第8戦サンマリノ大会決勝は、午前中は雨、午後になって青空が広がる天候となった。ウエットコンディションでスタートが切られた第1レースは、レース中盤からドライコンディションへ。MotoGPクラス同様、今年からスーパーバイク世界選手権も“フラッグ・トゥ・フラッグ”が採用されているため、スーパーバイクでは初めてレース中にバイクチェンジをする戦いとなった。ドライコンディションでスタートした第2レースも、序盤に小雨が降り“フラッグ・トゥ・フラッグ”が適用されたが、バイクチェンジを必要とするコンディションにはならなかった。
第1レースはバイク交換でめまぐるしく順位が入れ代わる中、ベン・スピーズ(ヤマハ)が優勝。2位にシェーン・バーン(ドゥカティ)。3位にミッシェル・ファブリッツォ(ドゥカティ)という結果だった。CBR1000RR勢は、予選2番手から決勝に挑んだジョナサン・レイ(HANNspree Ten Kate Honda)が、サイティングラップ中にバイクがコース上でストップ。そのためペナルティで、最後尾からスタートすることになるも、すばらしい追い上げを見せ7位でフィニッシュ。予選22番手のマシュー・ラグリブ(HANNspree Honda Althea)が10位。
バイク交換するまでのウエットコンディションで2位までポジションを上げたカルロス・チェカ(HANNspree Ten Kate Honda)は、スリックタイヤを装着したバイクにチェンジする際、エンジンがかからずタイムロス。11位に終わった。以下、レオン・ハスラム(Stiggy Motorsport AB)12位、予選8番手から決勝に挑んだ清成龍一(Ten Kate Honda Racing)は、オープニングラップにレイと接触、シフトペダルにトラブルが発生し、リタイアとなった。
第2レースは、小雨がぱらついたことで、レース序盤に“フラッグ・トゥ・フラッグ”ルールが適用、スタートからフィニッシュまで厳しい戦いが繰り広げられた。トップグループを形成したのは、レイにファブリッツォと芳賀紀行のドゥカティ勢2人を加えた3人。最終ラップまで何度もポジションを入れ代える厳しい戦いの中で、最終ラップでトップに浮上したレイが、スーパーバイク世界選手権初優勝を達成した。2位はファブリッツォ、3位には芳賀が入った。
この3台を最後まで追ったチェカが5位でフィニッシュ。第1レースはバイクチェンジの際のミスで表彰台を逃したが、第2レースはその悔しさを晴らすかのような快走を見せた。ラスト2周までトップの3人を僅差で追い、4番手を走行。最終ラップにヤコブ・シュムルツ(ドゥカティ)にかわされ、5位へポジションを落としたが、トップ3台を追い詰めた走りにファンから大きな拍手が送られた。
その後方では、ハスラムがスピーズとの戦いを制して8位。清成はペースが上がらず14位。今大会復帰のジョン・ホプキンス(Stiggy Motorsport AB)は、ケガの回復状態が完全ではないために決勝をキャンセルした。
スーパースポーツは、ユージェーヌ・ラバティ(Parkalgar Honda)が、カル・クロッチロー(ヤマハ)と優勝を争い、惜しくも2位。今季ベストグリッドの3番手から好スタートを切ったマッシモ・ロッコリ(Honda)は、ホアン・ラスコルツ(カワサキ)を抑えて、今季初表彰台となる3位でチェッカーを受けた。
以下、CBR600RR勢は、マーク・エイチソン(HANNspree Honda Althea)5位、アンソニー・ウェスト(Stiggy Motorsport AB)7位。今大会は、レース中盤の転倒事故のために赤旗中断となり、2ヒートの合算タイムで順位が確定した。ユージェーヌ・ラバティ(Parkalgar Honda)は、赤旗中断までの第1ヒートでトップ。第2ヒートでクロッチローにわずかに後れたことで惜しくも優勝を逃した。HANNspree Ten Kate Hondaのアンドリュー・ピットとケナン・ソフォーグルは、第1ヒートで転倒リタイアに終わった。
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | B.スピーズ | ヤマハ | 24 | 45:02.773 |
2 | S.バーン | ドゥカティ | 24 | +7.931 |
3 | M.ファブリッツォ | ドゥカティ | 24 | +11.836 |
4 | J.シュムルツ | ドゥカティ | 24 | +11.886 |
5 | 芳賀紀行 | ドゥカティ | 24 | +31.670 |
6 | 加賀山就臣 | スズキ | 24 | +33.241 |
