モータースポーツ > 全日本トライアル選手権 > 第7戦 スポーツランドSUGO > 決勝
10月27日(日)・決勝 会場:宮城県・スポーツランドSUGO 天候:晴れ、ときどき曇り、一時雨
気温:15℃ 観客:650人 セクション:泥、岩、沢、コンクリート、木
合計6戦で争われることになった2013年の全日本トライアル選手権も、いよいよ最終戦。2週間前の中部大会で黒山健一(ヤマハ)に敗北を喫した小川友幸(Honda)ですが、タイトル争いはこの最終戦で勝利した者が勝ち取ることになります。
シリーズチャンピオンは獲得ポイントで決定しますが、ここまでのポイントは小川91点に対し、黒山が94点と3点リード。最終戦で黒山が勝利すれば、チャンピオンは黒山となりますが、小川が勝って黒山が2位なら、両者のポイントは全く同じ111点となります。規則では、シリーズの直近の大会で高得点をあげた者が上位となるため、小川がチャンピオンを獲得することになります。つまり、最終戦で勝った方がチャンピオンに決まります。
ただし、この2人以外の選手が勝利し、小川が2位、黒山が3位の場合は、1点差で黒山がタイトル獲得となります。小川は黒山をマークするばかりでなく、すべてのライバルを視野に入れながら、とにかく勝利しなければならないという瀬戸際の戦いとなりました。
試合が始まってすぐの第1セクション。黒山、野崎史高(ヤマハ)がクリーンしたこのセクションで、小川は3点を取ってしまいます。「気持ちがわずかに守りに入ってしまっていたのかもしれない」と、この3点について小川は語っています。
直後の第2セクション、小川は1点、対して黒山は5点。小川は出だしこそつまずいたものの、黒山に対して1点のリードを得ることができました。
しかしながら、第1セクションをクリーンとした野崎が第2セクションも1点だったため、トップは野崎になりました。このままでは小川のチャンピオン獲得はありません。
第5セクションで野崎が1点。それでもまだ、小川と2点差で野崎がトップ。第7セクションで野崎と黒山が1点。1点差で2位に小川、2点差で3位に黒山と続きます。
そして迎えたのが第8セクション。大会が毎年開催されているスポーツランドSUGOでは、名物の難所セクションです。岩盤登りの最後のポイント、小川は失敗してしまいます。対して黒山は1点で、野崎は5点で通過します。この時点でトップは黒山の12点。野崎が13点で、小川が14点。順位がめまぐるしく入れ替わります。
第11セクション、小川は足つきをし、黒山との点差を3点としてしまいました。ここで野崎が5点となり、優勝争いから脱落しました。
2ラップ目、今度は第1セクションをクリーンした小川が、第2セクションは1ラップ目同様に1点、第3セクションはやはり難セクションで5点。これは黒山も同様で、2人の点差は変わりません。その後、第7セクションまでは2人ともクリーンを続けていきます。
第8セクション。小川がトライし、クリーンとしました。そのあとに黒山が続きますが、ここで5点。これで両者の点差が逆転、2点差で小川がトップに立ちます。
その後、12セクションまでは両者ともクリーンを続け、12セクション2ラップでの勝負は、小川が2点差を守りきりました。このあとはスーパーセクション(SS)の2セクションで最後の勝負に挑むことになります。
下見の段階では、SSの1つ目は難セクション、2つ目はクリーンの出るセクションとされていました。もちろんクリーンセクションでも、ちょっとした失敗で5点となることはありますが、まず勝負はSSの1つ目、ということになりました。
土の斜面を上って、短い助走から岩肌を登るポイント。トライするライダーが、次々に落とされていきます。柴田暁(Honda)が2点、野崎が3点で通過したのち、小川がトライしました。
丁寧に、慎重に、そして攻めの姿勢を忘れずにトライした小川。この難セクションを見事、クリーンとしました。小川の力量を考えれば、最後のSSで5点となることはまず考えられません。いよいよ、小川の勝利とチャンピオン獲得が目前となってきました。黒山はここで1点をつき、その点差を3点としました。
SSの2つ目。コンクリートブロックなどをポンポンと飛び越えるこのセクション、11人の国際A級スーパークラスのライダーのうち、5点となったのは2人だけ。クリーンは難しいとしても、ここを抜けるだけなら、どのライダーにも可能性がありそうです。小川と黒山との間には3点の差があり、黒山がクリーンにしたとしても、小川が2点なら同点。ただし同点の場合、クリーン数が多い黒山が勝利となりますから、小川は1点以内でここを抜けなければいけません。
セクションに入る小川。一つひとつのポイントを、やはり丁寧に走り込んでいきます。そしてクリーン。この瞬間、今シーズン3度目の小川の勝利と、自身3度目となる全日本チャンピオンが決定しました。
今シーズン、小川は黒山との対戦成績を3勝3敗としています。常に接戦という大変な戦いでした。勝った方も負けた方も、すばらしいパフォーマンスを披露してくれました。
小川友幸(優勝)「本当に厳しい一年間でした。今日は序盤からリードしていこうと思っていたので、第1セクションでの3点はヤバいな、という感じでしたが、第2セクションで黒山選手が5点になったのを見て、正直ほっとしました。最後の最後まで接戦だったのは、今シーズンを象徴するような戦いでした。厳しかったけれど、楽しい一年間でした」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 小川友幸 | Honda | 0 | 21 | 19 |
2 | 1 | 黒山健一 | ヤマハ | 0 | 24 | 18 |
3 | 3 | 野崎史高 | ヤマハ | 0 | 35 | 13 |
4 | 7 | 田中善弘 | ベータ | 0 | 57 | 8 |
5 | 4 | 小川毅士 | ベータ | 0 | 60 | 8 |
6 | 5 | 柴田暁 | Honda | 0 | 60 | 8 |
10 | 8 | 斎藤晶夫 | Honda | 0 | 96 | 3 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 小川友幸 | Honda | 111 |
2 | 黒山健一 | ヤマハ | 111 |
3 | 野崎史高 | ヤマハ | 90 |
4 | 小川毅士 | ベータ | 67 |
5 | 田中善弘 | ベータ | 66 |
6 | 柴田暁 | Honda | 63 |
10 | 斎藤晶夫 | Honda | 33 |