ブラジルのカンボリウ・ビーチで行われた緊迫のレースを制し、Team G Cross Hondaのマッティ・レヒコイネン選手が自身初の、そしてチームにとっても今シーズン初の勝ち星を挙げた。ブラジル南部の海岸に近いジャングルに設けられたコースは、レヒコイネン選手にとって理想的なものだったが、チームメイトのグレッグ・ミナー選手は途中トップに立ちながら、タイヤのパンクに見舞われるという不運な結果に終った。これまで、何度もあと一歩というところでワールドカップの表彰台に立てなかったレヒコイネン選手は、熱狂的なブラジルの観客が見守る中、その中央に立って自らの国歌を口ずさんだ。
一方、ミナー選手はワールドカップのタイトル防衛を目指して、今大会も万全の態勢を築いていた。準決勝を3番手で終えたミナー選手は、決勝でも中間地点まで最速のタイムをマークしていたのだ。しかし、コースの後半にタイヤが裂けたために転倒し、23位という不本意な結果でレースを終えることとなった。
金曜に行われたフリー走行はいくぶんコースが濡れている状況だったが、天候は次第に回復し、決勝レースは完全なドライ・コンディションに恵まれた。フリー走行ではミナー選手、レヒコイネン選手ともに健闘していた。そして、最後の計時走行で、スティーブ・ピート選手(Santa Cruz Syndicate)から10分の1秒差というタイムをマークしていたレヒコイネン選手は、十分に表彰台を狙えるという自信を胸に最終日を迎えた。
準決勝でミナー選手が狙っていたのは、今回も可能なかぎり多くのポイントを稼ぐことだった。結果、暫定ランキング1位のピート選手よりも10ポイント多い得点を手にしたが、総合のランキングに大きな変動はなかった。一方のレヒコイネン選手は確実な走りを心がけ、それがそのあとの結果に結びついた。準決勝を6番手で終えたレヒコイネン選手には、初めての表彰台に立つ可能性が十分にあった。
決勝では、レヒコイネン選手が中間地点を1分43秒96という最速タイムで通過し、トップに立った。そのあと、さらに5人のライダーがスタートし、22才のレヒコイネン選手は10分あまり、きわめて緊張した状況に置かれることとなった。最初に出走したジー・アサートン選手(Team Animal Giant)は、2分22秒12と、レヒコイネン選手から3秒近く遅れていた。次に第1戦で優勝したミック・ハナー選手(Cannondale/The Cut)が出走し、中間地点のタイムではレヒコイネン選手に肉薄したが、最終的には1.5秒差がつき、レヒコイネン選手がトップ3入りする可能性が高まった。
そして、チームメイトのミナー選手がスタートし、レヒコイネン選手をコンマ4秒ほど上回る最速の区間タイムをマークした。観客はミナー選手の姿が大型スクリーンに現れるのを固唾をのんで見守っていたが、その直後にミナー選手が転倒。転倒の原因は後輪のパンクによるものだった。ミナー選手は有力選手のスタートを待つレヒコイネン選手を祝福した。そのうち、ピート選手がわずか100分の9秒差と迫り、レヒコイネン選手は緊張に身を震わせながら結果を待っていた。ワールドカップ初の表彰台が優勝という結果になるかどうかがかかっていたからだ。最後に出走したサム・ヒル選手(Iron Horse Mad Catz)は、中間地点をレヒコイネン選手よりも速い1分42秒74で通過した。しかし、最後のセクションを完ぺきに通過したレヒコイネン選手は、まだあきらめていなかった。観客は、サム・ヒル選手が最後の区間で転倒する場面を目撃し、レヒコイネン選手は、フィンランド人として初めての歴史的な勝利を手にすることとなった。
Team G Cross Hondaは、このあとNORBAナショナル選手権シリーズが開催されるユタ州ディア・バレーへ移動する。決勝レースは、7月9日に開催される。
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