練習走行ではヒルがグレッグ・ミナー(Team G Cross Honda)に約4秒の差をつけてトップに立ったが、昨年までの2年間とは異なり、参加ライダーのうち何人かは、ヒルを脅かすことができるという手応えを感じていた。とりわけ注目されたのが、今年のワールドカップではしばらく表彰台から遠ざかっているアサートンで、準決勝におけるその走りは見事なものだった。
Team G Cross Hondaのライダーたちも、マッティ・レヒコイネンが土曜日に15メートルも崖を転落するアクシデントに見舞われた以外は、順調に走行をこなした。レヒコイネンの転倒は、高速区間でペダルを木の根にとられて発生したものだが、プロテクターが何カ所か傷ついただけで、幸い目立った負傷を免れた。
準決勝では、レヒコイネンがチーム最上位の4番手につけた。ミナーはコンマ4秒差で5番手。ブレンダン・フェアクローは森の中で転倒して肩にすり傷を負ったが、それでも9番手というまずまずの結果を残している。アサートンはヒルに0.68秒差と迫り、Team G Cross Hondaのライダーは決勝で2人がさらにペースを上げるものと予想していた。ミナーとレヒコイネンはコースの後半でタイムを数秒縮めることが可能だと考えており、フェアクローはスムーズに最後まで走りきれば順位を上げられる状況だった。
決勝レースは、準決勝で転倒したスティーブ・ピートが通常より早くスタートをきったことから、劇的な展開となった。3分57秒81というピートのタイムは、長時間にわたって首位にとどまり、その間に付近の山々を暗雲が覆って気温も下がりはじめた。フェアクローはほとんどミスもなく力強いライディングを見せ、困難なテクニカルコースで自らとHonda RN01の能力をいかんなく引き出した。
2番手でゴールしたフェアクローは、コンマ3秒差でトップの座を保ったピートを祝福することとなった。続いてスタートしたミナーは、何度か脱臼した肩の問題もなく、自信を持ってゴールに飛びこむと、ピートから首位を奪った。さらにレヒコイネンが中間タイムでミナーからわずか0.13秒遅れという好記録をマークし、優勝を狙える位置につけた。しかし結果は、わずか100分の5秒差でミナーに軍配が上がった。
この時点でTeam G Cross Hondaの3選手は、1位、2位、5位の好位置を確保していたが、そのあとには優勝候補のライダーが控えていた。アサートンは最後までミスのない見事な走りを披露して過酷なコースを走破した。そしてミナーをコンマ4秒上回るタイムをマーク。しかし予想通り、続くヒルがシュラートミンクのコースを驚くべきスピードで駆け降り、2番手に5秒以上の差をつける異次元の速さで勝利を手中に収めた。
次のイギリス国内選手権までの2週間、チームはトレーニングに専念する。続いて夏期のインターバルがあり、9月9日にスコットランドのフォート・ウイリアムで開催される世界選手権が次のメジャー・イベントということになる。 |