前夜は雨となり当日朝も小雨となったが、大勢の観客が会場を訪れ、早期来場者は朝7時からライダーたちがコースへ出て行く姿を見守った。準決勝は前日に行われ、ミナーは3位に入り、タイトル争いに向けて貴重なポイントを獲得した。チームメートのマッティ・レヒコイネンは、スタート直前に小さな虫が目に入ってしまい、スタートからしばらく右目がよく見えない状況で走らねばならなかった。それが原因で距離感がつかめず、タイムロスしてしまい27位という結果に終わった。
今季、チームに加わったブレンダン・フェアクローは、3週間前にトレーニング中のアクシデントで手首から手の平へとつながる部分のじん帯を損傷し、今週に入っても強い不快感が生じていたことから出走はできないと思われていた。しかしハンドルバーグリップの調整と、物理療法士のマーティン・ニューヒルによるケアにより、フェアクローも初日の2度のプラクティスに参加。準決勝では67位という結果を残した。
そして日曜日。決勝がはじまって間もなく、水平線のかなたから不吉な雨雲が現れ、レース会場の方へと移動してきた。予選でクラッシュし、なんとかトップ80入りしたゼッケン5のマルク・ボーモンは、コースがまだ完ぺきな状態だったときにスタートできた最初の数名のライダーのひとりで、彼が記録した2分37秒21は最後まで破られることはなかった。雨も最初はそれほどでもなく、コースも良コンディションを保っていたが、フェアクローがスタート地点に到着して間もなく土砂降りとなり、さらには雹まで降ってきた。しかし驚くことにフェアクローは、ドライコンディションだった予選での記録からわずか数秒遅いだけというタイムを出し、37位でフィニッシュ。彼が中間地点(レース開始から65%地点)で記録したタイムはその時点での10位だった。レヒコイネンは、完全に本降りとなって視界も非常に悪い中で走らねばならなかったが、ウエットの状態で走行したライダーの中ではその時点の2位、総合では4位でフィニッシュラインを越えた。過酷なコンディションの中、全ライダーが走行を終えても11位を維持できたのはすばらしいことだった。
レースが最後の15人を残すのみとなった頃には空に太陽がのぞき、コースの砂地の部分では表面が乾きはじめていた。路面コンディションがよくなりタイムも縮みはじめ、そしてレースは最後の5人のライダーを残すのみとなった。ワールドカップで4度の優勝経験がある(うち2回はウエットコンディション)デービッド・ヴァスケスがすばらしい走りを見せ、ボーモンに続く2位に入った。そしてグレッグ・ミナーは、ライバルのスティーブ・ピートとサム・ヒルを上回るタイムを記録し、Team G Cross Hondaに3位表彰台をもたらした。これは彼にとって参戦19戦目で15回目の表彰台となる。
チームはこれからポルトガルへ向かい、リスボンでの市街地レースに備える。ワールドカップ第2戦は、6月10日にスイスのシャンペリーで行われる。 |