鈴鹿8時間耐久ロードレース

2012年7月28日(土)鈴鹿4耐 決勝 レポート

会場:三重県・鈴鹿サーキット 天候:晴れ 気温:33.8℃ 観客:2万8000人

イメール/ザクゥアン組が優勝飾る
3位に遠藤/耳野組で表彰台獲得!!

1980年に始まった鈴鹿4時間耐久ロードレース(以下、鈴鹿4耐)は、才能豊かな若手ライダーを輩出し、「バイクの甲子園」として親しまれてきました。その鈴鹿4耐に、昨年はマレーシアのBoon Siew Honda Racing Malaysia が初めて参戦。アズラン・シャー・カマルザマンが、レース終盤、残り5分でトップを奪回し、そのまま優勝を飾りました。アジアのライダーにとっては600ccのレースである鈴鹿4耐は憧れのレースとして認知されていましたが、初めての参戦で優勝を成し遂げました。アズランは、鈴鹿8耐にもいつか参戦したいと語り、今年その夢を実現。鈴鹿4耐が夢をかなえる舞台であることは、今も昔も変わりません。

(中央)イメール・フィルダウス・ハサン/ザクゥアン・ ザイディ、(右)遠藤弘一/耳野由基

鈴鹿4耐はフレッシュマンライセンスや国内ライセンスのライダーに限られ、レース用に改造したST600で戦います。さらに、旧モデルが対象となるST600R(リバイバル)が混走。また、決勝レース中にタイヤ交換が認められていないため、4時間を1セットで走りきらなければならず、タイヤのマネージメントも勝敗のカギとなります。さらに、一人のライダーが一度に17ラップ以上は走行できず、速いライダーが連続走行できないため、チームの力が重要となります。

今年も昨年の優勝チームBoon Siew Honda Racing Malaysiaが参戦。昨年第2ライダーだったイメール・フィルダウス・ハサンとザクゥアン・ザイディが参加しました。ザクゥアンは17歳の高校生。初の鈴鹿4耐参戦のため、イメールとともに7月上旬から鈴鹿に暮らして走行を重ねてきました。2人はアジアロードレース選手権のスーパースポーツ600ccに参戦中のライダーであり、鈴鹿4耐でスキルアップを図ります。また、昨年の鈴鹿4耐でアズランやイメールと戦い2位となった佐藤太紀(#10 Link Well Racing)が西馬良祐と組みリベンジを狙います。

参加台数58台。2人の合算タイムで争われる予選でポールポジションを獲得したのは佐藤/西馬組でした。以下、2番手にイメール/ザクゥアン組、3番手に#52 MOTO WIN RACINGの川村明/竹田雄介組、4番手に山内芳則/新井生哲組(#89 ADF & ToyBoy with 胤塾 + HieレーシングとWP)、5番手に遠藤弘一/耳野由基組(#11 CLUB PLUS ONE)と、上位5台がCBR600RRを駆るチームとなりました。

サイティングラップでは川村が転倒と波乱の幕開けとなりましたが、なんとかグリッドにたどり着くことができました。いよいよレース開始。まずはスタートで飛び出した予選11番手の秋元翼(#56 Hawaiians with バーニングブラッドCRT)がレースをリードしますが、3ラップ目ダンロップで転倒。再スタートしましたが、ポジションダウンしていしまいます。代わってトップに浮上したのは、序盤のシケインで猛チャージし、ハイサイド気味になったマシンを立て直した小倉章太郎(ヤマハ)。スタートで出遅れたザクゥアンは、6ラップ目には2番手に浮上しました。それを佐藤、山内が追いかけ、上位4台がトップグループを形成します。

一人のライダーが走れるのは17ラップまでで、それを超えるとペナルティーとなるため、16ラップを終えると続々とピットインしライダー交代を行います。トップは西馬、2番手にヤマハの垂水聖治、3番手にイメール、4番手新井、5番手に耳野、6番手に竹田が続きます。26ラップ目には、トップの西馬が約7秒のリードを築きます。イメールは2番手に浮上。それを垂水が追う展開となります。4番手は耳野と新井で争われました。

44ラップ目、小倉が佐藤を抜きトップ浮上。3番手ザクゥアンも佐藤に肉薄し、3台によるトップ争いへと発展します。50ラップ目、小倉、佐藤、ザクゥアンがコンマ差のままピットイン。垂水、西馬、イメールの順でピットアウトすると、イメールが西馬を捕らえて2番手に浮上しました。

そして52ラップ目、ついにイメールがトップに浮上。イメール、西馬、垂水の3人を耳野が追い、竹田、新井が5位争いを展開します。55ラップ目には垂水がトップに浮上。2番手西馬、3番手イメールと変わります。

するとイメールはヘアピンでオーバーランしながらも2番手に浮上。首位に立った西馬を追いかけます。3番手は垂水。横一線のトップ争いが続き、目まぐるしく首位が入れ替わる展開となりました。

周回遅れを挟んでのトップ争いから垂水が遅れ、西馬、イメールのトップ争いへと変化。ライダー交代を終え、佐藤が逃げ、ザクゥアンが追う展開となります。小倉は遅れて単独3番手。4番手遠藤、5番手新井と続きました。

