日本最大級のMTBフィールドとして名高く、選手権が毎年開催される富士見パノラマにおいて、今大会の大きな話題はコース長の変更だった。山頂をスタート地点としていた昨年までの全長4200mのコースは、山の中腹からの全長1800mへと大幅に短縮され、ライダーにとってはわずかなミスが勝敗を分けるコース特性となった。シングルトラックやスイッチバック、ゲレンデセクションのほか、コース中の最難関は「Aダッシュ」と呼ばれる、テクニカルに設定されたセクション。レイアウトも昨年とは異なり、ガレ場(岩くずが転がる荒れ地)から大岩を越えるロックセクションを、いかにスムーズにクリアするかが攻略のカギとなる。
午後12時40分、エリート男子はエントリー62台、現ランキング1位の井手川から順に30秒間隔での予選タイムアタックがスタート。安定したライディングでまとめた井手川のタイムは、2分38秒135で予選2番手。内嶋は井手川からわずか0.052秒遅れの2分38秒187で予選3番手。トップは安達靖(Team Ikuzawa)で、4位以下とのタイム差を見ても、決勝はこの3名の戦いになることが予想された。
午後3時20分、ロックセクションやゴール手前のゲレンデで大勢のギャラリーが見守る中、予選上位30名による決勝がリバーススタートで開始された。タイムアップの難しいコース特性のためか、予選タイムから1秒前後アップでゴールするライダーがほとんどで、暫定トップの入れ替わりもまた僅差でのタイム塗り替えの連続となった。
予選5番手の永田は、自身の予選タイムから3秒以上アップの2分40秒335でゴールして暫定トップに立つ。それを塗り替えたのは内嶋。ゲレンデの滑りやすい芝生を華麗にクリアして、2分38秒630のタイムでゴール。さらに続いて井手川が、自ら不得手という芝生をパワーで押さえつけるようなライン取りで駆け抜けると、2分37秒461を叩き出してゴールへ飛び込んだ。しかし、最終ライダーの安達が2分36秒161を記録して、井手川の2位、内嶋3位、永田4位が決定した。
次回のレースは7月21日、「第20回JCF 全日本MTB選手権大会」が秋田県田沢湖町で開催され、今年度のナショナルチャンピオンが決定される。さらに、9月にイギリスで行われる世界選手権大会への出場権をかけた大会ともなる。 |