2012年10月7日(日)・決勝 会場:マニクール・サーキット 天候:雨のち曇り
気温:第1レース 17℃、第2レース 20℃ コースコンディション:ウエット
スーパーバイク世界選手権の2012年シーズン最終戦フランス大会決勝は、青空が広がり絶好のコンディションとなったフリー走行、予選から一転し、終日ウエットコンディションになる難しい一日となりました。第1レースはフルウエットでレインタイヤ。第2レースは、ハーフウエット、ハーフドライという微妙なコンディションで、スリックタイヤを装着してグリッドに並ぶ選手がほとんどでした。
その中で、6番手から決勝に挑んだジョナサン・レイ(Honda World Superbike Team)は、両レースともに優勝争いに加わる好走を見せました。第1レースは、オープニングラップ2番手から4周目にトップに浮上すると、レースの主導権を握りました。しかし雨量が減り、ペースが上がり始めたレース中盤に痛恨の転倒。再スタートを切りますが5周遅れの13位と悔しいレースとなりました。第1レースは19台が出場し、完走13台という厳しい戦いでした。
優勝できたかもしれない第1レースを落としたレイ。その雪辱に燃えた第2レースは、ハーフウエット、ハーフドライという微妙な路面コンディションとなり、スリックタイヤで決勝に挑み、着実に順位を上げました。オープニングラップ5番手から、このレースはじっくりと追い上げる作戦で臨みます。7周目にレオン・ハスラム(BMW)が転倒して、レイは4番手へ。折り返し地点の12周目にはユージェーヌ・ラバティ(アプリリア)をかわし3番手に浮上。ラスト3周となった21周目にはシルヴァン・ギュントーリ(ドゥカティ)を抜いて2番手へ。そしてトップを走るトム・サイクス(カワサキ)を追撃しますが、惜しくも届かず2位でフィニッシュしました。
近年はケガとの戦いとなっていたレイですが、今年は充実したシーズンを過ごしました。念願のタイトル獲得は果たせませんでしたが、シーズン終盤までチャンピオン争いに加わり、2勝を含む6度の表彰台で総合5位。シーズン終盤戦には、MotoGPのRepsol Honda Teamから2戦にわたって代役出場を果たすなど、大きな注目を集めたシーズンとなりました。最終戦の最後のレースを表彰台でしめくくったレイ。来年こそタイトル獲得をと気持ちを引きしめていました。
レイとチームメートの青山博一は、18番手から決勝に挑み、第1レースはリタイア、第2レースは14位でした。フリー走行、予選では、初めて経験するマニクールに苦戦し、決勝は難しい路面コンディションに翻ろうされる悔しいレースとなりました。
最終戦決着となったチャンピオン争いは、マックス・ビアッジ(アプリリア)、サイクス、マルコ・メランドリ(BMW)の3選手が、第2レースまでタイトル獲得の可能性を残した末に、ビアッジがチャンピオンを獲得しました。
スーパースポーツ世界選手権(WSS)は、3番手から決勝に挑んだジュール・クルーゼル(PTR Honda)が、サム・ロース(Bogdanka PTR Honda)、ケナン・ソフォーグル(カワサキ)とのし烈な戦いを制し、前戦ポルトガル大会から2連勝、今季4勝目を達成し、総合2位で今シーズンを終えました。地元大会を見事に優勝で飾ったクルーゼル。チャンピオン獲得の期待は来年へと持ち越されましたが、最終戦を優勝で飾って満面の笑み。この優勝で、Hondaはコンストラクターズタイトルを獲得しました。2位にはロースが入り、総合3位でシーズンを終えました。
3位でフィニッシュしたソフォーグルは、レース中の接触により25秒のペナルティーとなり、4位へ降格。ダン・リンフット(カワサキ)が3位になりました。今季3度目のポールポジションから決勝に挑んだブロック・パークス(Ten Kate Racing Products)は、ピットに戻ってタイヤを交換して、再スタートするも27位で最終戦を終えました。
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 13位/2位) 「第1レースは、ウエットコンディションに向けてチームがすばらしいマシンを準備してくれていましたので、ひどい結果に終わってフラストレーションがたまりました。フィーリングはすべてよかったですし、転倒してグラベルに入ったときに、なにをやっているんだろうと思いました。第1レースでハイサイドを喫したときは、翼が欲しいと思うほどでした。第2レースはコンディションが微妙でしたので慎重に走りました。終盤に、やっとトム(サイクス、カワサキ)の後ろに追いつくことができましたが、トムはミスをしませんでした。今年は、チャンピオンは獲得できませんでしたが、チャンピオンシップに参加できてとてもうれしい気持ちです。そして、すばらしい仕事をしたマックス(ビアッジ、アプリリア)におめでとうと言いたいです。とにかく、長いシーズンを終え、一生懸命仕事をしてくれたチームに感謝したいです。一時期苦戦しましたが、チームのすばらしい仕事のおかげで、力を発揮することができました。これからシーズンオフに入りますが、2013年はもっといいコンディションで迎えたいです。チームも来年に向けて全力で取り組んでくれるだろうと思っています」
