アメリカ合衆国ニューメキシコ州のエンゼル・ファイヤー・リゾートで行われた第6戦で、今シーズン3勝目を挙げたTeam
G Cross Hondaのグレッグ・ミナー選手が、2レースを残してUCIマウンテンバイク・ワールドシリーズのタイトル争いに決着をつけた。これまでで最も僅差となった接戦の結果、砂ぼこりに悩まされる超高速コースとされるエンゼル・ファイヤーを得意とする、ジャード・グレーブス選手(オーストラリア)を0.22秒差で破り、ミナー選手が優勝した。
この勝利によってミナー選手と総合2位の選手との差は500ポイントを超え、残り2レースの結果にかかわらず、逆転は不可能な状況となった。これは同時にHondaとしても初めてワールドカップを制する歴史的な快挙であった。ミナー選手は、この勝利により、ニコラス・ブイヨス選手、スティーブ・ピート選手に次ぐ歴代3位のワールドカップの優勝回数を記録した。
ミナー選手のチームメートであるマティー・ライコネン選手は、準決勝5位、決勝13位という好成績で、負傷から確実に立ち直りつつあることを示し、総合の暫定ランキングでも10位に浮上した。
コースは標高が高く、非常に厳しいものだった。海抜2930mという数字は、今シーズンのコースの中でもずば抜けて高い。所要時間が約4分半という長いコースは、体力を必要とする開けた道路の区間と、難しい岩場を含む4つの森林セクションからなっている。
フリー走行のミナー選手はコース上で一度止まりながらも4位と好調だった。一方のライコネン選手はペダルをコースのマーカーにひっかけて転倒するアクシデントに見舞われたが、幸いレントゲン検査の結果、骨折などはないことが確認された。まだ肩の負傷から回復する過程にある左腕の肘の筋を痛めた上、体調も悪かったため、準決勝への出走が危ぶまれる状況となった。しかし最終的にライコネン選手はレースに臨んだ。
準決勝でも、ミナー選手は見事な走りを見せ、道路のセクションでは決勝に力を温存するため、無理をしてペダルをこぐことはしなかった。タイトル争いの最も近いライバルであるネイサン・レニー選手(オーストラリア)が準決勝で低調だったため、ミナー選手は決勝で71ポイントを獲得すれば王座が確定する状況となった。準決勝トップはグレーブス選手。ライコネン選手もミナー選手から4.4秒遅れの5位という結果だった。
決勝レースで、長く首位の座を守っていたクリス・コバリク選手(オーストラリア)のタイムを、5秒もの差をつけて最初に破ったのはミナー選手だった。ミナー選手の後に出走するのは先ごろNORBAシリーズの開幕戦でミナー選手を破ったグレーブス選手ただ一人ということになった。グレーブス選手は中間地点をミナー選手よりも0.49秒早く通過。後半の区間を残し、ミナー選手に迫るスピードでゴールに近づいてきたグレーブス選手の姿に、会場のファンはいっそう熱狂した。グレーブス選手の走行が終わり、砂ぼこりが落ち着いたとき、そのタイムはミナー選手から0.22秒遅れ。ミナー選手はこの日の勝利を確定し、シリーズ・チャンピオンの栄冠を手にすることとなった。
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