
開幕戦オーストラリア大会の決勝は、開幕前の事前テストで不運にも転倒し、両手などを負傷したジョナサン・レイ(Castrol Honda World Superbike Team)が予選12番手からスタートして両レースともに健闘。サーキットに集まったファンを喜ばせた。第1レースは3位争いに加わったが、レース中盤に痛恨のコースアウトを喫し、大幅に順位を落として12位。第2レースは、し烈な4位争いのグループに加わり、4位でチェッカーを受けた。
金曜日、土曜日と天候に恵まれたフィリップアイランド。決勝日は雨で始まり、ウオームアップはウエットコンディション。事前テストの転倒で体調が万全でないレイは、雨の中で好タイムをマークして僅差の5番手につけた。しかし、午後に行われた決勝レースはコンディションが回復して2レースともにドライレースとなり、厳しい走りを強いられた。満身創痍の状態での戦いとなったが、12位、4位と両レースでポイントを獲得。タイトル獲得に向けて、次戦からの巻き返しに期待をつないだ。
Hondaチームに移籍して初めてのレースとなったルーベン・チャウス(Castrol Honda World Superbike Team)は、予選16番手から好スタートを切るも、第1レースはオープニングラップの混戦の中で大幅に順位を落としてしまう。追い上げようと全力を尽くしたが、ペースの違う集団につかまって16位に終わり、ポイント獲得を果たせなかった。セッティングを変えて挑んだ第2レースは、オープニングラップで14番手と第1レース同様に出遅れるも、着実に順位を上げて10位でチェッカーを受けた。今大会は高速コーナーで課題を抱え、厳しい戦いを強いられた。しかし、2レースを走り切ったことで、次戦に向けて貴重なデータを獲得することに成功した。
優勝したのはカルロス・チェカ(ドゥカティ)。今大会は好調で、ポールポジションから2レースとも制した。
スーパースポーツ世界選手権は、予選3番手から好スタートを切ったサム・ロース(Parkalgar Honda)が優勝争いに加わり、世界選手権デビュー戦で3位表彰台に立った。昨年の英国スーパースポーツチャンピオンのロースは、ウインターテストで好走を見せて注目を集めていたが、オープニングラップ2番手から何度もトップに立つ元気な走りを見せた。最終ラップには前を走るルカ・スカッサ(ヤマハ)を抜いてトップに立つも、最終コーナーからのストレートで、スカッサとブロック・パークス(カワサキ)にスリップストリームを使われ、3位にポジションを落とした。表彰台に立った3選手の差はわずか0.033秒。デビュー優勝こそ逃したが、横一線になってチェッカーをくぐり、フィリップアイランドに集まった観衆を沸かせた。
以下、CBR600RR勢は、ロビン・ハームス(Harms Benjan Racing Team)5位。英国スーパーバイク選手権からスイッチのジェームス・エリソン(Bogdanka PTR Honda)が6位。フローリアン・マリーノ(Hannspree Ten Kate Honda)7位と続いた。予選2番手からトップグループに加わったファビアン・フォーレはリタイアした。
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 12位/4位) 「本当に疲れ果ててしまった。でも、ここ数日やってきたことが結果につながったし、かなり満足している。第1レースは腕に全く力が入らなかった。第2レースは芳賀(アプリリア)を抜いたけれど、彼に抜かれたときは、ついていくことができなかった。今回は体力がなかった。でも、レース終盤は誰よりもラップタイムを維持できることがわかっていた。バイクはとてもよくて、ファブリッツォ(スズキ)とハスラム(BMW)に追いつくまで33秒台をキープすることができた。そこで少し休んで彼らの走りを見た。ハスラムは数カ所で抜ける自信はあったが、最終ラップまで体力を温存していた。水曜日に病院で横たわっているときには、4位になるなんて誰も信じなかったと思う。チームに感謝している。トレーナーが、セッションとレースの間に身体をリラックスさせてくれた。また、バイクもずっと調子がよかった。ただ、ストレートでもう少しスピードが必要だと思った。なぜなら1コーナーでほかのライダーを抜くのに苦労したからね。でも総合的には満足している」
ルーベン・チャウス(スーパーバイク 16位/10位) 「第1レースはあまりにも悲惨だった。スタートしてすぐに4コーナーでブレーキングミスをして5つポジションを落としてしまい、さらに遅いグループにつかまってしまった。失った分を取り戻そうとがんばったけれど、序盤にタイヤをずいぶん使ってしまった。あと5つ上の位置でフィニッシュできたと思う。第1レースはまったく想定外の結果だったが、第2レースに向けてセッティングを完全に変えた。いくつかの問題は解決できなかったが、全体的にかなりよくなった。2レースともに完走できたし、今日はたくさんのことを学べた。第2戦のイギリスにつながるレースができたと思う」
サム・ロース(スーパースポーツ 3位) 「自分にとってとてもいいレースだった。Parkalgar Hondaでの最初のレースだったからね。正直、少しナーバスになっていたけれど、いいスタートが切れたし、周りもよく見えていた。レースは長いとわかっていたからタイヤのことを考えた。最終ラップでルカ(ヤマハ)を抜いたけれど、スリップにつかれて最後に抜かれた。優勝できなかったのは残念だが、初めてのレースで3位はすばらしい。自分のチームとすばらしいバイクに感謝している。今日は本当に楽しめた」
ロビン・ハームス(スーパースポーツ 5位) 「大変だったけれどいいレースだった。10周を終えたころにタイヤが終わってしまったのが残念だった。フォーレを抜いて6位に上がったときに、デービス(ヤマハ)が問題をかかえているのが見えて、さらに1つポジションを上げた。残り10周はレースを引っ張るグループにいたいと思ったが、それはできなかった。今日は自分のペースで走って5位になれたので、チームにとってはとてもいいシーズンのスタートとなった」
