 15 | +1Lap |
RT | 35 | ステファン・ヒル | ![]() | 15 | +1Lap |
RT | 96 | ハビエル・オレジャーナ | ![]() | 1 | +15Laps |
RT | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 0 | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 131 |
▲ | 2 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 105 |
▼ | 3 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 102 |
▼ | 4 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 74 |
▲ | 5 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 56 |
▼ | 6 | 50 | S.ギュントーリ | ヤマハ | 53 |
- | 8 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 41 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 140 |
- | 2 | ドゥカティ | 115 |
- | 3 | ![]() | 84 |
▲ | 4 | BMW | 57 |
▼ | 5 | ヤマハ | 56 |
- | 6 | アプリリア | 35 |
- | 7 | MVアグスタ | 19 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 58 |
▲ | 2 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 45 |
- | 3 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 38 |
▲ | 4 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 29 |
▼ | 5 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 27 |
▲ | 6 | 88 | N.テロール | MVアグスタ | 21 |
▲ | 11 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 16 |
▲ | 15 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 11 |
▼ | 20 | 68 | グレン・スコット | ![]() | 7 |
▼ | 24 | 81 | ルーク・ステープルフォード | ![]() | 2 |
▼ | 25 | 48 | アレックス・フィリス | ![]() | 2 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 70 |
▲ | 2 | MVアグスタ | 51 |
▼ | 3 | ![]() | 45 |
- | 4 | ヤマハ | 25 |
ニッキー・ヘイデン(6位/リタイア)
「今大会は物事が思うように進みませんでした。第1レースはいいスタートを切ることができたし、とても感触がよかったのですが、グリップが大きく落ちてペースを落としました。もしかしたら、タイヤのチョイスがあまりよくなかったのかもしれません。そして第2レースも、話すことはそれほどありません。サイティングラップで問題が出始め、ウォームアップラップでも同じでした。なにかがおかしいと感じました。フロントエンドに大きな振動があり、マシンを止められませんでした。できることはあまりなかったです。すべてがだんだん悪くなっていったので、必要のないリスクは負わないことにして、レースをリタイアしました。これで経験を積むチャンスを逃しましたが、仕方ありません。次のラウンドを楽しみにします」
マイケル・ファン・デル・マーク(リタイア/7位)
「スーパーポールで予選タイヤを使ったとき、7コーナーの出口でフロントホイールが浮きました。そして着地したときにグリップがまったくなくなり、転倒してしまいました。そんな中、チームがすばらしい仕事をしてくれて、短い時間で直してくれました。レースではいいスタートを切れました。そして上位のライダーたちとバトルができたのですが、5コーナーで再び転倒してしまいました。いい結果を出すチャンスがあったので、本当に残念です。第2レースは、想像以上に難しいレースになりました。すばらしいスタートを切って、ポジションをいくつか上げたのですが、プラクティスのときほどマシンのセットアップがうまく機能しませんでした。いいペースを維持するために、できる限りのことはしましたが、最後にかなりポジションを落としました。今日はポイントを獲得できてよかったです。ただ、このような結果を望んでいたわけではありません。次のアッセンでコースに戻るのが楽しみです。そこではトップに必ず戻ってきます」