77周目シケインで首位の佐藤が痛恨の転倒。ピットインしてマシンを修復し、コース復帰しました。代わってトップに立ったのはザクゥアン。しかし、そのザクゥアンがスプーンで接触、コースアウトを喫してしまいます。ザクゥアンはすぐに復帰しましたが、垂水が急接近。緊迫した状況となりましたが、ザクゥアンはトップを死守してイメールに交代します。

最後のルーティンで飛び出したイメールは快走し、垂水から交代した小倉を突き放します。イメールはそのままうれしい2年連続の優勝。2位に小倉、3位に遠藤が入り表彰台を獲得しました。3位までが100ラップと同一周回です。4位に山内/新井組。5位に中垣寿郎/島崎一臣組(#53 MOTO WIN RACING)となりました。

  • イメール・フィルダウス・ハサン/ザクゥアン・ ザイディ
  • イメール・フィルダウス・ハサン/ザクゥアン・ ザイディ
  • イメール・フィルダウス・ハサン
  • イメール・フィルダウス・ハサン
  • ザクゥアン・ ザイディ
  • ザクゥアン・ ザイディ

コメント

イメール・フィルダウス・ハサン (優勝)│#25 Boon Siew Honda Racing Malaysia 「昨年は初めての4耐だったので緊張しましたが、今年はそれほど緊張せずに走れました。4耐は暑くて苦しく厳しいレースなので、トップ5、いや10でも入れたいいと思っていたので、昨年に続いて優勝できてうれしいです。昨年もそうですが、小西(良輝)先生から、たくさんのことを教えてもらいました。そのおかげで速く走れることができたと思います。Boon Siew Honda Racing Malaysia、ハルク・プロ、Honda、マレーシアと日本のファンにありがとうと言いたいです。本当にありがとうございます。みなさんのおかげでがんばることができました。いつか、自分自身のスキルを上げて、今度は8耐に挑戦できるようにがんばりたいです」

ザクゥアン・ ザイディ (優勝)│#25 Boon Siew Honda Racing Malaysia 「初めての4耐だったので緊張しました。スタートで失敗してしまって6番手に下がったときは、泣いてマレーシアに帰らなければならないのかと思いました。とにかく、一つひとつ順位を上げていくことだけを考えて一生懸命走っていたので、勝てるとは思っていませんでした。接触もありましたが、ここで転んだら絶対に嫌だと思い、転ばないようにしてコースに戻ることができました。思わず『神様ありがとう』と思いました。もう一度ばん回したかったけど思うようにペースを上げることができませんでした。7月1日から鈴鹿に来て、ずっと中古タイヤを履いて練習を重ねてきました。小西先生にアドバイスをもらって、鈴鹿を走れるようになりました。たくさん練習ができたから勝てたと思います。8耐に出ることは夢ですが、もっと経験を重ねてから考えたいです。でも必ずいつか出たいレースです」

遠藤弘一 (3位)│#11 CLUB PLUS ONE 「海外のライダーに負けるのはやっぱり悔しいですが、自分のペースが上がりませんでした。自分の走行のときに離されてしまい、エースライダーの耳野君ががんばって詰めてくれましたが、今一つ力が及ばなかったということだと思います。でも、表彰台に上がることができたのはよかったです。来年はどうなるか分かりませんが、走ることができたらもっといろいろと準備をして優勝を目指したいと思います」

耳野由基 (3位)│#11 CLUB PLUS ONE 「僕たちはヘルパーもいなくて、冷たいタオルも飲み物も自分たちで用意してという急ごしらえのチーム。僕自身、2年ぶりに鈴鹿サーキットを走ったので、どこまで走れるのか分かりませんでしたが、それでも表彰台に上がれたんだから上出来だと思います。予想以上の結果です。でも、やっぱり負けたことは悔しい。監督から、とにかく淡々を走り終盤にペースアップするという作戦を受けていましたが、終盤のペースアップが少し足りなかったというか、もう少し追い上げたかったなという思いがあります。来年も走れるなら、いろいろな意味で環境を整えて思いきり走りたいです」

リザルト

鈴鹿4時間耐久ロードレース
順位 No. チーム/ライダー マシン タイム/差
1 25Boon Siew Honda Racing Malaysia
イメール・フィルダウス・ハサン/ザクゥアン・ ザイディ
Honda 4:01:33.002
2 18磐田レーシングファミリー
小倉章太郎/垂水聖治
ヤマハ +8.655
3 11CLUB PLUS ONE
遠藤弘一/耳野由基
Honda +39.787
4 89 ADF & ToyBoy with 胤塾 + HieレーシングとWP
山内芳則/新井生哲
Honda +1Lap
5 53 MOTO WIN RACING
中垣寿郎/島崎一臣
Honda +2Laps
6 50 フレッシュペイント&B〜DASH106 withリトルウイング
森中忍/大野英樹
カワサキ +2Laps
7 33 YSP浜松&遠州屋
赤坂祐紀/榛地元樹
ヤマハ +2Laps
8 69 Teamビジネスラリアート
中井貴之/中西俊之
Honda +3Laps
9 38 OZT Racing
野田清秀/野村裕太
ヤマハ +3Laps
10 445 SMF&SILK RACING+GENIUS
榊原健二/大原弘幸
Honda +3Laps