鈴鹿4時間耐久ロードレース(鈴鹿4耐)の決勝が三重県・鈴鹿サーキットで行われました。1980年から始まったこの大会は、ライダーの登竜門と言われ、数多くのスターライダーが、ここから巣立っています。近年では、日本人だけではなく、アジア勢の活躍が顕著で、アジア圏のライダーたちが憧れるレースともなっています。ここでの活躍しいずれは、全日本ロードレース選手権や鈴鹿8時間耐久ロードレースへのステップアップを狙います。その影響もあり、国内ライセンスを持つライダーのみが参戦できた鈴鹿4耐が、昨年から準国際格式のレースに改められ、海外から参戦するライダーは、FIMインターナショナルライセンスを持っていれば参戦可能となり、国際ライセンス(過去3年間全日本ロードレース選手権で年間ランキングが15位以下)であれば参戦できることになりました。参戦枠が広がり、同時に参加ライダーのレベルが上がりました。
今大会も、多くのライダーが参戦しました。ポールポジションは、#99 アヌパッブ・サラムーン/ピラポン・ブーンラート(ヤマハ)。#18 MOTO BUM HONDA + SAIの杉山優輝/松川泰宏が3番手、#88 MOTO BUM HONDAの荒川晃大/中村豊が4番手、#090 テルル・MotoUP RTの山中琉聖/斎藤魁が5番手と上位グリッドにつけます。#7 Astra Honda Racing Teamのマフド・フェブリアンシャー/トミー・サリムは7番手、#149 A.P. HONDA RACING THAILANDのワリット・トーンヌパクン/ピヤワット・パテウンヨットが9番手につけます。
決勝スタート時に雨が強くなり、ウエットコンデションとなりました。そんな中、オープニングラップを制したのは、#11 MKR & SRR + ADF with speedHeart(吉川誠/大北裕夢組)の大北。2分31秒台で走り、2番手のサラムーンが2分33秒台で、2ラップ目をクリア時には5秒9とビハインドを築き、ペースを上げると、2分29秒台で独走します。サラムーンもペースアップし2分31秒台としますが、その差は徐々に開いていきます。しかし、4ラップ目の130Rで大北はオーバーランをしてしまい、その差は3秒に詰まります。5ラップ目にはペースを戻し、2分28秒台で逃げますますが、2番手のサラムーンも2分27秒台にタイムアップし大北に迫ります。8ラップ目には背後につけ、トップ争いとなります。
10ラップ目、130Rでサラムーンが首位を奪います。大北は2番手、3番手にトーンヌパクンが僅差で続きます。13ラップ目、トーンヌパクンが2番手浮上。大北は3番手となります。トーンヌパクンは、2分27秒台にタイムアップして、首位サラムーンに迫ります。18ラップ目には、サリムが4番手に浮上します。
雨は止み始めるころ、1回目のライダー交代が次々に行われます。この間、斎藤がファステストラップとなる2分26秒744を記録して山中にライダー交代。上位陣の交代が終わるころには雨は止みましたが、コンデションはウエット。首位は変わらずブーンラート、2番手に交代で入った#149のパテウンヨット、3番手に大木の代わりに入った吉川、4番手にフェブリアンシャー、5番手に松川、6番手山中となります。28ラップ目には山中が5番手浮上すると、松川がコンマ2と背後つけバトルを展開します。山中はペースアップして37ラップ目には4番手浮上、5番手に吉川、その背後に松川のオーダー。路面が乾き始め、レインタイヤでは、厳しい状況になります。
40ラップ目、松川が山中をかわして4番手に浮上。ペースを上げていきます。山中は背後につけます。その後方に吉川、7番手には中村となります。ドライタイヤへと変えるためにピットインするライダーも出始めます。42ラップ目には山中が4番手を奪います。2回目のライダー交代のころには、太陽が顔を出してドライコンデションへと変わります。トップのサラムーンが2分18秒台へとタイムアップ。3回目のライダー交代が始まりますが、ダンロップでの転倒により、11時47分にセーフティカーが入ります。
トップはブーンラート、その後ろに杉山、パテウンヨット、山中、中村が続き、11時59分にセーフティカーが解除されます。70ラップをクリアして首位ブーンラートと、2番手の差は1ラップとなります。2番手の杉山は、ライダー交代のためピットインし、松川へと交代。すぐに松川は2番手のポジションを取り返します。山中2分20秒台にタイムアップして3番手に浮上します。2番手松川との差は8秒954、松川のラップタイムは2分23秒478で、山中は、その差を周回毎につめていきます。ですが、松川はそれに対応するように2分19秒台へとタイムアップして山中を突き放します。
12時30分、スプーンカーブでの転倒を受け、再びセーフティカーが入ります。セーフティカーが解除されリスタートされたのが12時40分。残り20分の攻防が繰り広げられます。サラムーンが首位。山中がバッグマーカーを利用して2番手に浮上、3番手に松川、ファブリアンシャー、荒川と続きます。12時45分、3度目のセーフティカーが入り、山中がピットインし、斎藤にライダー交代。斎藤はピットロード出口で止められることなくコースイン、すぐに追い上げモードに入ります。この間、松川が2番手となります。残り3分でセーフティカーが解除。サラムーン、松川、斎藤、フェブリアンシャー、荒川、大北、トーンヌパクンの順で最終ラップに突入します。4時間のチェッカーを真っ先に受けたのはサラムーン。2位に#18 MOTO BUM HONDA + SAIの松川、3位に#090 テルル・MotoUP RT斎藤が入り、表彰台を獲得しました。
