第12戦イモラ大会決勝は、前日までの不安定な天候から一転、青空が広がる絶好のコンディションの中で行われた。予選11位から決勝に挑んだマックス・ノイキルヒナー(HANNspree Ten Kate Honda)は第1レース14位、第2レースも12位と、両レースでポイントを獲得した。また、前戦ドイツ大会から出場、WSB2戦目を迎えるファブリッツォ・ライ(ECHO CRS Honda)が第2レース、14位でフィニッシュして初ポイントを獲得した。
第1レース、オープニングラップ11番手につけたノイキルヒナーは、シルバン・ギュントーリ(スズキ)、シェーン・バーン(ドゥカティ)、ルーベン・シャウス(BMW)、ルカ・スカッサ(ドゥカティ)らとし烈なバトルを繰り広げ、一時は10番手まで浮上した。しかし、中盤以降は思うようにペースが上がらず、スカッサと厳しい13位争いを繰り広げ、最終ラップにかわされ14位でフィニッシュした。第2レースは序盤ペースが上がらず、一時16番手までポジションを落とした。しかし、中盤から後半にかけて順位を上げて12位でフィニッシュ。第8戦サンマリノ大会以来、4戦ぶりに両レースでポイントを獲得した。
2戦目を迎えるライは、予選19番手から決勝に挑み、第1レースは19位だったが、第2レースは14位でチェッカーを受け、初ポイントを獲得した。
今大会は第1レース、第2レースともにカルロス・チェカ(ドゥカティ)が優勝。芳賀紀行(ドゥカティ)が第1レース3位、第2レース2位。第1レースの2位にロレンソ・ランツィ(ドゥカティ)。第2レースの3位にカル・クロッチロー(ヤマハ)が入った。
前戦ドイツ大会を終えた時点で、4勝を含む10回の表彰台で総合3位のジョナサン・レイ(HANNspree Ten Kate Honda)は予選2番手と好調だったが、ウエットコンディションとなったスーパーポールで転倒、その際に左肩と左手首も痛めていた。朝のウオームアップで走行したが、左腕に力が入らず転倒、決勝を走り切ることが不可能との判断で、欠場を決めた。そのため、ノーポイントに終わったが、総合3位をキープし、2戦連続となる最終戦フランス大会に挑むことになった。
また、第1レースで11位、第2レースで5位でフィニッシュしたマックス・ビアッジ(アプリリア)が、2010年スーパーバイク世界選手権のタイトルを獲得した。
スーパースポーツは、今季4回目のポールポジションを獲得してタイトル王手のケナン・ソフォーグル(HANNspree Ten Kate Honda)と、総合2位で予選2番手のユージェーヌ・ラバティ(Parkalgar Honda)のCBR600RR勢同士の一騎打ちとなった。序盤はソフォーグル、中盤はラバティ。そして終盤は再びソフォーグルが首位に立つ壮絶な戦いとなった。
最終ラップを迎えた2人は、もつれるようにホームストレートを通過する。そして、最終ラップの最終コーナーでソフォーグルをパスしようとしたラバティが痛恨のミス。ソフォーグルを巻き込んで、ともに転倒を喫した。
その間に、予選3番手から最終ラップ3番手につけていたソフォーグルのチームメートのミケーレ・ピロがトップに浮上してチェッカーを受けるという大波乱のレースだった。2位には、コースに復帰したソフォーグル。続いてラバティ。大荒れの展開もCBR600RR勢の手に汗を握らせる表彰台を独占する戦いに、大きな拍手が送られた。
この結果、総合首位のソフォーグルと総合2位のラバティのポイント差は16点。チャンピオン決定は、最終戦へと持ち越された。
マックス・ノイキルヒナー(スーパーバイク 14位/12位) 「今日の最大の問題は、グリップ不足だった。第1レースはフリー、予選と同じタイヤで走ったのだが、レース前半が終わるころにはタイヤの消耗が激しく、グリップが厳しくなっていた。第2レースは、今日みんなが使っていたもう1種類のタイヤを使い、後半、まずまずのリズムで乗ることができた。今日はサスペンションが動きすぎているような感じで、車体のバランスもあまりよくなかった」
ファブリッツォ・ライ(スーパーバイク 19位/14位) 「スーパーバイクでイモラを走るのは初めてだった。そのレースでこうして2ポイントを獲得できてとてもうれしい。イモラを走ったのは、2003年のイタリア選手権が最後だった。しかも125ccだったので、まるで違うサーキットを走っているようだった」
