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FIT1.5チャレンジカップ

フィット1.5チャレンジカップ車両にみるもてぎEnjoy7時間耐久レースの戦い方 スピード勝負の4回給油か燃費重視の3回給油か

FIT 1.5チャレンジカップ 本格的コンパクトレーシングカーの世界へようこそ

昨年までは「1.5チャレンジカップクラス」だったが、今年は新たに「フィット1.5チャレンジカップクラス」(フィット1.5CC)に変わり、Joy耐だけのスポット参戦組や鈴鹿からの遠征組を含めて、18台が参戦した。

Joy耐は7時間という長丁場の耐久レース。ドライバーは2〜5人体制となり、レースの途中でドライバー交代や給油が必要になる。ドライバーは最低5回交代しなければならない。また給油についても3回以上の義務があり、フィットの場合は最大給油量30リットルと、ピット最低滞在時間が10分とされる。そのため、給油回数がレース戦略の重要な鍵となる。

具体的には2分26〜27秒程度で周回を重ねて、32周前後を目安に4回給油する作戦。もうひとつは約2分31〜32秒程度で燃費走行し、39周前後ごとに3回給油する作戦だ。そしてドライバー交代のみのピットインのタイミングをうまく計って、合計5回のドライバー交代義務をクリアするというもの。

各チームとも昨年の優勝ラップ数である155周から燃費を加味して、各スティントの周回数とラップタイムをシミュレーションして、レースに臨んでいる。

しかし、すべてがシミュレーション通りにいかないのがレース。Joy耐では、セーフティカー(SC)がどのタイミングで導入されるかも大きな要素となる。今年は3時間経過後にSCが入ったのだが、多くのチームがドライバー交代を消化するなか、ピットインせずにSC時のスロー走行で燃費を稼いだ62号車が結果的に優勝を飾った。

62号車は平均2分31秒前後で安定したラップを重ね、おおむね38周ごとに給油終盤に2回ドライバー交代をする作戦を採った。スーパー耐久での経験豊かな塩谷/小林ペアだけに、ラップタイムのばらつきがないことも有利に働いたと考えられる。もっとも、最後は燃料ギリギリとなっていたとのことで、塩谷は「SCで燃費を稼げたから助かったともいえます」と振り返っている。

逆にSCのタイミングで給油していた999号車は、燃費走行する機会に恵まれなかった。その結果、終盤からファイナルラップまでクラストップを走りながら、ガス欠でフィニッシュラインを通過できなかった。そのほか、SCでドライバー交代をしたものの、ピットアウトのタイミングで不利なポジションとなったチームもあり、例年どおりSCが勝敗を左右した形となったのもJoy耐らしい。

今年の総合優勝はS2000に奪われてしまったものの、フィットは総合2、3位をはじめ、トップ10に4台も入るという強さをみせた。2位の62号車と総合優勝した9号車のタイム差は2分8秒。もし昨年と同じく給油ピット時間が9分だったなら、62号車のタイムはあと3分短縮できた計算で、間違いなく総合優勝はフィットが獲得していたことだろう。

90台という参加台数を集めたJoy耐で、現行車は数少ない。そんな数少ない現行車のなかで、フィットの持つポテンシャルの高さ、燃費の良さが改めて証明されたといってもいいだろう。

フィット1.5CCクラスの2時間ごとのラップチャート

4回給油を選択した25号車は2分26秒台で周回して2時間経過時点までトップをキープしていたが、3時間経過後のSC導入で順位が大きく変わり、999号車と62号車がトップ争いを展開した。しかし999号車がファイナルラップにガス欠でストップしてしまい、クラス優勝は62号車に。そしてSCの影響も受けずに淡々と周回した1号車がクラス2位に入った。