2位に入った#18 MOTO BUM HONDA + SAIは関東の有力チームで、今大会、MOTO BUMは3チームがエントリー。19歳の杉山と42歳の松川、若手とベテランのコンビで鈴鹿4耐初出場で2位表彰台となりました。3位に入った16歳の山中は昨年からレッドブル・ルーキーズ・カップ参戦中で、初めてST600にまたがりました。17歳の斎藤はJP250参戦ライダーで、若手の2人が、ウエットからドライへと変わる難しいコンデションとなったレースに挑み、表彰台を得ました。#7 Astra Honda Racing Teamは2013年から鈴鹿4耐に参戦、2014年、16年と優勝を飾っている名門チーム、今大会も勝利を目指しましたが4位となり、#149 A.P. HONDA RACING THAILANDは、黄旗区間での追い越しで、ストップ&ゴーペナルティーを課せられ上位から落ちてしまい7位となりました。
順位 | No. | チーム名 | マシン | 周回数 |
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1 | 99 | Yamaha Thailand Racing Team | ヤマハ | 93 |
2 | 18 | MOTO BUM HONDA + SAI | 93 | |
3 | 090 | テルル・MotoUP RT | 93 | |
4 | 7 | Astra Honda Racing Team | 93 | |
5 | 88 | MOTO BUM HONDA | 92 | |
6 | 11 | MKR & SRR + ADF with speedHeart | 92 | |
7 | 149 | A.P. HONDA RACING THAILAND | 92 | |
8 | 75 | RC甲子園&伊藤レーシング | ヤマハ | 91 |
9 | 46 | ゲズンハイト&CLUBモトラボEJ | 91 | |
10 | 41 | 磐田レーシングファミリー | ヤマハ | 91 |
12 | 36 | MOTOBUM × CryptoHarbor | 91 | |
16 | 9 | Honda Dream 世田谷 RT 1 | 90 | |
20 | 420 | moto-girls & J12Kings 飛來神 & KDC | 89 | |
22 | 79 | ADF 乱乱 with 117 | 88 | |
23 | 13 | オートライフハノ&ラスカルキックボクシングジム | 88 | |
25 | 28 | ifレーシング&モトテックRS | 88 | |
26 | 54 | EBATA & Scythefield Racing Asia | 88 | |
27 | 445 | SMF&SILK RACING+GENIUS(ジニアス) | 88 | |
31 | 6 | R・A・V・乱乱 With117 | 87 | |
32 | 52 | Honda Dream 世田谷 RT 2 | 87 | |
34 | 27 | RacingteamZEST | 86 | |
35 | 71 | 地域活性プロジェクトTeam長野 | 86 | |
38 | 30 | 赤い3輪車レーシングクラブ | 86 | |
40 | 44 | チームスガイレーシングクラブ | 85 | |
41 | 20 | KOOD (クード) | 85 | |
42 | 42 | Green Sports WAKO'S&デンジャーゾーン | 85 | |
44 | 66 | O-TEC SUZUKA TAIWAN | 84 | |
45 | 83 | 三和冷熱+BIG WONDER with K's AUTO | 84 | |
47 | 73 | ENDLESS TEAM SHANTI ESS RT | 83 | |
50 | 258 | Team KDC service & チームヨシハル岩手 | 81 | |
55 | 101 | マル幸&しゅん坊☆悪玉M-factory | 72 | |
58 | 10 | Trident Racing | 55 |
杉山優輝|#18 MOTO BUM HONDA + SAI(2位)
「今回は優勝を目指して4耐に出場しました。しかし結果は2位になってしまいました。1位のチームが速かったので追いつけませんでしたが、表彰台に上がれてよかったと思っています」
松川泰宏|#18 MOTO BUM HONDA + SAI(2位)
「まずは、関係者の皆さまにありがとうございますと言いたいです。1位のチームが思ったより速く追いつくことができず、悔しい気持ちでいっぱいです。MOTO BUMチームは3組出場したので、表彰台独占なんてことも考えていましたけれど、僕ら2人だけでも表彰台に上がれたことを幸せに思います。4耐も国際化してレベルが上がっていることを痛感しました。チームのみなさん、スポンサーのみなさん、関係者の方々、ありがとうございました。そして1位のチームにおめでとうと言いたいです」
山中琉聖|#090 テルル・MotoUP RT(3位)
「楽しくレースをして、さらに表彰台に登ることができたことをうれしく思います。最初の走行は、ウエットとドライと変化したコンディションで難しかったです。チーム全員でがんばって3位を獲得できたことを喜びたいと思います」
斉藤魁|#090 テルル・MotoUP RT(3位)
「600ccのマシンでレースに出るのは今回が2回目ですから、スタートするまで慣れていないマシンでレースすることに不安がありました。スタートしてからいい状態で走行することができ、パートナーに順位を上げてつなげられて安心しました。チームの方々がいろいろと準備をしてくれたことを感謝しています。ありがとうございました」