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2013年9月22日(日)・決勝 会場:山口県・フィールド幸楽トライアルパーク
天候:晴れ 気温:32℃ 観客:1508人 セクション:泥、沢、岩
開幕戦・関東大会が中止となって、全6戦で争われる全日本選手権シリーズも第5戦。いよいよ終盤戦に突入しました。ここまで2勝している小川友幸(Honda)は、ここで勝利して3連勝とすれば、残る2戦の戦いをたいへん優位に運べることになります。今回の一戦は、今シーズンの天王山といってもいい戦いとなりました。
セクションは、すべてクリーンが可能な設定でした。前日に下見をした時点で、試合は神経戦になると小川友幸は読んでいました。
第1セクションから、小川友幸とライバルの黒山健一(ヤマハ)のクリーンの応酬が続きます。第1セクションをクリーンしたのはこの2人のほかに、田中善弘(ベータ)、加賀国光(ガスガス)の計4人。優勝候補の一角とされていた野崎史高(ヤマハ)は第1セクションで1点を失いました。試合が進むにつれて、一波乱も二波乱もあると考えられていました。しかし、野崎を含めて、小川友幸と黒山のクリーン合戦は、いつまでも終わることなく続きました。
試合は12セクションを2ラップに、SS(スペシャルセクション)が2セクション加えられたコースで行われました。最初の1ラップは、3時間の持ち時間が設定されていました。前日、2時間半から3時間へと30分延長されましたが、それでも1ラップ目後半は持ち時間に追われるライダーが続出。そんな中、トップの3人は12セクションすべてをクリーンで通過していきました。
そして2ラップ目。3人の熱戦は続きます。なかでも小川友幸は、ライバルがクリーンのままゴールした場合の順位のことを考え、先行してトライしていきます。ルールでは、すべてのスコアが同点の場合は、試合時間が短い者が勝利となるからです。
しかし、先を急ぐあまりに、足をついてしまっては本末転倒です。慎重にも慎重を重ね、小川友幸はセクションをこなしていきます。野崎も同様に高い集中力でトライを続けますが、野崎の場合は上位2人がミスをしなければ、3位以上に上がるチャンスはありません。
小川友幸と黒山は結局、24セクションすべてをクリーンして2ラップを終えました。そして小川友幸のゴール時間は、黒山より5分以上早いものでした。このまま、残るSSの2つのセクションもクリーンで終えれば、時間差で小川選手の勝利が決まることになります。そしてSSを下見する限り、それは十分にあり得ると思われました。
SSの1つ目。ライダーを次々に落としていく大岩。しかし、トップライダーの手にかかるとこれがクリーンセクションとなります。1つ目のSSは、11人中6人のライダーがクリーンで通過。もちろん、トップの3人はクリーンしました。
そして勝負は、最終セクションに持ちこまれました。SSの二つ目は、入口に大岩が鎮座していました。若い柴田暁選手(Honda)がここを1点で抜け、これならトップ集団はみなクリーン通過しても不思議ではない状況でした。
ゼッケンの逆順にトライするため、永久保恭平(ベータ)から始まり、柴田、小川毅士(ベータ)、野崎、そして小川友幸に黒山と続きました。
柴田のあと、小川毅士がクリーンで通過。いよいよトップ3人のトライというところで、最初に走った野崎選手が5点となります。これでわずかにあった勝利の可能性を、野崎は自らつぶしてしまいました。しかしそれは、野崎だけではありませんでした。
野崎に続いて、小川友幸のトライ。しかし小川友幸もまた、ここで5点となりました。最後を走る黒山が5点となれば、同点ですが、4点以下の場合は黒山の勝利となります。
最後にトライに入った黒山は、大岩の頂点で足をつき、確実にマシンを運んで出口へ導きます。黒山の減点は1点、小川友幸に4点差をつけて、今シーズン2勝目を挙げることになりました。
これで小川友幸は黒川との対戦戦績を2勝2敗として、2人の戦いは振出しに戻りました。小川友幸が残り2戦で2連勝を決められるか、最終戦まで目が離せない戦いが続きます。
次戦は、10月13日(日)、愛知県岡崎市のキョウセイドライバーランドで開催されます。
小川友幸(2位)「最後のセクションは、オールクリーンをしている者同士で、私が先にトライをする以上、絶対にクリーンをするしかありませんでした。登り足らずに落ちることも許されないですし、登り過ぎて足をつくのも許されない。ぴったりでなければいけなかった訳です。決して簡単ではありませんが、練習であれをやっていたら、まず失敗することがないポイントです。その中でも、ああいった状況でいろいろなプレッシャーのある中、ほんのわずかに足りなかった結果が、今日のすべてになりました」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 黒山健一 | ヤマハ | 0 | 1 | 25 |
2 | 2 | 小川友幸 | Honda | 0 | 5 | 25 |
3 | 3 | 野崎史高 | ヤマハ | 0 | 6 | 24 |
4 | 5 | 柴田暁 | Honda | 0 | 24 | 17 |
5 | 7 | 田中善弘 | ベータ | 0 | 27 | 18 |
6 | 4 | 小川毅士 | ベータ | 0 | 35 | 16 |
8 | 8 | 斎藤晶夫 | Honda | 0 | 53 | 7 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 黒山健一 | ヤマハ | 74 |
2 | 小川友幸 | Honda | 74 |
3 | 野崎史高 | ヤマハ | 60 |
4 | 小川毅士 | ベータ | 43 |
5 | 田中善弘 | ベータ | 43 |
6 | 柴田暁 | Honda | 42 |
9 | 斎藤晶夫 | Honda | 27 |