スーパーバイク世界選手権とスーパースポーツ世界選手権の第2戦が、3月11日(金)〜13日(日)までの3日間、タイの北東部、ブリーラムのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されました。今年で2度目の開催となり、連日30℃を超える猛暑の中で、熱いバトルが繰り広げられました。
マイケル・ファン・デル・マーク
マイケル・ファン・デル・マーク(#60)
前戦オーストラリア大会で3位/2位と、絶好のシーズンスタートを切ったマイケル・ファン・デル・マーク(Honda World Superbike Team)は今大会も好調で、フリー走行でトップタイムをマークすると、スーパーポールでは初のポールポジション(PP)を獲得しました。初日はグリップの悪い汚れた路面に苦労しましたが、セッションをこなすごとにセットアップが進み、これまでにない最高の状態で決勝を迎えました。
マイケル・ファン・デル・マーク
ニッキー・ヘイデン
第1レースは、レース前半にトップを快走します。中盤になってオーバーランを喫してポジションを落としますが、トップグループに加わって3位でフィニッシュ。翌日の第2レースでは、初PPに続き初優勝を狙いましたが、タイヤの選択がうまくいかなかったことで思うようにペースが上がらず、4位に終わりました。しかし、2大会4レースを終えて、総合2位のトム・サイクス(カワサキ)と1点差の3位。トップのジョナサン・レイ(カワサキ)と30点差で、ヨーロッパラウンドを迎えることになりました。
ニッキー・ヘイデン(#69)
チームメートのニッキー・ヘイデンは、WSBにスイッチして2戦目を迎えます。WSBデビュー戦となったオーストラリア大会では、9位/4位でしたが、今大会は、初表彰台、初優勝を狙う大会となりました。フリー走行では6番手。チームメートでトップのファン・デル・マークから1秒差に12台という接戦でまずまずの走りを見せると、大接戦となったスーパーポールでは、8番グリッドを獲得して決勝を迎えました。
土曜日の第1レースは、電気系のトラブルでリタイアに終わります。第2レースでは快調なラップを刻み、5位でフィニッシュしました。今大会はトップグループには加わることはできませんでしたが、トップグループとほぼ同じペースで周回を重ねる走りを見せたことから、次戦に大きく期待が膨らみます。
スーパースポーツ世界選手権第2戦は、予選上位4台のし烈な戦いとなり、4番グリッドから決勝に挑んだパトリック・ジェイコブセン(Honda World Supersport Team)が2位でフィニッシュしました。開幕戦オーストラリア大会で、予選2番手から決勝に挑むも、後半ペースが上がらず5位に終わっていました。その雪辱に闘志を燃やすジェイコブセンは、フリー走行ではタイヤの選択に苦労しましたが、2日目のフリー走行とスーパーポールでは、セットアップも進み、今季初の表彰台獲得に大きく前進しました。
決勝では、その手応えが現実になります。2列目4番手から好スタートを切ったジェイコブセンは、オープニングラップを制すると快調にラップを刻み、トップグループの主導権を握りました。後方には、フロントローから決勝に挑んだジュール・クルーゼル(MVアグスタ)、ケナン・ソフォーグル(カワサキ)、ランディ・クルメンナッハ(カワサキ)の3選手。中盤はクルーゼルとの一騎打ちとなり、ソフォーグルとクルメンナッハのカワサキ勢をやや引き離しましたが、終盤はカワサキ勢が加わり、再び4台のし烈な戦いとなりました。
ラスト2周は、壮絶なブレーキング競争となり、その混戦の中でジェイコブセンはオーバーランを喫し、クルーゼルとソフォーグルの先行を許して3番手に終わりました。わずかの差で優勝を逃したジェイコブセンですが、17周中15周でトップを快走した走りに大きな拍手が送られました。
以下、予選6番手からセカンドグループのトップに立ったカイル・スミス(CIA Landlords Insurance Honda)が5位でフィニッシュ。12番グリッドから決勝に挑んだ大久保光(CIA Landlords Insurance Honda)は、14番手を走行していた11周目の3コーナーで転倒し、再スタートを切りましたが20位に終わりました。
パトリック・ジェイコブセン
パトリック・ジェイコブセン
パトリック・ジェイコブセン(3位)
「今日は優勝だけを狙っていましたし、3位に終わり、とても残念でした。今日はレースのほとんどをリードすることができました。しかし、終盤のブレーキング競争はとても激しく、オーバーランをしてしまって抜き返すことができませんでした。優勝できませんでしたが、総合2位で次のアラゴンに向かうことができるのはよかったと思います」
カイル・スミス(5位)
「今日はスタートがうまく行かず1周目に12番手までポジションを落としてしまいました。その後、追い上げることができて、最終的に5位でチェッカーを受けました。追い上げているときに今大会のファステストラップをマークできましたし、今日の問題を解消できたら、さらに上位を狙っていけると思います。今日のレース結果には満足しています。バイクのセットアップもよかったと思います」
大久保光(20位)
「オーストラリア大会で骨折した右手が完全ではなくて、3日間を通じて厳しいレースになりました。特にブレーキングが完ぺきではなく、オープニングラップに12番手から17番へとポジションを落としました。それからポジションを上げて14番手まで上がりましたが、11周目の3コーナーで、ブレーキングでミスをして転倒しました。手の感覚がなくなってきて、ブレーキをリリースしているつもりだったのですが、ちゃんとできていなかったことが転倒の原因でした。再スタートしましたが20位でした。しかし、今大会は完走できたのでよかったと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 20 | 31'32.311 |
2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 20 | +0.222 |
3 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 20 | +9.623 |
4 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 20 | +17.167 |
5 | 21 | M.レイターバーガー | BMW | 20 | +18.894 |
6 | 22 | A.ローズ | ヤマハ | 20 | +20.754 |
RT | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 9 | +11Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 20 | 31'33.493 |
2 | 1 | J.レイ | カワサキ | 20 | +0.190 |
3 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 20 | +0.314 |