青山博一(スーパーバイク リタイア/14位) 「今回はチームとの最後のレースとなりました。そのため、いいレースをしたかったのですが、残念ながらマシンとタイヤに、今年一年間抱えていた問題が出てしまいました。この問題を解決するために、みんな一生懸命がんばってくれましたし、たくさんのことを試しました。スーパーバイクに参加することは、僕にとって新しいチャレンジでしたし、もっといい結果を期待していました。しかし、どれもうまくいかず残念でした。それでも、Honda World Superbike Teamといい経験をすることができました。サポートしてくれたチームのみんなやスポンサーに感謝しています」
ジュール・クルーゼル(スーパースポーツ 優勝) 「最終戦となったホーム大会で優勝できて、とてもうれしいです。チャンピオンシップはすでに終わっていましたので、今日はプレッシャーもなく、全力でレースに挑み、そしてレースを楽しめました。ウオームアップでは、マシンの感触はあまりよくありませんでしたが、PTR Hondaがすばらしい仕事をしてくれましたので、決勝ではいい戦いができました。家族や友人が来てくれていて、とてもうれしかったです。この一年間、一緒に戦ったPTR Hondaに感謝したいです。すばらしい一年でした。来年はシーズン序盤からしっかり戦えるようにしたいですね」
サム・ロース(スーパースポーツ 2位) 「コンディションは完ぺきではありませんでしたが、優勝するチャンスはあると思っていました。今回はドライでとてもいいペースがありましたので、今日の天気は残念でした。それでも、チームはすばらしい仕事をしてくれましたし、今日のウエットでもすばらしいマシンを準備してくれました。最終的に2位でレースを終えて、チャンピオンシップでも3位になることができて、とてもうれしいです。すばらしい仕事をしてくれたチームに感謝したいです」
マシュー・ショルツ(スーパースポーツ 7位) 「スタートはあまりよくなく、フィーリングもあまりよくありませんでした。かなりスライドして19番手くらいまで下がってしまいましたが、その後、追い上げることができました。シーズンベストで最終戦を終えられてよかったですし、このような形でシーズンを終えられることができてとてもうれしいです。シーズン前半はあまりよくなかったですが、最終戦を7位で終えられて、これで2013年に向けて自信を持つことができました。来年が楽しみです。Bogdanka PTR Honda、そしてチームとすべてのファンに感謝したいです」
ガボール・タルマクシ(スーパースポーツ 9位) 「もう少しいい結果を期待していましたが、タイヤの消耗が激しく、最後までプッシュできませんでした。セッティングが決まっていなかったことが、タイヤの消耗にもつながりました。今年は8戦に出場して、すべてのレースでポイントを獲得できたことはよかったです。来年はもっといい結果を出したいです」
ローナン・クォーンビー(スーパースポーツ 26位) 「フィーリングはよかったのですが、コースアウトを喫して、大きく順位を落としてしまいました。コースに復帰してからは、あまりフィーリングはよくなくて、ペースを上げることができませんでした。路面コンディションがとても難しく、路面が乾き始めていたせいかもしれません。残念な結果でしたが、チャンピオンシップを8位で終えられてよかったです。自己ベストになり、全体的にはすばらしいシーズンでした」
ブロック・パークス(スーパースポーツ 27位) 「とてもいいスタートが切れましたし、バックストレートでは2番手でした。でもすぐにリアグリップがおかしくなり、すべてのコーナーでスピンするようになりました。ウオームアップでとてもフィーリングがよくて速かったので、信じられない気持ちでした。その後、スピンがひどくなりすぎたので、ピットに戻ってタイヤを交換しました。それでも感触は悪くて再びピットに戻り、タイヤの空気圧を変えたらだいぶんよくなりましたが、信じられない結果に終わりました」
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | S.ギュントーリ | ドゥカティ | 23 | 44:06.299 |
2 | M.メランドリ | BMW | 23 | +6.127 |
3 | T.サイクス | カワサキ | 23 | +16.595 |
4 | M.ベルガ― | ドゥカティ | 23 | +21.857 |
5 | L.ハスラム | BMW | 23 | +25.149 |
6 | A.バドビーニ | BMW | 23 | +32.778 |
13 | ジョナサン・レイ | Honda | 18 | +5Laps |
RT | 青山博一 | Honda | 7 | +16Laps |
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | T.サイクス | カワサキ | 23 | 38:15.725 |
2 | ジョナサン・レイ | Honda | 23 | +1.354 |
