JCF MTBジャパンシリーズ・ダウンヒル最終戦となる第7戦が、石川県白山市の瀬女高原スキー場で行われ、Team G Cross Hondaの井手川直樹選手が完璧な走りを見せて優勝。2005年ジャパンシリーズチャンピオンとなった。最終戦まで井手川選手とジャパンシリーズのチャンピオン争いをしていたチームメイトの内嶋亮選手は、この大会で3位となり、シリーズランキング2位を獲得した。この結果、ナショナルポイントランキングにおいても井手川選手が1位に浮上。内嶋選手が2位となり、今季のTeam G Cross Hondaは、ジャパンシリーズランキングとナショナルポイントランキングの両方でワン・ツーを達成した。
瀬女名物と呼ばれるスーパーテクニカルセクション・通称『ブナ林』は、文字通り周囲をブナに覆われ、キャンバー状の急斜面が小刻みに曲がりくねり、晴天のときでも常に滑りやすい路面という難所。その他にも、木の根がむき出しになった連続するシングルトラックや、フラットだがガレ場のS字コーナーなど、わずかな油断がクラッシュを招く全体的にテクニカルなコース。木曜日と金曜日の練習では、ライダーたちは雨の場合の攻略法を考え、難しいポイントを確認するように走っていた。そして土曜日予選前の練習が始まると、雨は次第に本格的に降り始めたのだった。
雨は予選の際に、ひときわ強く降り出した。マディな路面がタイヤのグリップを奪い、濃い霧がライダーたちの視界を妨げる。そんなコンディションの中、井手川選手が5分21秒78という2位に7秒以上の差をつけるトップタイムで、前回の青森大会からの好調をアピール。内嶋選手は2度の転倒があり、5分32秒432のタイムで予選4位につけた。前大会終了の時点でシリーズポイントランキングのトップにいた井手川選手は、今回の予選1位の獲得ポイントにより、予選終了時点でジャパンシリーズチャンピオンを獲得した。
あちこちに水溜りができ、泥水の流れる路面状況となった決勝、今季のナショナルポイントランキングを賭けた井手川選手と内嶋選手の一騎打ちが始まった。予選4位の内嶋選手が決勝でどれほどタイムを詰めてくるのかが注目されたが、スタート後まもなくフロントタイヤのパンクにみまわれ、必死にそれをかばいながら走りきったためにタイムは5分25秒311。そして最終ライダーの井手川選手が自己予選タイムをさらに大きく短縮する5分9秒763をマークして、第6戦に続く連続優勝を決めたのだった。この瞬間、ナショナルポイントランキングにおいても、井手川選手の1位が決定した。今季のナショナルチャンピオンである内嶋選手は、ジャパンシリーズランキング、ナショナルポイントランキングともに2位となった。
さらに今回の石川大会では、UCIマウンテンバイク・ワールドカップの今季チャンピオンであるグレッグ・ミナー選手(Team G Cross Honda)が来日し、昨年に続いてデモンストレーション・ライドを披露した。「雨で滑るけれど、とても楽しいコース」とミナー選手はマディな路面をものともしない軽快なライドを見せた。ゴール手前のジャンプではダイナミックなツイストジャンプを見せ、非公式ながら4分58秒09というタイムだった。世界の走りを目の前にしたコース脇のギャラリーからは、大きな歓声が上がった。
2005年のJCF MTBジャパンシリーズは終了し、ライダーたちはシーズンオフに入る。再び新たなレースシーズンに向けてトレーニングに励みながら、さらなるレベルアップを目指してゆく。
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