大会用にアレンジされたコースは、一部にエリート男子クラスのみの専用コースが設定された全長2070メートル。木の根と岩が敷き詰められたスリッピーなシングルトラック、ダイナミックなゲレンデセクション、連続するバンクコーナーなどをクリアし、最終ロックセクションから急斜面のストレートを加速しながらゴールへと飛び込む。最高峰エリートクラスにふさわしいハイスピードかつテクニカルなレイアウトとなった。
先月の全日本選手権でナショナルチャンピオンを獲得した内嶋亮(G Cross Honda Uchijima)、さらに2週間前のアジア選手権で初のアジアチャンピオンに輝いて凱旋帰国した井手川直樹(G
Cross Honda Idegawa)は、両者ともに公式練習日から積極的に走り込みを行い、順調に調子を上げていった。
レース当日、12時40分の開始予定だったエリート男子予選は、突然の雷雲の影響により、ライダーをスタート地点へと運ぶゴンドラが運行停止。待機時間のあと午後1時半に再開されるまで、ライダーは一度高めた精神集中を抑え、あるいは解き、50分間ののちに再びメンタルコントロールを行って、予選に備えるという試練を強いられた。
予選は現在のナショナルランキングトップからスタート。2番手にスタートした内嶋は3分9秒504のタイムで予選3番手につける。一方、井手川はシングルトラックを走行中にペダルを木の根に強くヒットしてしまったことがきっかけで転倒してしまう。身体にもマシンにもダメージを負い、リカバリーに大幅なタイムロスがあった。結果、21番手で予選を通過、打撲部分にアイシングを行うなど、決勝へ向けて懸命に立て直しを図る。
午後3時半、暗い雲も去って快晴で迎えた決勝。気持ちを入れ替えて挑んだ井手川に再び、今度はスタート後まもなくフロントタイヤのパンクという事態が襲いかかった。加減速やライン取りのコントロールもままならず、不安定なマシンのバランスを取りながらなんとか走り続けた井手川だったが、アクシデント続きで結果を出すことはできなかった。
予選結果のリバーススタートにより、続々とタイムが更新され、暫定トップが入れ替わる。そして内嶋のタイムは、自身の予選タイムを5秒近くも短縮する3分5秒523。ゴールエリアに沸き上がる歓声と拍手に、内嶋は大きなガッツポーズで応えながら暫定トップをアピールした。しかしながら、決勝最終ライダーの安達靖(Team
Ikuzawa)のタイムにわずか0.552秒届かず、僅差での2位が確定した。G Cross Honda Idegawaの永田隼也は7位と健闘、ナショナルランキングでも6位に浮上した。
今季ジャパンシリーズの残りは2戦、次戦は10月6日の青森大会となる。終盤戦を控えて、ランキングの行方が注目される。 |