Joy耐は3回以上の給油、5回以上のドライバー交代という要素に加えて、SCのタイミングなどが勝敗を左右する。今年もSCがチームの明暗を分けた。

2代目フィットも善戦。75号車は総合9位、クラス4位でフィニッシュを果たした。

3回給油作戦を完璧にこなし、なおかつSCのタイミングで燃費を稼ぐことができた62号車がクラス優勝、総合2位を果たした。

鈴鹿組もJoy耐に遠征

フィット1.5CC鈴鹿勢から25号車がジョイ耐に挑戦。もてぎでのデータが少ないこともあり、4回給油作戦でレースに臨んだ。SCのタイミングでドライバー交代を消化したが、コースに復帰したときのポジションが良くなく、終盤追い上げたものの、クラス3位、総合5位でフィニッシュ。 しかしJoy耐参戦の収穫はあったようで、サスペションのセッティングが劇的に進化。これは鈴鹿での次戦でも活きるという。またSUGOラウンドへの参戦もほのめかしていたので、再び鈴鹿勢と東日本勢との戦いが見られそうだ。

FIT 1.5 チャレンジカップ第3戦 ツインリンクもてぎ

●7月18-19日  ●7時間耐久  ●1周4.80138km  ●クラストップ車両周回数=154Laps  ●出走台数:18台  ●天候:晴れ  ●路面:ドライ

Pos. No. Driver Team/Car Type Lap Total Time Delay Best Lap
1 62 塩谷烈州/小林康一 G/MOTION’ WM FIT GK5 154 7:04'40.472 2'28.242(137/154)
2 1 中村ひかる/富田竜一郎/湯澤翔平/久保凛太郎/Takamori博士 DIJONワコーズED ニルズ FIT3 GK5 153 7:04'01.681 1Lap 2'26.396(132/153)
3 25 太田郁也/鶴田和弥/豊島貴大/伊藤俊哉/見並秀文 BRIDE ADVAN FIT GK5 151 7:03'41.104 3Laps 2'26.371(139/151)
4 75 芳賀邦行/寺岡 亮 SEEKER☆DXL☆GE8 GE8 150 7:03'26.178 4Laps 2'29.503(148/150)
5 2 柴田優作/井上恵一/神取彦一郎/大塚康行/青野誠之 ニルズレーシング ディジョン GK5 149 7:04'25.029 5Laps 2'26.388(149/149)
6 48 河村 翔/横尾優一/村上隆弘 DIJONワコーズシャー18 GE8 148 7:03'50.664 6Laps 2'29.834(132/148)
7 49 藤井 潤/菅沼 聡/中久木 力/中嶋貴英 DIJON Racing ニルズ GE8 GE8 148 7:04'21.266 6Laps 2'30.886(148/148)
8 63 中村義彦/沖ノ井宜隆/イシカワ ヨシオ/黒須聡一 ATSEDZEALSTAFIT GK5 148 7:04'22.307 6Laps 2'27.707(140/148)
9 40 小幡 弘/三浦真一郎/早坂結希/伊藤英治 RCBウィンマックスフィット GE8 148 7:05'03.589 6Laps 2'30.398(94/148)
10 250 江原弘美/川中子和彦/咲川めり 日光NEXZAS GK5 GK5 147 7:03'19.243 7Laps 2'27.377(4/147)
11 747 佐藤尚平/小椋貴博/佐藤芳幸 TEAM HIT&IDI FIT GE8 144 7:03'50.215 10Laps 2'31.224(67/144)
12 55 山口吉明/大谷安志/安 義弘/井上雅貴 Mita Project GE8 143 7:02'42.275 11Laps 2'29.726(138/143)
13 11 江原聖洋/原沢敏夫/町田真澄 find21 weds fit GE8 142 7:03'31.743 12Laps 2'31.156(34/142)
14 7 海老澤真人/上別府将司/上田純司 versus.FUCHS.wm GE8 137 7:04'56.160 17Laps 2'31.287(133/137)
15 740 香川岳寛/尾藤 成/望月哲明 TAC.Weds GE8 GE8 127 7:03'33.993 27Laps 2'28.387(4/127)
16 36 ケンボー/大岩浩気/船井俊仁/須崎弘一郎 チームKEKO find GE GE8 117 7:04'15.511 37Laps 2'30.713(98/117)
以下フィニッシュライン不通過
79 999 海老澤紳一/伊藤裕士/和田則久 versus.FUCHS.wm GK5 151 6:56'22.447 3Laps 2'28.741(65/151)
80 29 橋本洋平/石井昌道/丸茂亜希子 TNS 無限 FIT3 RS GK5 148 6:57'12.789 6Laps 2'26.096(140/148)

No.63 大会特別規則 第41条 〜4)B違反により、競技結果に対して60秒加算とする