7 | ジョナサン・レイ | Honda | 24 | +35.772 |
10 | マシュー・ラグリブ | Honda | 24 | +59.921 |
11 | カルロス・チェカ | Honda | 24 | +1:04.285 |
12 | レオン・ハスラム | Honda | 24 | +1:04.313 |
20 | V.イアンヌッツォ | Honda | 23 | +1Lap |
RT | 清成龍一 | Honda | 0 | - |
DNS | ジョン・ホプキンス | Honda | 0 | - |
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | ジョナサン・レイ | Honda | 24 | 39:11.204 |
2 | M.ファブリッツォ | ドゥカティ | 24 | +0.063 |
3 | 芳賀紀行 | ドゥカティ | 24 | +0.457 |
4 | J.シュムルツ | ドゥカティ | 24 | +3.635 |
5 | カルロス・チェカ | Honda | 24 | +4.460 |
6 | S.バーン | ドゥカティ | 24 | +4.538 |
8 | レオン・ハスラム | Honda | 24 | +12.763 |
14 | 清成龍一 | Honda | 24 | +24.547 |
21 | マシュー・ラグリブ | Honda | 24 | +48.973 |
24 | V.イアンヌッツォ | Honda | 24 | +57.589 |
順位 | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | C.クロッチロー | ヤマハ | 22 | 36:51.032 |
2 | ユージェーヌ・ラバティ | Honda | 22 | +0.263 |
3 | M.ロッコリ | Honda | 22 | +16.289 |
4 | J.ラスコルツ | カワサキ | 22 | +20.894 |
5 | マーク・エイチソン | Honda | 22 | +21.615 |
6 | 藤原克昭 | カワサキ | 22 | +22.272 |
7 | アンソニー・ウェスト | Honda | 22 | +25.099 |
10 | ミゲル・プライア | Honda | 22 | +49.578 |
11 | ジャンルカ・ビジエロ | Honda | 22 | +51.446 |
12 | F.ジェンティーレ | Honda | 22 | +54.391 |
13 | D.デロモ | Honda | 22 | +1:00.324 |
14 | A.ボス | Honda | 22 | +1:11.594 |
RT | ケナン・ソフォーグル | Honda | 8 | +14Laps |
RT | B.ヴェネマン | Honda | 8 | +14Laps |
RT | M.ラバティ | Honda | 8 | +14Laps |
RT | P.ボスタレク | Honda | 5 | +17Laps |
RT | R.ハームス | Honda | 4 | +18Laps |
RT | J.ギュンター | Honda | 3 | +19Laps |
RT | アンドリュー・ピット | Honda | 2 | +20Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 芳賀紀行 | ドゥカティ | 292 |
2 | B.スピーズ | ヤマハ | 244 |
3 | M.ファブリッツォ | ドゥカティ | 237 |
4 | ジョナサン・レイ | Honda | 167 |
5 | M.ビアッジ | アプリリア | 135 |
6 | レオン・ハスラム | Honda | 134 |
8 | カルロス・チェカ | Honda | 109 |
10 | 清成龍一 | Honda | 98 |
21 | ジョン・ホプキンス | Honda | 9 |
24 | マシュー・ラグリブ | Honda | 6 |
25 | トミー・ヒル | Honda | 6 |
28 | ロベルト・ロルフォ | Honda | 3 |
34 | J.ゼンケ | Honda | 1 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | ドゥカティ | 351 |
2 | ヤマハ | 287 |
3 | Honda | 240 |
4 | アプリリア | 142 |
