国内MTBの最高格式である今大会は年1回行われ、勝者はその年の「ナショナルチャンピオン」となる。2004年以来2度目の全日本会場となったたざわ湖スキー場は、眼下に景勝・たざわ湖を望む地。昨年、スポーツセンター施設を全面リニューアルし、これにあわせて全長1500mの大会コースも新設された。ゲレンデ上部からスタートするダイナミックなコースは、途中でいくつかの森を通過。それぞれのシングルトラックには、大小のドロップオフなど勝敗を左右するテクニカルポイントが設定されている。そのほか、3連ジャンプやテーブルトップなども設けられ、短めの全長ながらも変化に富んだレイアウトがライダー間でも好評だった。
公式練習初日はドライ、2日目はウエットという路面状況と新コースを攻略するべく、ライダーたちは入念に走り込む。今大会は、大会前の時点でのランキングによってビブナンバーをつける。ゼッケン3番をつけた内嶋は、各セクションを細部まで研究し、ベテランらしい分析力とともに作戦を構築。井手川もチームメートの永田隼也を従えながら、多くの本数を走り込んだ。
曇天とドライ路面でむかえた決勝日。12時20分から行われたシニア/エリートクラス予選で、内嶋は2分14秒545のタイムで2番手につけた。一方、井手川は内嶋に遅れること4秒余りの3番手。なお、予選トップは安達靖(Team
Ikuzawa)の2分11秒751だった。予選終了と同時に、暗い梅雨空から雨が落ちはじめ、強い降りとなった。乾いていた路面は、やがてスリッピーなウエットに変化していく。タイヤ選択、テクニカルセクション進入前のスピードコントロールなど、決勝は予選とは走り方もタイムも変わることは必至だ。
決勝は、予選通過者30人のリバーススタートで午後2時30分から開始された。1人ゴールするごとにタイムは塗り替えられ、予選3番手の井手川も2分23秒391を出して暫定トップに立つ。次の走者、内嶋が叩き出したタイムは、井手川のタイムを2.5秒以上も短縮する2分20秒906。そして最終ライダーの安達がゴールし、電光掲示板に2分22秒093の数字がアップされた。この瞬間、1秒187差で内嶋の2007年MTBダウンヒル・ナショナルチャンピオンが決定した。
今大会の結果によって内嶋と井手川は、ともにアジア大陸MTB選手権大会(8月・中国)およびUCI世界MTB選手権大会(9月・イギリス)への参戦資格を獲得した。また、全日本選手権はジャパンシリーズの大会よりも高ポイントが加算されることもあり、ナショナルランキングのポイントランキングに入れ替わりが生じるも、1位から3位はなお僅差のままシリ−ズ後半戦へと突入する。 |