最先端の昂ぶりを。宝石のような目に、美しさ以上の革新 01_ジュエルアイLEDヘッドライト

走りの自在さや広さも生んだ
「光の発明」

まるでラインストーンリングのような精緻さと煌めきで
プレミアム感を表現したレジェンドのヘッドライト。
LEDの登場で世界の高級車が
独創的なライトデザインに注力する中、レジェンドが打ち出したこのライトは、
二重反射なる「発明」で、デザイン性だけではない大きな意義を生んだ。

「前のオーバーハングを詰めろ」。それは前輪の車軸より前の車体の部分。レジェンドが第一にめざす意のままの運動性能と、洗練されたカースタイリングのためには、ここを極力短く、軽くすることが肝要だった。一方でハイブリッド化に伴い、ボンネット内に収めるメカは増える。居住空間を狭めればオーバーハングは短くできる。しかしHondaには、クルマづくりの原点から守ってきた考え方がある。「人の空間は最大に、メカの空間は最小に」というMM思想だ。開発者たちはメカの縮小に心を砕いた。ヘッドライトも同様だった。
いかに奥行を短くできるか。妙案を日々探り、そしてある発想に行き着く。光源から出た光を上下に分けつつ、V字型の鏡面とレンズ内側の反射で斜め後方へ一旦はね返し、レンズ裏の鏡面でもう一度反射させて前に出す。この効果は絶大で、従来のライトよりも大幅に奥行を短くできる。このユニットを横に4列並べ、左右で計8灯のロービームを形づくる。これがライトの設計の基本となった。※マン・マキシマム/メカ・ミニマム

しかしこの構造は光が複雑な進路をとり、精密な光学技術を要する。共同開発として、自動車電球を中心とした特殊電球の分野で約100年の歴史と新技術の実績を数々もつスタンレー電気と、一体となった挑戦が始まった。4列のロービームは最も内側が遠め、中央2列が中距離、最も外側は近距離および斜め前方を照らすものと役割が分かれる。最も内側のものから7度ずつ角度をつけ、路肩まで鮮明に照らすことを可能にしているが、狙い通りの配光の要は、二重反射と屈折の機能を同時に担う厚肉レンズの設計だった。中央の2列は共用ながら、都合6種類となるレンズは一見同じに見えつつ役割ごとに形状が異なる。光源の正面に据えるV字型の鏡面の寸法・開き角や、レンズの両面の曲率・厚み・屈折率など。光学的な観点だけでも検討要件が極めて多く、すべてに緻密な計算が必要で、なおかつデザイン性との両立も重要だった。仕様の決定に向け、満足できるまで何度も試作を重ねた。その労力は量産車では異例のことだった。

それはレンズの製法にも関係する。レンズは肉厚にしても軽量かつクリアにできるポリカーボネート製。熱で溶かした素材を金型に入れて成型するが、その金型は匠の手の触感による製品確認も交え、100万分の1mm単位の高精度で研磨してつくられる。試作のたび、この金型が一から起こされたのだった。一方、LEDのチップはわずか約1mm角。これを2~4個並べて光源とするが、明るい光を発する性能に長けたもの、しかも厳しい基準で定められた白色に調色し得るチップだけが選別された。さらに、チップの配列の精度や、約120℃に達する熱の効率的な放熱処理など、通常のライトの何倍もの知恵や技術が注がれて、ついにライトは完成に至った。日中、ライトオフでも美しい煌めき。これも当初からの狙いだが、奥行が薄いためレンズの裏の鏡面に日光が届きやすいという、この設計ならではの美しさである。一台のレジェンドに対面した時、このライトに込めた開発者たちの情熱を、その輝きの奥に感じ取っていただければと思う。

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