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 欠場) 「昨日のスーパーポールの転倒で左肩と手首を痛め、痛みがひどいので、ウオームアップを走ってどうするか決めようと思っていた。そのウオームアップで、左腕がちゃんと機能せず、転んでしまった。それで欠場することを決めた。来週のレースに向けて、もう一度しっかり検査をして治療したい」
ミケーレ・ピロ(スーパースポーツ 優勝) 「初優勝することができて、本当に信じられない。今回はホームレースだったし、今シーズン、これまであまりよくなかったので、とてもうれしい。ケナンとユージェーヌが最終コーナーで転倒したから勝てたのは確かだけど、それでも最高にうれしい。すばらしい仕事をしてくれたチームに心から感謝している。チームとしても、1位と2位を獲得できたし、みんなにおめでとうと言いたい。次はいよいよマニクールでの最後のレース。また表彰台に上ってシーズンをいい形で終わらせたい」
ケナン・ソフォーグル(スーパースポーツ 2位) 「今大会はずっといい状態だったし、今日のレースも勝てる自信があった。優勝に向けて準備万端だった。ユージェーヌが僕と一緒に走れるほど、十分にスピードがあったかどうかはよくわからない。彼はついてきたけれど、彼が前に出たときは、まるで僕をブロックしているようだった。最後の数周、僕はがんばってプッシュしたが、彼はそれでも付いてきた。そして、彼の最後のアタックは限界を超えていた。僕はブレーキングをギリギリまで遅らせていたし、まるで彼の行為は僕を巻き込んで転倒したいような感じだった。幸い、再スタートすることができたし、ユージェーヌの前でフィニッシュできたのはとてもラッキーだった。もちろん優勝したかったけれど、今回はかなわなかった。でも16ポイントのアドバンテージを持って次のマニクールに行けることを思えば、よかったのかも知れない」
ユージェーヌ・ラバティ(スーパースポーツ 3位) 「自分自身への怒りがおさまらない。今日は左腕がレース終盤に向けてしびれ始めたので、右腕だけでバイクに乗っていた。古傷の痛みが再発してしまった。今は治すことを最優先にしたい。レース中、僕がリードしたときは腕を休ませるためにペースを抑えた。しかしケナンが前に出ると、全力で付いていかなければならなかった。ラストラップは自分の思うような動きができなかった。でも最終コーナーの進入は、ケナンが僕にプレッシャーを与えたので僕はフロントを失ってしまった。バイクを起こしてレースに戻るのにケナンより少し時間がかかってしまった。次のマニクールはシーズンの最後のレースなので、ベストを尽くして優勝したい。どうなるか楽しみだ」
スーパーバイク(レース1)
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | C.チェカ | ドゥカティ | 21 | 38:27.631 |
2 | L.ランツィ | ドゥカティ | 21 | +1.171 |
3 | 芳賀紀行 | ドゥカティ | 21 | +1.472 |
4 | J.シュムルツ | アプリリア | 21 | +6.691 |
5 | L.ハスラム | スズキ | 21 | +9.584 |
6 | T.サイクス | カワサキ | 21 | +10.979 |
14 | マックス・ノイキルヒナー | Honda | 21 | +31.689 |
19 | ファブリッツォ・ライ | Honda | 21 | +1:15.939 |
スーパーバイク(レース2)
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | C.チェカ | ドゥカティ | 21 | 38:24.452 |
2 | 芳賀紀行 | ドゥカティ | 21 | +2.129 |
3 | C.クロッチロー | ヤマハ | 21 | +3.926 |
4 | T.サイクス | カワサキ | 21 | +5.762 |
5 | M.ビアッジ | アプリリア | 21 | +7.025 |
6 | S.バーン | ドゥカティ | 21 | +12.147 |
12 | マックス・ノイキルヒナー | Honda | 21 | +34.804 |
14 | ファブリッツォ・ライ | Honda | 21 | +1:03.102 |
スーパースポーツ