4 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 20 | +5.199 |
5 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 20 | +10.643 |
6 | 50 | S.ギュントーリ | ヤマハ | 20 | +13.068 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 17 | 28'09.359 |
2 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 17 | +0.812 |
3 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 17 | +0.956 |
4 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 17 | +1.237 |
5 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 17 | +3.644 |
6 | 25 | A.バルドリーニ | MVアグスタ | 17 | +8.846 |
12 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 17 | +25.583 |
13 | 68 | グレン・スコット | ![]() | 17 | +26.243 |
14 | 81 | ルーク・ステープルフォード | ![]() | 17 | +27.193 |
17 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 17 | +38.101 |
20 | 78 | 大久保光 | ![]() | 17 | +1'04.029 |
21 | 35 | ステファン・ヒル | ![]() | 17 | +1'09.167 |
RT | 59 | ラタポン・ウィライロー | ![]() | 5 | +12Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 95 |
▲ | 2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 66 |
▼ | 3 | 60 | マイケル・ファン・デル・マーク | ![]() | 65 |
- | 4 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 55 |
- | 5 | 50 | S.ギュントーリ | ヤマハ | 40 |
▼ | 6 | 34 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 35 |
▼ | 8 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 31 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 100 |
▲ | 2 | ドゥカティ | 65 |
▼ | 3 | ![]() | 65 |
- | 4 | ヤマハ | 41 |
- | 5 | BMW | 37 |
▲ | 6 | アプリリア | 21 |
▼ | 7 | MVアグスタ | 19 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 21 | R.クルメンナッハ | カワサキ | 38 |
▲ | 2 | 2 | パトリック・ジェイコブセン | ![]() | 27 |
▲ | 3 | 16 | J.クルーゼル | MVアグスタ | 25 |
▲ | 4 | 1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 20 |
▼ | 5 | 64 | フェデリコ・カリカスロ | ![]() | 20 |
- | 6 | 25 | A.バルドリーニ | MVアグスタ | 20 |
▲ | 12 | 111 | カイル・スミス | ![]() | 11 |
▼ | 16 | 68 | グレン・スコット | ![]() | 7 |
▲ | 19 | 19 | ケビン・ヴァール | ![]() | 4 |
▲ | 20 | 81 | ルーク・ステープルフォード | ![]() | 2 |
▼ | 21 | 48 | アレックス・フィリス | ![]() | 2 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント | |
---|---|---|---|
- | 1 | カワサキ | 45 |
- | 2 | ![]() | 36 |
▲ | 3 | MVアグスタ | 35 |
▼ | 4 | ヤマハ | 21 |
マイケル・ファン・デル・マーク
マイケル・ファン・デル・マーク(#60)
マイケル・ファン・デル・マーク
ニッキー・ヘイデン
ニッキー・ヘイデン(#69)
マイケル・ファン・デル・マーク(3位/4位)
「スーパーバイクで初めてのポールポジションを獲得することができました。第1レースにグリッドに向かうときは、今日はいけるんじゃないかと思いました。しかし、カワサキ勢は1発の速さがあるので、次第にペースを上げていけるようにレースを組み立てようと思っていたのですが…。ポールポジションに少しだけ興奮したのか、スタートでミスをしてしまいました。その後も、ダウンシフトに問題を抱えてしまい第一コーナーではらんでしまいました。それでジョナサン(レイ)とトム(サイクス)に差をつけられましたが、全力で追い上げました。最終的に今回も3位でしたが、安定した速さを出せるようになったと感じました。第2レースは難しいレースでした。しかし、昨年の大会の結果(リタイア/7位)を思えば、満足しています。確かに、昨日よりいい結果を望んでスタートしましたが、第1レースと同じタイヤで決勝に挑み、それがベストな選択ではありませんでした。同じフィーリングではなかったので、リスクを犯さず、しっかりチェッカーを受けることにしました」
ニッキー・ヘイデン(リタイア/5位)
「土曜日は厳しい一日でした。予選用タイヤでうまく走れず、思ったほどポジションを上げることができませんでした。決勝でいいポジションを得るためにも、これを何とかしないといけないことは明らかでした。レースに関しては何も言うことはありません。センサーに問題があり、バイクがスムーズに走らず、そのために止まってしまいました。完走できず残念でした。第2レースは、バイクのフィーリングはかなりいい感じでした。スタッフが徹夜でバイクをセットアップしてくれたおかげですし、走り出したときに、ほぼ完ぺきな感じでした。今日もトップグループには加わることはできませんでしたが、ペースは悪くなかったですし、今回のレースはたくさんのことを学べました」