最先端の昂ぶりを。手の込んだ和の伝統的な形を顔に 03_ダイヤモンドペンタゴングリル

Honda最上級セダンの
心を象徴する表情とは

クルマの印象を大きく左右するフロントマスク。文字通りクルマの顔だ。
その要となるのがグリルの部分。レジェンドに相応しいグリルを。
世界のセダンでも唯一の駆動システムをクルマの根幹に持つレジェンドが求めたのは、
上質感と精悍さ、そして、和を基調にしながら、何よりも独創性にあふれる形だった。

思いのままの走りをめざした3モーターハイブリッド。運転に安心と快適を生むHonda SENSING。躍動的なフォルム。豊かな空間と、それを至高の音で満たすオーディオ。レジェンドはすべてに「昂ぶり」を追求して生まれ、その想いは、2018年の一部改良でより強く打ち出された。骨格から改良され、走りが磨かれ、デザインも大胆に変わった。フロントはそれまで、翼をイメージさせるV字基調のデザインだったが、全体的にハの字基調へと全く逆になり、グリルの輪郭も、カットされたダイヤのような上半分がハの字基調の逆五角形とされた。それらが生み出す、しっかりと路面を踏みしめているかのような力強さや低重心感。それは走りを身上とするドライバーズセダンとしての主張を強調するものだった。デザイナーはその文脈に沿い、走りを予感させる精悍さを第一に、上級セダンとしての格調も兼ね備える唯一無二のフロントグリルのデザインを企てた。

デザイナーには当初から和の構想があった。日本のものづくりの志や誇りを表したかった。市松、麻の葉、七宝繋ぎ、矢絣(やがすり)。日本の伝統的な文様を数々研究し、日本建築で天井と鴨居の間に設けられる小窓、いわゆる欄間(らんま)に施される文様にも目を向けた。しかしこれらは平面が前提の文様で、デザイナーが一方で求めていた立体感に富むものに昇華しづらかった。着想は意外なところにあった。忍者が使う撒菱(まきびし)。これを並べてグリルにする発想だった。ピース1個分の模型をつくり、形を吟味しては修正する。できた立体を3次元測定でデータ化し、これを配列したデータをつくる。それもただ並べるのではなく、上下・左右ともに曲線的に張りを持たせ、またHマークを通る中心線から外側に向かって徐々にハの字に開いていくような配列。さらにピースの大きさにも変化をつける。ピースはひとつとして同じ形がない。アナログとデジタルの技術を合わせなければできないデザインだった。

こうしてつくったデザインは、しかし、すぐに試作品にはならなかった。2次元データに一旦変換され、開口部の面積が測られた。ラジエーターの冷却に必要な開口面積がなければ機能性としては失格だった。空力の課題もあった。穴を塞ぐ方が空気抵抗が減り、空力性能は有利になる。冷却と空力、どちらも犠牲にはできない。さらに成型の課題もあった。樹脂は部材の厚みが均一でないと、熱を冷まして固める段階で収縮変形を起こしやすい。これを避けるべく、また軽量化の目的もあって、裏側は輪郭を残して中身をえぐったような“肉抜き”がされるが、ピースの継手の部分などが細すぎては金型が入らない。これらをクリアして初めて試作品がつくられ、実寸の現物を前にしてデザインを検討し、納得いかなければ始めに立ち返ることを繰り返し、造形が完成した。塗装は、グリルの裏から照射するミリ波レーダーに影響しない顔料や塗料を検討・採用しながら、重厚な金属感と上質感を演出した。造形も開発のプロセスも手の込んだフロントグリル。あなた自身の目で、その形に込められたこだわりを感じ取っていただきたい。

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