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | ミケーレ・ピロ | Honda | 19 | 36:07.906 |
2 | ケナン・ソフォーグル | Honda | 19 | +2.888 |
3 | ユージェーヌ・ラバティ | Honda | 19 | +4.569 |
4 | B.パークス | カワサキ | 19 | +4.865 |
5 | 藤原克昭 | カワサキ | 19 | +5.718 |
6 | マッシモ・ロッコリ | Honda | 19 | +6.102 |
7 | マーク・エイチソン | Honda | 19 | +9.977 |
10 | ジャンルカ・ビジエロ | Honda | 19 | +28.436 |
15 | アレクサンダー・ルンド | Honda | 18 | +1Lap |
RT | イムレ・トース | Honda | 13 | +6Laps |
RT | ロビン・ハームス | Honda | 10 | +9Laps |
RT | ジノ・レイ | Honda | 3 | +16Laps |
RT | ミゲル・プライア | Honda | 0 | - |
RT | ローナン・クォーンビー | Honda | 0 | - |
ライダー(スーパーバイク)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M.ビアッジ | アプリリア | 413 |
2 | L.ハスラム | スズキ | 350 |
3 | ジョナサン・レイ | Honda | 288 |
4 | C.チェカ | ドゥカティ | 274 |
5 | C.クロッチロー | ヤマハ | 239 |
6 | 芳賀紀行 | ドゥカティ | 238 |
18 | マックス・ノイキルヒナー | Honda | 47 |
21 | ブロック・パークス | Honda | 9 |
22 | ジョシュア・ブルックス | Honda | 6 |
28 | ファブリッツォ・ライ | Honda | 2 |
マニュファクチャラー(スーパーバイク)
順位 | ライダー | ポイント |
---|---|---|
1 | アプリリア | 433 |
2 | ドゥカティ | 392 |
3 | スズキ | 379 |
4 | ヤマハ | 307 |
5 | Honda | 305 |
6 | BMW | 201 |
7 | カワサキ | 100 |
ライダー(スーパースポーツ)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | ケナン・ソフォーグル | Honda | 243 |
2 | ユージェーヌ・ラバティ | Honda | 227 |
3 | J.ラスコルツ | カワサキ | 168 |
4 | C.デイビス | トライアンフ | 137 |
5 | ミケーレ・ピロ | Honda | 91 |
6 | D.サロン | トライアンフ | 90 |
7 | ロビン・ハームス | Honda | 87 |
8 | ジノ・レイ | Honda | 83 |
10 | マッシモ・ロッコリ | Honda | 71 |
13 | ミゲル・プライア | Honda | 60 |
16 | アレクサンダー・ルンド | Honda | 24 |
19 | ダニーロ・デロモ | Honda | 13 |
20 | ジャンルカ・ビジエロ | Honda | 10 |
21 | マーク・エイチソン | Honda | 9 |
24 | バスティン・シェゾー | Honda | 8 |
25 | サム・ロース | Honda | 6 |
27 | ランス・アイザック | Honda | 5 |
28 | クリスチャン・イドン | Honda | 4 |
30 | ダニエル・ブコウスキ | Honda | 3 |
32 | アンドレア・ボスコスクーロ | Honda | 3 |
35 | イムレ・トース | Honda | 2 |
36 | トマス・オルベク | Honda | 1 |
マニュファクチャラー(スーパースポーツ)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 295 |
2 | カワサキ | 201 |
3 | トライアンフ | 152 |
4 | ヤマハ | 30 |