スーパーバイク世界選手権(SB)の開幕戦オーストラリア大会が、メルボルン近郊のフィリップアイランドで開催された。初日は33℃の猛暑となり厳しいコンディション。2日目は最高気温が23℃、雲が多かったため路面温度もそれほど上がらず、白熱したアタック合戦が繰り広げられた。
今年から予選方式が変更になった。昨年までは2日間で2回の予選を行い、上位16台がスーパーポールに進出、1台ずつのタイムアタックでグリッドを決めていた。今年は予選上位20番手までがスーパーポールに進出し、1回目のステージで20台から16台へ、2回目のステージで8人の選手が振り落とされるというノックダウン方式が採用された。
初の試みとなったスーパーポール。1セッション12分でインターバル7分というリズミカルなテンポでスケジュールは進行する。失敗の許されない緊張した12分間の戦い。CBR1000RR勢は6選手が出場、3選手が第3ステージに進出し、ジョナサン・レイ(HANNspree Ten Kate Honda)が3番手でフロントロー。レオン・ハスラム(Stiggy Motorsport AB)が6番手、カルロス・チェカ(HANNspree Ten Kate Honda)7番手で2列目を獲得した。清成龍一(Ten Kate Honda Racing)は第2ステージで10番手、最終ステージに進出を果たせずグリッドが確定。ロベルト・ロルフォ(Stiggy Motorsport AB)18番手、トミー・ヒル(HANNspree Honda Althea)は20番手だった。
予選第2セッションまでで総合首位と好調な走りを見せたレイは、スーパーポール第1ステージをトップで通過、第2ステージ4番手、第3ステージで3番手のタイムをマークしてフロントローを獲得した。新方式のスーパーポールは、3セッションで予選タイヤを2本使えるというルール。選手とチームにとっては、すべてが試行錯誤となったが、レイは好調をキープして手堅く乗りきった。昨年はスーパースポーツ世界選手権に出場して総合2位。昨シーズンの最終戦からSBにスイッチしたが、フル参戦のデビュー戦でフロントロー獲得と順調なスタートとなった。
予選12番手のハスラムは、第1ステージ12番手、第2ステージで3番手に浮上、第3ステージで最終的に6番グリッドへとポジションを上げた。開幕前にフィリップアイランドで行われた合同テストで転倒、肩を痛めているチェカは、予選で17番手と厳しい走りを強いられたが、短期決戦のスーパーポールでは7番手まで浮上することに成功した。
フル参戦2年目となる清成は、予選11番手から第1ステージ4番手と好調なスタートを切るも、第2ステージでは予選タイヤでのアタックに失敗して惜しくも10番手。ファイナルステージへの進出を逃した。しかし、予選、フリー走行と、決勝に向けてのロングランを入念に行っており仕上がりは上々。得意とする追い上げのレースで上位を狙う意気込みだ。
今回の予選は、2日間2回の総合タイムで、トップのレイからスーパーポール進出となる20番手までが1秒差以内という大接戦。スーパーポールでも、1分31秒台の好タイムを14人の選手がマークするレベルの高い戦いとなった。
ほかの日本人勢は、中野真矢(アプリリア)が9番手、加賀山就臣(スズキ)11番手、芳賀紀行(ドゥカティ)13番手、玉田誠(カワサキ)22番手だった。
スーパースポーツ(SS)は、一昨年のチャンピオンで2年ぶりに同クラスに復帰のケナン・ソフォーグル(HANNspree Ten Kate Honda)がPPを獲得。2番手にホアン・ラスコルツ(カワサキ)。昨年のチャンピオンで地元のアンドリュー・ピット(HANNspree Ten Kate Honda)は3番手と、2年連続地元Vに向けて好グリッドを獲得した。藤原克昭(カワサキ)は16番手だった。
順位 | ライダー | マシン | タイム |
1 | B.スピーズ | ヤマハ | 1:31.069 |
2 | M.ビアッジ | アプリリア | 1:31.402 |
3 | ジョナサン・レイ | Honda | 1:31.596 |
4 | J.シュムルツ | ドゥカティ | 1:31.600 |
5 | M.ファブリッツォ | ドゥカティ | 1:31.837 |
6 | レオン・ハスラム | Honda | 1:32.112 |
7 | カルロス・チェカ | Honda | 1:32.537 |
10 | 清成龍一 | Honda | 1:31.860 |
18 | ロベルト・ロルフォ | Honda | 1:32.997 |
20 | トミー・ヒル | Honda | 1:33.363 |
27 | V.イアンヌッツォ | Honda | 1:35.767 |
順位 | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | ケナン・ソフォーグル | Honda | 1:34.320 |
2 | J.ラスコルツ | カワサキ | +0.369 |
3 | アンドリュー・ピット | Honda | +0.466 |
4 | C.クロッチロー | ヤマハ | +0.555 |
5 | ユージェーヌ・ラバティ | Honda | +0.642 |
6 | F.フォーレ | ヤマハ | +0.743 |
9 | マーク・エイチソン | Honda | +0.943 |
11 | R.ハームス | Honda | +1.146 |
12 | アンソニー・ウェスト | Honda | +1.265 |
14 | ミゲル・プライア | Honda | +1.360 |
15 | マシュー・ラグリブ | Honda | +1.475 |
17 | ジャンルカ・ビジエロ | Honda | +1.551 |
18 | M.ロッコリ | Honda | +1.708 |
21 | R.ホーランド | Honda | +2.059 |
23 | P.ボスタレク | Honda | +2.701 |
24 | D.デロモ | Honda | +2.755 |
25 | J.ギュンター | Honda | +2.850 |
26 | A.ボス | Honda | +3.024 |
27 | F.ライ | Honda | +3.399 |
コメント
ジョナサン・レイ(スーパーバイク 3番手)
「PPを取れなくて残念だった。でも、シーズン最初のレースでフロントローに並べてうれしい。新しいスタイルのスーパーポールは、かなりエキサイティングだった。31秒台に入った選手が多いことにも驚いた。本当にレベルの高い予選だった。正直、レースも厳しい戦いになると思う。おそらく、タイヤが消耗してくる終盤の戦いが、カギを握ることになる。そのときにペースをなるべく落とさず逃げられるようにしなければいけない」
清成龍一(スーパーバイク 10番手)
「最初のセッションはうまくいった。2回目は予選タイヤのアタックに失敗したが、レース用タイヤで31秒台が出せたので大丈夫だろうと思った。終わってみたら10番手。悔しかった。予選タイヤのアタックに失敗したのがすべてだった。新しい方式のスーパーポールは、何回もアタックできるのはうれしいが、セッションが細切れに続く感じで、集中するのが難しいように感じた。今回は3列目からのスタートになってしまったが、レースに向けてのセッティングはそれほど悪くないと思う。いいスタートを切ってトップグループで戦いたい」
ケナン・ソフォーグル(スーパースポーツ ポールポジション)
「今回はフロントローに並べればいいと思っていた。とにかく決勝に向けて高いアベレージで走れるようにバイクのセットアップに集中していたからね。結果的にPPを取ることができて本当にうれしい。明日は厳しいレースになるのは間違いない。タイヤがどこまで持つのかもわからない。しかし、表彰台と優勝を目指し、全力を尽くしたい」