タイトル争いの行方がすでに確定した前戦から5週間のインターバルを挟んで、イタリアのピラで行われたUCIマウンテンバイク・ワールドカップ第7戦は、有力ライダーたちがどのような態勢を整えて2週間後の世界選手権に臨むかを測るテストの様相を呈した。それに加えて今回は不安定な天候となり、準決勝では雨は止んでいたもののウエット路面、決勝ではほとんどの選手が雨の中を走るという難コンディションとの戦いでもあった。
Team G Cross Hondaに所属する2人のライダーは、それぞれ異なる目標を掲げて今回のレースに臨んだ。グレッグ・ミナー選手が世界選手権を前にしてこのレースでは好成績を収めることだけを考えていた一方で、マティー・ライコネン選手にとってはワールドカップのランキングを上げるために、少しでも多くのポイントを獲得することが重要だった。
練習走行はアクシデントもなく順調に終了した。ミナー選手は計時走行では7位という結果に終わった。ライコネン選手は、4分24秒97というタイムで11位につけ、この5週間、レースから離れて負傷した肩の治療に専念していたにもかかわらず、上々の感触をつかんだ。ライコネン選手は、ワールドカップの最終戦が終わったあと、肩の手術を受けることになっている。
コースは開けたエリアや森の中、岩場、滑りやすい高速セクションを交えた難しいレイアウトで、タイヤの選択がきわめて難しかった。コースは1997年にワールドカップを制したコラード・ヘリン氏によってデザインされ、ライダーたちの技量を試すものとなっている。しかしそれ以上に問題となったのは、当日の気象条件だった。夜間に雨が降り、標高の高い場所では降雪もあったため、路面がきわめて滑りやすくなり、準決勝のタイムは練習走行より10秒ほど遅くなっていた。準決勝では、負傷のためワールドカップへの出場を見合わせていたサム・ヒル選手(オーストラリア)、スティーブ・ピート選手(イギリス)という2人の有力ライダーが、1-2番手に入ってその復活を示した。ミナー選手は3位につけ、ライコネン選手も好走したが、19位という結果には、落胆の色を隠せなかった。
決勝レースでは、最初の数人がスタートしたあと雨が降りはじめた。先に出走した、17歳のブレンダン・フェアクラフ選手(イギリス)が1時間半以上にわたって首位の座を守る。ライコネン選手は好タイムで中間地点を通過したが、木に接触して5秒の遅れをとり、トップ10入りできなかった。雨の中、はじめてフェアクラフ選手のタイムを上回ったのがミナー選手で、0.5秒以上の差をつけトップに立った。続くピート選手は中間地点でミナー選手を3秒上回るタイムを叩き出したが、後半のセクションでコントロールを失って転倒したため、9位という結果に終わった。最後にスタートしたサム・ヒル選手は、初日からの好調を維持し、ミナー選手に6秒の大差をつけて勝利を手中に収めた。
Team G Cross Hondaは来週、フランス、ラ・ブレッスで開催されるフランス・カップの最終戦に出場し、2週間後の9月6日から10日にかけて、イタリアのリヴィーニョで行われる世界選手権に向けて態勢を整えることになっている。
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