モータースポーツ > FIT1.5チャレンジカップ > 現行車最強のFFコーナリングマシン。鈴鹿のコースレコードに見る。フィット3のポテンシャル
フィット1.5チャレンジカップ(フィット1.5CC)、2年目の最終戦の参加台数は17台にもおよび、もてぎから遠征ドライバーも参戦した。また最終戦ではコースレコードも更新し、ついに2分32秒台を記録。パワーに優る86/BRZの2分31秒台に肉薄した。そこで、鈴鹿のコースレコードからフィット3のポテンシャルをチェックした。
比較したのはフィット1.5CCと同様レース専用車のシビックEK9、インテグラDC5、シビックFD2、マーチカップカー、それからナンバー付きレース車両のN‐ONE、86/BRZ、ヴィッツだ。各車のレコードタイム、セクタータイム、最高速度、平均車速は表に示したとおり。当然ながらパワーウェイトレシオが軽く、タイヤサイズが大きいほど有利なので、FD2やDC5が速いのは当然のことといえる。
そのなかで逆バンクに至るまでのセクター1でのフィットのタイムに着目してもらいたい。ここではフィット3が性能的に勝るはずの86/BRZを上回っている。しかもEK9とのタイム差も約1秒に収まっている。これはフィット3のコーナリング性能の高さを物語っており、実際2コーナーからダンロップコーナーまでのフィット3の速さは「EK9とほとんど変わらない」という。
一見するとシビックや86/BRZと比べて重心が高くみえるフォルムのフィット3だが、実際に運転してみると重心の高さはほとんど感じないという。むしろEK9よりも短いホイールベースが軽快なフットワークを実現。それでいてリヤサスペンションがしっかり踏ん張るので、とても乗りやすい特性に仕上がっているのだろう。さらに、エンジンが軽量コンパクトな1.5Lだということも回頭性の向上に寄与しているといえる。
また現行車種であるフィット3は時流に合わせた設計がなされているのもレース車として有効に働いている。たとえば、衝突安全性を向上させているため、ベース車両の時点でボディ剛性がとても高いこと。フィット1.5CCの車両は補強を入れていないにも関わらず、レース車両として補強が施されたEK9との剛性感の差がそれほど大きくないのだ。
もうひとつ、燃費性能を向上させるためボディ形状、フラット化されている底面など空力性能的にも優れていると言うことだ。その結果、135馬力のエンジンでも200馬力クラスの車両と遜色ない走りを披露している。
潜在ポテンシャルが高いことを証明したフィット3。その一方でレース車両としては2年目の発展途上だと言うことを考えると、まだまだタイムアップの余地があると考えられる。さらにN1規定に準じているフィット3は、車高を含めたレース車両のセットアップを勉強したい若手ドライバーにも好評だ。これはナンバー付車両では経験できないポイント。フィット3の伸びしろはまだまだ計り知れない。
東コースの逆バンクまで続くセクター1でのフィット3のタイムはEK9にも迫る。
最終戦には17台のフィット3が参加。優勝はヒロボンが決めた。
フィット3を100とした場合の各車セクタータイムをグラフで示したもの。パワーがものを言うセクター3以外ではEK9や86/BRZに肉薄したタイムをフィット3は出している。