東日本大震災の影響で本来の第1戦、第2戦が中止になり、夏のこの時期の北海道大会が2011年全日本トライアル選手権の第2戦となりました。会場はおなじみのわっさむサーキットですが、今年はセクションに細かい変化が加えられました。国際A級スーパーのセクションは険しく高いものとなりましたが、多くの選手にとっての難関は、北海道にして30℃を超える猛暑でした。
第1セクションでは、3人がクリーンしました。2010年全日本チャンピオンの小川友幸(Honda)と黒山健一(ヤマハ)、そして先月開催された世界選手権イタリア大会に参戦した柴田暁(Honda)でした。
第4セクションまでは、小川と黒山がオールクリーンでトップに並びます。柴田は第2セクションで5点。しかしライバルが5点を連発する中、単独3位でセクションを抜けていきます。第5セクションで、小川と黒山が初めて足を着きました。小川が2点、黒山が1点。わずか1点の差ですが、ここから試合が少しずつ動いていきます。
第6セクション、今度は小川が5点。黒山は、ここを2点で抜けていきます。トータルで4点差。さらに第7セクションで、小川が3点、黒山がクリーン。両者の点差はたった3セクションで7点に開きました。両者がクリーンした第8セクションのあと、第9セクションでは全ライダーが5点となる中、黒山がただ一人クリーン。さらに最終第10セクションでも、黒山は唯一ここを抜けて3点となりました。
1ラップ目のトップは黒山で6点、小川友幸が20点。この2人での優勝争いになるのですが、小川は1ラップ目に大きく差をつけられました。3位は野崎史高(ヤマハ)で27点、4位に柴田で28点となっています。
2ラップ目、第3セクションで黒山が5点。小川はここを1点で抜けて、その差を4点縮めましたが、まだまだ点差は小さくありません。その後、小川は第8セクションで5点を取ってしまい、黒山に対するビハインドを決定的なものにしてしまいました。
2ラップが終わった時点で、黒山16点に対し、小川は32点。この後、第9セクションと第10セクションを使ったスペシャルステージが残されていますが、2セクションの両方で黒山が5点となり、小川がクリーンをしたとしても、両者の点差は10点しか縮まりません。この時点で、黒山の優勝が決まりました。同時に小川も、3位に16点差をつけていたので、小川の2位も確定しました。残るスペシャルステージは、今日の戦いを気持ちよく締めくくるためのエピローグとなります。
一方、柴田にとっては、スペシャルステージは大切な舞台となりました。2ラップを終えて、柴田は3位のポジションをキープしていました。4位の野崎とはわずか2点差。経験に勝る野崎には、最後の最後で逆転される恐れもあります。柴田は、小川でさえ2ラップ目にようやく2点で抜け出た第9セクションを、1点で抜けています。これは柴田にとって、この日の最高の瞬間でした。対する野崎は、2ラップを通じて第9セクション、第10セクションともに5点。柴田が第9セクションでこれまでのような走りができれば、3位は確定的となります。
しかし、柴田のトライは予想外の結果となりました。多くのライダーを苦しめ、柴田が最高のライディングを見せたセクション後半の岩場の前に、入口の大岩を上りそこねてしまい、痛恨の5点でした。建材ブロックの高い要塞を上りつめる第10セクションは、柴田も上れませんでした。降りる時に前転してしまい、最後に痛い思いをしながら22セクションの戦いを終えました。結果、スペシャルステージでは野崎も5点/5点で柴田の3位は変わらず、スーパークラス3年目にして、柴田は初めて表彰台に登壇しました。
今シーズンは残り3戦。序盤2戦を2位で終えた小川友幸にとっては、後半3戦は一つも落とせない大事な試合となります。
小川友幸(2位)「1ラップ目の後半に乱れだしてしまいました。僕の中では1ラップ目の第5セクションが勝負の流れを決定づけてしまいました。2戦続けて2位です。昨年とまったく同じパターンなので、残り3戦は勝っていくしかない状況になりました」
柴田暁(3位)「今回は、スペシャルステージ以外はとても楽しかったです。スペシャルステージに入るときは3位だということを知らなかったのですが、それを知らされてすごいプレッシャーを感じてしまいました。自分のしでかしやすいミスをしないようにと思っていたのですが、それをそのまましてしまいました。しかし初表彰台です。この流れで、もっと上を目指していきたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
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1 | 2 | 黒山健一 | ヤマハ | 0 | 21 | 14 |
2 | 1 | 小川友幸 | Honda | 0 | 42 | 10 |
3 | 7 | 柴田暁 | Honda | 0 | 58 | 8 |
4 | 3 | 野崎史高 | ヤマハ | 0 | 60 | 7 |
5 | 5 | 小川毅士 | ベータ | 0 | 62 | 7 |
6 | 11 | 野本佳章 | ベータ | 0 | 64 | 8 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 黒山健一 | ヤマハ | 40 |
2 | 小川友幸 | Honda | 34 |
3 | 野崎史高 | ヤマハ | 28 |
4 | 柴田暁 | Honda | 24 |
5 | 田中善弘 | ベータ | 22 |
6 | 小川毅士 | ベータ | 22 |