5 | スズキ | 128 |
6 | BMW | 62 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | C.クロッチロー | ヤマハ | 160 |
2 | ユージェーヌ・ラバティ | Honda | 146 |
3 | ケナン・ソフォーグル | Honda | 108 |
4 | J.ラスコルツ | カワサキ | 86 |
5 | アンソニー・ウェスト | Honda | 75 |
6 | アンドリュー・ピット | Honda | 73 |
8 | マーク・エイチソン | Honda | 61 |
10 | M.ロッコリ | Honda | 40 |
13 | マシュー・ラグリブ | Honda | 38 |
14 | B.ヴェネマン | Honda | 30 |
15 | R.ハームス | Honda | 23 |
17 | ミゲル・プライア | Honda | 18 |
18 | ジャンルカ・ビジエロ | Honda | 15 |
20 | M.ラバティ | Honda | 5 |
22 | P.ボスタレク | Honda | 5 |
23 | F.ジェンティーレ | Honda | 4 |
24 | D.デロモ | Honda | 4 |
25 | A.ボス | Honda | 2 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | Honda | 178 |
2 | ヤマハ | 160 |
3 | カワサキ | 97 |
4 | トライアンフ | 53 |
5 | スズキ | 30 |
コメント
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 7位/優勝)
「今大会は初日から順調で、いいレースができると思っていた。ウエットからドライになった第1レースは、グリッドにつく際のサイティングラップでエンジンが止まり、最後尾からスタートしなければならなかった。最後尾にグリッドを下げられたペナルティと、新品のタイヤでスタートしなければならなかったことで、序盤は厳しかった。最終的に7位でフィニッシュできて本当によかった。第2レースは最高だった。言葉にできないほどうれしい。ドゥカティの2人と最終ラップまで激しいバトルとなったが、とても楽しかった。最終ラップは、それまでのラップと違うラインを走った。ファブリッツォを抜いたときも、思ったより簡単だった。ドゥカティのホームで勝てたことがうれしい。これから後半戦に向けて大きな自信になった」
カルロス・チェカ(スーパーバイク 11位/5位)
「第2レースは、トップの3台を追いかけたが、その差を縮めることができなかった。今回、ジョナサン(レイ)ほどセッティングが決まらず、リアに少し問題を抱えていた。しかし、これからのことを思えば、かなりポジティブなレースだった。今大会は新しいサスペンションを使い、そのセッティングに追われた。ウオームアップで試したいことがあったのだが、それができなかったことが第2レースに影響した。第1レースは残念な結果だったが、いい状態になってきたので、次のドニントンがすごく楽しみだ」
清成龍一(スーパーバイク リタイア/14位)
「第1レースはスタート直後のヘアピンで、ハイサイドを喫してバランスを崩した。そのために後ろにいたジョニー(レイ)と接触してしまった。その際にシフトペダルのパーツが破損し、チェンジができなくなったので、リタイアすることを決めた。第2レースは、完全にドライになったことで、サスペンションのセッティングを変えた。結局それが悪い方向にいき、ブレーキのフィーリングにも違和感があって、進入でタイムロスすることになった。タイヤの選択もベストとは言えなかった。フリー、予選といい感じで走れていただけにフラストレーションのたまるレースになった。次のドニントンでは、その雪辱を果たしたい」
ユージェーヌ・ラバティ(スーパースポーツ 2位)
「第1ヒートはスタートが決まらず、序盤にペースも上がらず13番手までポジションを落とした。それから追い上げることができたのだが、トップに立ったときに赤旗中断になった。第2ヒートに向けてセッティングを変更することにした。それが結果的によかった。第2ヒートはカル(クロッチロー)を追いかける展開となった。終盤にトップに立ったが引き離すことができなかった。最終ラップの最終コーナーで勝負しようと思ったが、リアをスライドさせて失敗してしまった。勝てなかったが、難しいレースで2位になれてよかった。次のドニントンはホーム大会なのですごく楽しみだ」