ジェームス・エリソン(スーパースポーツ 6位) 「ケガをしている足の代わりに、上半身でバイクをコントロールしなければならなかったので、体力的に厳しかった。普段はレースで疲れないから本当に戸惑った。ストレートではバイクにしがみつかなければならず、腕が疲れはじめた。でも、ポイントを獲得することができたし、いいスタートが切れた」
スーパーバイク(レース1)
| 順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | C.チェカ | ドゥカティ | 22 | 34:16.503 |
| 2 | M.ビアッジ | アプリリア | 22 | +4.365 |
| 3 | L.ハスラム | BMW | 22 | +10.719 |
| 4 | E.ラバティ | ヤマハ | 22 | +11.266 |
| 5 | M.メランドリ | ヤマハ | 22 | +11.293 |
| 6 | M.ファブリッツォ | スズキ | 22 | +12.039 |
| 12 | ジョナサン・レイ | Honda | 22 | +31.059 |
| 16 | ルーベン・チャウス | Honda | 22 | +41.928 |
スーパーバイク(レース2)
| 順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | C.チェカ | ドゥカティ | 22 | 34:15.041 |
| 2 | M.ビアッジ | アプリリア | 22 | +1.188 |
| 3 | M.メランドリ | ヤマハ | 22 | +1.406 |
| 4 | ジョナサン・レイ | Honda | 22 | +10.563 |
| 5 | L.ハスラム | BMW | 22 | +10.885 |
| 6 | L.キャミア | アプリリア | 22 | +16.914 |
| 10 | ルーベン・チャウス | Honda | 22 | +19.053 |
スーパースポーツ
| 順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | L.スカッサ | ヤマハ | 21 | 33:34.739 |
| 2 | B.パークス | カワサキ | 21 | +0.009 |
| 3 | サム・ロース | Honda | 21 | +0.033 |
| 4 | D.サロン | カワサキ | 21 | +0.272 |
| 5 | ロビン・ハームス | Honda | 21 | +16.969 |
| 6 | ジェームス・エリソン | Honda | 21 | +23.943 |
| 7 | フローリアン・マリーノ | Honda | 21 | +31.788 |
| 9 | アレクサンダー・ルンド | Honda | 21 | +31.870 |
| 12 | オンドレイ・ジュゼク | Honda | 21 | +56.116 |
| 13 | バスティン・シェゾー | Honda | 21 | +1:00.055 |
| 14 | バラージュ・ネメス | Honda | 21 | +1:05.999 |
| 15 | イムレ・トース | Honda | 21 | +1:06.318 |
| 16 | ウラジミール・イワノフ | Honda | 21 | +1:14.472 |
| RT | ファビアン・フォーレ | Honda | 15 | +6Laps |
| RT | ミゲル・プライア | Honda | 10 | +11Laps |
| RT | パウェル・スコペック | Honda | 10 | +11Laps |
| RT | ジノ・レイ | Honda | 5 | +16Laps |
| RT | ミッチェル・ピロッタ | Honda | 1 | +20Laps |
ライダー(スーパーバイク)
| 順位 | ライダー | マシン | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | C.チェカ | ドゥカティ | 50 |
| 2 | M.ビアッジ | アプリリア | 40 |
| 3 | M.メランドリ | ヤマハ | 27 |
| 4 | L.ハスラム | BMW | 27 |
| 5 | M.ファブリッツォ | スズキ | 18 |
| 6 | ジョナサン・レイ | Honda | 17 |
| 13 | ルーベン・チャウス | Honda | 6 |
マニュファクチャラー(スーパーバイク)
| 順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | ドゥカティ | 50 |
| 2 | アプリリア | 40 |
| 3 | ヤマハ | 29 |
| 4 | BMW | 27 |
| 5 | スズキ | 18 |
| 6 | Honda | 17 |
| 7 | カワサキ | 15 |
ライダー(スーパースポーツ)
| 順位 | ライダー | マシン | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | L.スカッサ | ヤマハ | 25 |
| 2 | B.パークス | カワサキ | 20 |
| 3 | サム・ロース | Honda | 16 |
| 4 | D.サロン | カワサキ | 13 |
| 5 | ロビン・ハームス | Honda | 11 |
| 6 | ジェームス・エリソン | Honda | 10 |
| 7 | フローリアン・マリーノ | Honda | 9 |
| 9 | アレクサンダー・ルンド | Honda | 7 |
| 12 | オンドレイ・ジュゼク | Honda | 4 |
| 13 | バスティン・シェゾー | Honda | 3 |
| 14 | バラージュ・ネメス | Honda | 2 |
| 15 | イムレ・トース | Honda | 1 |
マニュファクチャラー(スーパースポーツ)
| 順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | ヤマハ | 25 |
| 2 | カワサキ | 20 |
| 3 | Honda | 16 |
| 4 | トライアンフ | 6 |