決勝日:6月6日(日) 開催地:スコットランド・フォートウィリアム コース距離:2.66km スタート地点標高:625m ゴール地点標高:100m 標高差:525m コースコンディション:ロッキー、所により滑りやすい 天候:曇り時々雨 気温:スタート地点/12℃ ゴール地点/17℃
2万人のMTBレースファンが見守る中、UCIワールドカップスコットランド大会にて、Team G Cross Hondaのグレッグ・ミナー選手(南ア)が、シーズン初のメジャー大会優勝を記した。世界のトップライダーが出場するワールドカップ大会での優勝は、2001年のカプルーン大会以来。今大会もワールドカップ優勝経験1回のグレッグ選手にとって常に難関極めるチャレンジであった。
グレッグ・ミナー選手と、弱冠17歳のチームメイト、シリル・クルツ選手(フランス)ともに公式練習では、Honda RN01に搭載したテレメトリーから多くの情報を収集しながら、大きなトラブルもなく、週末の大会に向けて手ごたえを感じながら終了。フォートウィリアムのコースはサスペンションに大きな負担がかかるコースだったが、Showaのメカニックは、両選手のHonda RN01のパフォーマンスを最大限引き出せるよう完璧なセッティングを行った。
6日(日)午前中に行われた予選では、クルツ選手は素晴らしいレース展開を見せ、10位で予選通過。これは11位のジュニアライダーに10秒以上の差をつけての予想以上の好成績だった。ミナー選手は6位で予選を通過し、自分の走りを「速い後半」と、一言で集約していた。Honda RN01で出場した両選手がトップ10位以内で予選を通過したことになった。両選手とも大変満足のいく予選結果となり、その日の午後行われる決勝戦で数秒タイムを短縮できると、手ごたえを感じていた。
1位で予選を通過したのは、今大会特に人気の高いイギリス代表のスティーブ・ピート選手。予選通過1位の選手は、常に最後尾からのスタートというルール上、余計なプレッシャーが出走に影響する。最後から6番目のスタートとなるミナーにとっては、その分、自分のHonda RN01で今まで以上に攻める余裕があった。クルツ選手は、予選での10位をキープしたいと望みつつ、スタート地点へ登って行った。
しかし、すべて計画通りには行かなかった。残念なことに、コース前半でクルツ選手はクラッシュ。リカバリーしようと全力を投じたものの、大きくタイムをロスしたままゴールラインを通過した。10秒ほどのタイムロスは、結果4分35.96秒の記録となった。もしクラッシュもせずに予選タイムを維持していたら、決勝戦の順位が10位近くになっていたであろうと分かっていたクルツ選手にとって、非常に残念な結果となった。
一方ミナー選手のチャンスはここからだった。彼の前にスタートした2003年ワールドカップ優勝者のネイサン・レニー選手(オーストラリア)の走りを見る限り、ミナー選手は全力疾走しなければ、ホットシートに座れない。しかし、レニー選手のタイム:4分16.62秒は、数分後のミナー選手のゴールで塗り替えられた。4分10.24秒(平均時速38.27km/h)と、信じられないほどのタイムを叩き出したミナーは残り5人のタイムを見守る、待ちの状態となった。と言っても、その5人は世界でトップレベルの選手ばかり。しかし、彼ら4人の選手がゴールラインを割っても、ホットシートはまだミナー選手のものだった。そしてイギリスの観客は彼らのヒーロー、ピート選手が、ミナー選手の優勝を、阻むことができるか、熱い声援を送りながら見守った。ゴールラインを通過したピートのタイム:4分14.17秒はミナー選手のタイムに及ばず、ミナー選手は、男子ダウンヒルでは驚異的な3.36秒という差をつけて、優勝を決めた。
217ポイントを獲得したミナー選手が現在ワールドカップ・ランキングでトップを走る。クルツ選手は12ポイントを獲得して現在39位。Team G Cross Honda は、この後、2004年NORBAシリーズの次の大会へ向けて渡米する。 |