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鈴鹿8時間耐久ロードレース

第2回公開合同テストレポート

2013年7月3日(水)、4日(木)  会場:三重県・鈴鹿サーキット  天候:3日(水)/曇り、4日(木)/雨

F.C.C.TSR Hondaはマイケル・ファン・デル・マークが登場、22番手となる
MuSASHi RTハルク・プロにはレオン・ハスラムが合流、高橋巧が総合2番手タイムを記録
長島哲太が加わったHonda Team Asiaは玉田誠が9番手

真夏の祭典「2013 FIM世界耐久選手権シリーズ第2戦 "コカ・コーラ ゼロ"鈴鹿8時間耐久ロードレース 第36回大会」(以下、鈴鹿8耐)に向けて、第2回公開合同テストが行われました。出走台数は85台に増え、優勝候補のチームも参加し、本格的なテストとなりました。今回はケビン・シュワンツ(スズキ)が登場したことで大きな話題となり、注目を集めるテストとなりました。

  • 高橋巧高橋巧
  • 高橋巧高橋巧
  • レオン・ハスラム(左)、高橋巧(右)レオン・ハスラム(左)、高橋巧(右)
  • アズラン・シャー・カマルザマンアズラン・シャー・カマルザマン
  • Honda Team AsiaHonda Team Asia
  • 伊藤真一伊藤真一
  • 安田毅史安田毅史
  • マイケル・ファン・デル・マークマイケル・ファン・デル・マーク
  • マイケル・ファン・デル・マークマイケル・ファン・デル・マーク
  • ジェイミー・スタファージェイミー・スタファー

F.C.C.TSR Hondaの秋吉耕佑が全日本ロードレース選手権第4戦筑波大会の予選で転倒し、左大たい骨を骨折したため、鈴鹿8耐参戦が絶望的となったことを受けて、Honda陣営はラインアップの構成を考え直す必要が生まれました。鈴鹿8耐の優勝候補に挙げられているF.C.C.TSR HondaとMuSASHi RTハルク・プロに起用されるライダーの正式発表はまだされていません。

今回、F.C.C.TSR Hondaのマシンには、スーパースポーツ世界選手権(WSS)に参戦しているマイケル・ファン・デル・マークが乗りました。ファン・デル・マークにとっては、初めてのチームに合流し、CBR1000RRにまたがるのも初めてで、タイヤもサスペンションも鈴鹿サーキットも、なにもかもが初めての挑戦です。それでも、初日のドライでの走行で、2分11秒台にタイムを入れ、非凡さを印象づけました。最終的にこのタイムは22番手にランクされ、初のテストとは思えない存在感を示しました。

MuSASHi RTハルク・プロは、高橋巧が両日ともに参加し、4日(木)にはレオン・ハスラムも参加しました。松葉杖をついての鈴鹿入りで関係者は心配しましたが、雨の路面を果敢に攻め、高橋とそん色のないタイムを記録しました。高橋はJSB1000のトップライダーの貫録を示し、常にリーダーボードの上位にランクされる走りをみせます。ハスラムが合流してからは、ハスラムとランデブー走行を行い、鈴鹿に慣れていないハスラムを積極的に引っ張ります。総合タイムでは高橋が初日に記録した2分8秒734で総合2番手に食い込みました。

Honda Team Asiaは、玉田誠とアズラン・シャー・カマルザマンに、全日本ロードレース選手権J-GP2の長島哲太が加わりました。まだ正式決定ではありませんが、長島は鈴鹿8耐参戦のチャンスを手に入れたことになります。玉田を中心に、前回のテストの課題をクリアするために精力的にテストが進められました。玉田とアズランはアジアロードレース選手権の第3戦インドに参戦するため、次回の公開合同テストに参加することができないため、次回のテストは長島が担当することになります。玉田は初日のドライコンデションで2分9秒台にタイムアップし、9番手となります。アズランも繰り返しコースに出て、8耐への準備を進めました。長島は転倒を喫するシーンもありましたが、幸いケガもなく、そのあとのテストも続行することができました。

TOHO Racing with MORIWAKIでは、伊藤真一が走り始めました。8耐に向けてトレーニングを強化し、初日の走行で2分10秒台に難なくタイムを入れ、王者復活を印象づけました。チームメートの山口辰也は、2分9秒台に入れて11番手タイムとなります。今年は第3ライダーをオーディションで選ぶことを山口が明言しており、全日本ロードレース選手権のST600に参戦している渡辺一馬、宮嶋佳毅、アジアロードレース選手権に参戦している小林龍太が名乗りを上げました。結果は次回のテストで発表されます。トップライダーとして活躍する山口と伊藤のチームメートになれることは、若手ライダーにとって夢のようなチャンスで、チャンスをつかもうとするエネルギーがチームに活気を与えていました。

Honda鈴鹿レーシングチームからは、安田毅史、北口浩二、日浦大治朗が参加。安田は2分9秒台に入れて13番手タイムを記録します。北口も確実にテストを重ね、日浦は2分10秒台までタイムを短縮し、才能を感じさせますが、雨の中で転倒してしまいます。それでも確実にマシンセットアップを進め、収穫の多いテストとなりました。

Honda DREAM RT 桜井ホンダはオーストラリアのジェイミー・スタファー、ジョシュ・フックの2人を起用し、初の鈴鹿8耐テストに参加しました。まだ、タイムを記録する段階ではなく、じっくりとマシンと向き合い、コースの確認を繰り返しました。

