1990年代の終わりから使用されているマリボールのコースは、前半が難セクションで知られる岩場を含む従来のコースで、後半部分は森の中を抜ける高度なテクニックを必要とする新設の高速セクションとなり、世界を代表するダウンヒルレーサーが全力を尽くすのにふさわしいコースレイアウトを備えている。今回、この難コースで数名のライダーが激しい転倒を喫し、その中には過去に世界タイトルを2度獲得しているファビアン・バレルも含まれていた。バレルは重度の脳震とうを起こし、病院へ運ばれるアクシデントに見舞われた。
負傷しているTeam G Cross Hondaのエース、グレッグ・ミナーも、現地に駆けつけてチームをサポート。肩のケガを押してコースを歩き、高い技術を要するレイアウトを称賛していた。
準決勝でのレヒコイネンは、ヘルメットのバイザーをスタートハウスの低い屋根に引っかけてしまったため、出走直後に止まってしまい大幅なタイムロスを喫した。ヘルメットとゴーグルを調整し直して再スタートを切ったレヒコイネンは、それでも6番手につけた。フェアクローは8番手のタイムで中間地点を通過したが、岩場でタイヤがパンクする不運に見舞われた。UCIにはランキング20位までの選手がマシントラブルの影響を受けた場合、決勝に駒を進めることができる救済規定があり、結果的にフェアクローは無事にファイナルのスタート地点に立つこととなった。
決勝はめまぐるしく首位が入れ替わる激しい展開で、次々に最速タイムが更新されていった。集まった2万3000人のファンは、最後までレースの行方を興味深く見守っていた。全速力でコースを駆け抜けたフェアクローは、それまでのトップタイムより4秒も速いタイムを記録し、15分間にわたって首位の座についていた。その後、スティーブ・ピートが所定の時間内にゴールできなかったため失格となり、レヒコイネンは64ポイントを獲得すればランキング2位に浮上することが明らかになった。それを知ったレヒコイネンは笑顔を浮かべてスタートラインに並び、手堅い走りで好タイムをマークした。レヒコイネンはフェアクローの1つ上の7位という成績を収めている。このレースの結果、開幕直後から他を圧倒してきたサム・ヒルが、本年度もワールドカップのタイトルを手にしてシーズンが終了した。 |