HONDA The Power of Dreams

■日時 ： ２月７日、８日
■開催地 ： アリゾナ州フェニックス
■サーキット ： フェニックス・インターナショナル・レースウェイ
■コース全長 ： 1マイル(約1.6km)/ショートオーバル
■天候 ： ７日＝快晴、８日＝雨のち晴れ
■気温 ： ７日＝７度〜17.8度、８日＝９度〜16.1度

トニー・カナーン選手のテスト走行

　２月４日にシリーズ最高速コースのひとつであるカリフォルニア・スピードウェイを走った2003年インディカー・シリーズ出場チームは、後半のテストのために南東に360マイルほど離れたアリゾナ州フェニックスへと移動した。

　パドックにはカリフォルニアの時以上に緊迫した空気が漂っていたのは、開幕の時が日々 刻々と近づいていることもその理由だが、カリフォルニア・スピードウェイのレースが９月下旬と日程的に遠いのに対して、フェニックスは３月下旬の第2戦と間近に迫ったレースの行われるコースであるからだ。カリフォルニアではマシンの基本的なデータ採りを主としたプログラムを進 めていた各チームだが、フェニックスでは今回のテスト結果がレースでのパフォーマンスに大きく影響するため、より実戦的なセッティングの煮詰め作業に追われていた。

　フェニックス・インターナショナル・レースウェイは、全長が１マイルのショートオーバル。３日前に走っていたカリフォルニア・スピードウェイ（全長２マイル）からは一転、コーナーはタイトで、1周わずか20秒ほどしかかからない。また、カリフォルニアはコース全周をアクセル全開で走れるが、フェニックスはターン１〜２ではアクセルコントロールが必要。まったく異なる性格のコースで、マシンセッティング、エンジンのパワーバンドの広さ、そしてドライバーのテクニックもより重要性を増すのだ。

ロジャー・安川選手のテスト走行

　今シーズンから参戦を始めるHondaは、３チーム、５人のドライバーがフェニックスに集結。テスト２日目には、砂漠地帯のフェニックスとしては珍しい雨が降り、朝9時に予定されていた 走行開始が11時30分まで延ばされたが、２日間で1,089マイルを走り込んだ。

　Honda Indy V-8勢は、初日にケニー・ブラック（チーム・レイホール）がラップスピード＝175.641mph（約282.606km/h:20秒4964）で総合２位につけ、２日目はトニー・カナーン（アンドレッティ・グリーン・レーシング）がトップタイム＝176.783mph（約284.444km/h:20秒3639）をマーク。２日間の総合でもカナーンがトップと、HI3Rエンジンの仕上がりが順調であることを示した。

　日本人ルーキーのロジャー安川（スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング）は、フェニックスは今回が２回目のテストとなるが、1日目は110周、２日目は93周を走行。２日目の午後には７番手のタイムを出し、総合でも19台、20人が出走したうちで９番手につけ、開幕に向けて自信を深めることとなった。

　２年連続チャンピオンのサム・ホーニッシュJr.（パンサー・レーシング）、女性ドライバーのサラ・フィッシャー（ドレイヤー＆レインボールド・レーシング）、インディ500で二度優勝しているアル・アンサーJr.（ケリー・レーシング）とエリオ・カストロネベス（チーム・ペンスキー）など、インディカー・シリーズの人気ドライバーたちもタイトでテクニカルなフェニックスで精力的に多くの周回をこなしていた。

　インディカー・シリーズの開幕は３月２日。その前には、もう一度合同テストが予定されている。

　日程は２月18、19日の２日間で、使用コースは開幕戦の行われるフロリダ州マイアミ郊外のホームステッド・マイアミ・スピードウェイ。カリフォルニア、フェニックスとはまた異なる全長＝1.5マイルのオーバルコースである。

●マイケル・アンドレッティ（アンドレッティ・グリーン・レーシング）
２日目にはマシンのフィーリングがとても良くなっていて、午後のセッションでは速いタイムを出せると確信していた。しかし、排気管が割れたために走行を終わらせることになった。それでも、トニーがとても良いタイムを出しているし、自分とトニー、そしてダリオの３人が協力し合いながらセッティングを進めることができたし、テストの成果にはとても満足している。

●トニー・カナーン（アンドレッティ・グリーン・レーシング）
レース用セッティング、予選用セッティング、両方とも良いものに仕上げられたからハッピーだ。マイケルがピットにいてアドバイスをくれたことがおおいに役立った。エンジニアのエリック・ カウディンと長い間いっしょに仕事をしてきたことも、このように短時間でマシンを仕上げることができた原因だと思う。

●ダリオ・フランキッティ（アンドレッティ・グリーン・レーシング）
１日目に試したレース用セッティングは良くなく、２日目の午前中のマシンもバランスが取れてはいなかった。しかし、チームのみんなが全力を上げてマシンを良くしてくれ、夕方のマシンはとてもフィーリングが良くなっていた。残念なのは、ギヤボックスからオイルが漏れ出したために走行を終了せざるを得なかった点。そのために最後にニュータイヤをトライできなかった。トニーが予選用セッティングを良くしてくれているし、いいテストができたと思う。

●ケニー・ブラック（チーム・レイホール）
フェニックスは２種類の違ったコーナーがあるためにセッティングはシリーズの中でもかなり難しい。ターン３とターン４は完全にアクセル全開で、ターン１とターン２の走りは非常に繊細だ。1日目は実にスムーズに進み、そこから２日目はセッティングをいろいろと変更していった。Hondaエンジンはとてもパワフルで、僕らとしてはハンドリングを良く仕上げることに集中できる。

●ロジャー安川（スーパー・アグリ・フェルナンデス・レーシング）
１日目はタイムが良くなかったのですが、それはトライしたかったセッティングがあったからで、チームとしても、自分としても、多くのことを勉強できました。２日目には前回テストで来た時のセッティングに戻しました。それによって、フェニックスで有効なセッティングと、そうでないセッティングを確認できましたし、タイムや全体的な結果には満足しています。ホームステッドでの開幕戦が待ち遠しいですね。

●ロバート・クラーク（HPDジェネラル・マネジャー）
前回のフォンタナと同様、テストの主な目的はとにかく距離を走ることにあった。それを十分に達成できたので、テスト結果には非常に満足している。エンジンのパワー、性能、そして、信頼性も期待していたとおりのレベルにある。今回のテストではソフトウェアの開発も進めているが、そちらも順調に来ており、次のホームステッドでのテストで最終的なチェックを行う。