コメント

マイケル・ファン・デル・マーク (F.C.C.TSR Honda) 「8耐は子どものころから知っていて、ものすごく有名なレースです。ヨーロッパでも、レース好きなら8耐のことは皆が知っているほどです。そのような大きな大会に、参戦のチャンスがあるかもしれないと思うだけでエキサイティングです。今回、僕が乗ったのはTSRのマシンで、昨年の8耐優勝マシンです。こんなにすごいことが自分の身に起きるなんて思いませんでした。最高のマシンで、すばらしい経験をさせてもらいました。とても感謝しています。タイムや順位はそんなに気にしないで、一生懸命に乗りました。鈴鹿のコースも、チームもマシンもタイヤも最高で、本当にうれしくてハッピーです」

高橋巧 (MuSASHi RTハルク・プロ)「初日はドライで走れましたので、一人でセットアップを詰めていました。メインカーと8耐への準備をしているセカンドカーがあって、乗り比べながら、8耐に向けてのいい仕様を探しています。2日目は、もっと詰められると思っていましたが雨となってしまいました。本当に天気が恨めしいです。ハスラムと一緒にロングランをしましたが、とても速くて、前を走っていてもプレッシャーを感じていました。雨でも安定して速いので、もしパートナーとなったら頼もしいライダーだと思います。次回のテストでは、さらにセットアップを進めたいです」

レオン・ハスラム (MuSASHi RTハルク・プロ) 「4月に足をケガしてしまいましたが、もう大丈夫です。歩くのはまだ完全ではないですが、マシンに乗ってしまえば問題ありません。雨の走行になりましたが、マシンのポテンシャルを感じることもできましたし、いいチームでいいライダーがいることが分かりましたので、とてもハッピーです。巧はずっと僕を引っ張ってくれて、鈴鹿の走り方を教えてくれました。とても感謝しています。8耐に参戦できたらうれしいし、ぜひ選ばれたいですね」

玉田誠 (Honda Team Asia) 「想定していたテストは順調にこなせたと思います。2日目が雨だったのが残念ですが、雨のセットアップを確認できましたので、それもプラスに考えたいと思います。昨年以上に手応えを感じることができています。アズランは強力なパートナーになってくれると思います。(長島)哲太はまだ未知数ですが、次回のテストでしっかり走り込んで、いいデータを残してもらいたいと期待しています。気持ちをアジアに切り替えてレースをがんばってきます。そちらのレースでもいい報告ができるようにして、気持ちよく8耐に挑みたいです」

アズラン・シャー・カマルザマン (Honda Team Asia) 「今回、ドライもウエットも両方を走ることができたのはラッキーだと思います。全く違うコンデションでの走行で、また一つ経験が増えました。今年は上位を狙いたいです。玉田選手と一緒に表彰台に上がれたら最高です。成長した自分を見てもらいたいと思っています。アジアではタイトルを狙える位置にいますので、しっかり走ってポイントを稼いで、8耐に戻ってきます」

長島哲太 (Honda Team Asia) 「初めて、1000tのマシンに乗るチャンスをもらえたことを感謝します。『最初は10ラップしてきて』と言われ、10ラップして戻ると、また送り出されて、そのまま転んでしまいました。いきなりの洗礼を受けた感じです。乗り方はまだJ-GP3の癖が抜けていないと感じています。次回のテストではロングランをさせてもらえますので、しっかりマシンの特性を学んで、期待に応えられるようにします。まだまだいけるという感触は得ていますので、しっかりタイムを上げていきたいと思っています」

山口辰也 (TOHO Racing with MORIWAKI) 「無事に終わって、なによりです。今回は伊藤さんになるべく多く乗ってもらいたいと思っていました。チームにもマシンにも慣れてもらって、方向性を決めていきたいと思っていました。コメントを聞くと、自分のものと同じようでしたので、進む方向は間違っていないと思えたのがよかったです。次回のテストでも、さらにマシンを詰めていきたいと思います。オーディションは、若手を育てたいというチームの方針に沿ったもので、チャンスをつかんでほしいし、自分も刺激にしたいと思っています」

伊藤真一 (TOHO Racing with MORIWAKI) 「まだまだこれからといったところです。山口君の走りに感銘を受けていましたので、そのマシンに乗れることを楽しみにしていました。山口君と協力して、ポテンシャルを引き出したいと思っています」

安田毅史 (Honda鈴鹿レーシングチーム) 「マシンの完成度が高いことを感じることができて、充実したテストができたと思っています。いろいろなことを試すことができました。北口さんも確実に前進していますし、大治朗は2分10秒台までタイムを短縮しましたが転倒が多く、それを克服してもらいたいと思っています。次回のテストでも、さらに前進できるように努力します」

桜井俊克監督 (Honda DREAM RT 桜井ホンダ) 「まだまだこれからです。これまでの8耐ではテストは一度きりで本番でしたが、今年は今回と次回と2度のテストをこなすことができます。さらに、いつもは8耐を経験させたいと新人メカニックの研修を目的としていましたが、経験者を集めてレベルアップしています。スタファーは8耐3年目なので心配はしていません。若いフックは初めての8耐なので、大事に乗ってほしいと思っています。今回は慣れることが目標でしたので、その目的は果たせたと思っています」