Honda Racing F1 Teamは1月11日から13日まで、スペイン南部にあるヘレス・サーキットで2006年のテストを開始した。
参加したのは、チームに移籍したばかりのルーベンス・バリチェロと、サードドライバーとして契約を更新したアンソニー・デビッドソン。今シーズンに向けての準備を着々と進める中、エキサイティングな1週間となった。今回はさらに、昨年からテストを経験しているジェームズ・ロシターも、1日テストに加わり、その成長ぶりをのぞかせた。
テスト初日の水曜日は、デビッドソンとロシターが走行。しかし、寒い天候のため、午前中は慣らし走行とシステムチェックにとどまった。その後、コンディションが整い、デビッドソンはタイヤ評価に専念して、113周を走行。ロシターは空力評価とタイヤプログラムを行い、105周を走行した。
Hondaでのテスト初参加となるバリチェロは、木曜日にヘレスに到着。まずはV10エンジン搭載の2005年モデルを走行し、マシンとタイヤに慣れることから始めた。この日も朝のうちはかなり冷えたため、慣らし走行を行い、ドライビングポジションの調整を行った。気温が上がってからは、本格的な走行に移り、エンジニアに重要な技術フィードバックを行った。2005年マシンで45周を周回し、総合トップタイムをマーク。チームのV10エンジンプログラムは、すべて終了した。その後、バリチェロは、2006年のコンセプトカーに乗り換え、V8エンジン搭載マシンを初めて走行した。この日は8周にとどまり、明日以降の本格的なテストに備えた。一方デビッドソンは、2台目のコンセプトカーでのテストを続行。基本セットアップに続き、タイヤ評価を行い、107周を走行した。
金曜日のヘレスは、午後になって何度もにわか雨に襲われ、セッションが中断された。バリチェロはV8エンジンの習熟作業を続け、さらにセットアップ走行などで順調に距離を伸ばしていった。数周をドライタイヤで、ウエット路面をインターミディエイトタイヤで走行した。この日の周回数は38周に至った。デビッドソンもV8マシンで空力評価や全般的なセットアップ作業を続け、69周を走った。
バリチェロは土曜日までヘレスにとどまり、ミシュランのウエットタイヤプログラムに参加。チームは18日から20日もヘレスで、テストを続ける予定だ。
■ルーベンス・バリチェロ
「今週は、実に素晴らしい時間を過ごすことができた。スタッフ全員が情熱を持ち、僕もチームにとけ込むことができた。金曜日は天候が不順だったこともあって、期待したほどの走行はできなかったが、感触は悪くない。1週間あまりに迫った新車発表まで、V8エンジン搭載マシンでの走行を重ねることは、僕にとても重要なことになる。だからたった39周だったとはいえ、この経験は実に貴重で、前進していると実感できるものだったよ」
■アンソニー・デビッドソン
「今週は、タイヤテストを集中的に行った。ミシュランが投入する新しいコンパウンドと構造を、いろいろ試したんだ。ロングランも一発の速さも、かなりいい結果が出た。今週はクルマの走行ペースも良かったし、とてもうれしいよ。ルーベンスといっしょに仕事をするのは今回が初めてだったけど、いろんな見方や意見を聞いて、とても参考になった。楽しい経験だったね。お互いが知り合ういい機会にもなったし、すでにいい関係になっていると思う。この1年いっしょにやっていくのが、とても楽しみだ」
■ジェームズ・ロシター
「再びサーキットに戻って、今年最初のテストでチームの手助けができたことを、うれしく思ってる。今回は主に空力パッケージの評価に集中して、他には若干のタイヤプログラムもこなした。両方ともすばらしい結果が出たよ。クルマのフィーリングはいいし、何より信頼性が抜群だ。水曜日の走行は、全般的に満足の行くものだったね」
■マーク・エリス チーフ・テストエンジニア
「今週のテストでは新しいレギュレーションに適応したマシンを走らせて、着実に進化を遂げることができた。ミシュランのタイヤテストも、非常に勇気づけられる結果が出た。そのため、2006年シーズンの方向性が見えてきそうだ。バリチェロをチームに迎えられたこともうれしい出来事だったし、この数日間の走行で、新エンジンやタイヤにも慣れ、エンジニアへのフィードバックは、期待通りすばらしかったよ。ヤングドライバーの一人、ジェームズ・ロシターに走ってもらったことも、今回の収穫のひとつだよ。F1に乗る経験を重ねることで、質の高いフィードバックが期待できるね」
■中本修平Honda Racing Development
エンジニアリング・ディレクター
「この3日間のテストは実に順調で、予定されたエンジン開発プログラムはすべて終了しました。バリチェロの加入は、大変注目しており、エンジン開発に大きく貢献してくれることでしょう」 | 