3 | S.ギュントーリ | ドゥカティ | 23 | +2.393 |
4 | E.ラバティ | アプリリア | 23 | +13.122 |
5 | M.ビアッジ | アプリリア | 23 | +13.955 |
6 | D.ジュリアーノ | ドゥカティ | 23 | +18.229 |
14 | 青山博一 | Honda | 23 | +1:05.487 |
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | ジュール・クルーゼル | Honda | 22 | 42:20.985 |
2 | サム・ロース | Honda | 22 | +1.591 |
3 | D.リンフット | カワサキ | 22 | +27.615 |
4 | K.ソフォーグル | カワサキ | 22 | +27.854 |
5 | F.フォーレ | カワサキ | 22 | +31.601 |
6 | A.バルドリーニ | トライアンフ | 22 | +46.745 |
7 | マシュー・ショルツ | Honda | 22 | +50.820 |
9 | ガボール・タルマクシ | Honda | 22 | +53.090 |
12 | バラージュ・ネメス | Honda | 22 | +58.375 |
13 | イムレ・トース | Honda | 22 | +1:00.363 |
18 | マーティン・ジェソップ | Honda | 22 | +1:36.675 |
22 | ミゲル・プライア | Honda | 22 | +1:48.178 |
24 | ミッチェル・カー | Honda | 21 | +1Lap |
25 | ロバート・タンブリーニ | Honda | 21 | +1Lap |
26 | ローナン・クォーンビー | Honda | 21 | +1Lap |
27 | ブロック・パークス | Honda | 21 | +1Lap |
RT | ダニーロ・マランコーニ | Honda | 19 | +3Laps |
RT | バレンタン・ドゥビーズ | Honda | 4 | +18Laps |
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M.ビアッジ | アプリリア | 358 |
2 | T.サイクス | カワサキ | 357.5 |
3 | M.メランドリ | BMW | 328.5 |
4 | C.チェカ | ドゥカティ | 287.5 |
5 | ジョナサン・レイ | Honda | 278.5 |
6 | E.ラバティ | アプリリア | 263.5 |
18 | 青山博一 | Honda | 61.5 |
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | アプリリア | 444.5 |
2 | BMW | 421 |
3 | ドゥカティ | 416 |
4 | カワサキ | 397.5 |
5 | Honda | 293.5 |
6 | スズキ | 136.5 |
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | K.ソフォーグル | カワサキ | 231 |
2 | ジュール・クルーゼル | Honda | 210 |
3 | サム・ロース | Honda | 172 |
4 | F.フォーレ | カワサキ | 171 |
5 | ブロック・パークス | Honda | 135 |
6 | S.モライス | カワサキ | 96 |
8 | ローナン・クォーンビー | Honda | 84 |
12 | ロバート・タンブリーニ | Honda | 50 |
13 | ガボール・タルマクシ | Honda | 44 |
16 | マシュー・ショルツ | Honda | 28 |
17 | ロレンソ・ランツィ | Honda | 25 |
20 | イムレ・トース | Honda | 19 |
22 | バラージュ・ネメス | Honda | 17 |
24 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 15 |
28 | バレンタン・ドゥビーズ | Honda | 10 |
33 | ルーカス・ペセック | Honda | 6 |
34 | トーマス・カイアーニ | Honda | 4 |
35 | パトリック・ジェイコブセン | Honda | 3 |
37 | ディノ・ロンバルディ | Honda | 2 |
38 | キーラン・クラーク | Honda | 2 |
40 | マーティン・ジェソップ | Honda | 1 |
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 287 |
2 | カワサキ | 273 |
3 | トライアンフ | 125 |
4 | ヤマハ | 110 |
5 | スズキ | 6 |