round 1

October 31 2010
All Japan Trial Championship Sportsland SUGO
第7戦 スポーツランドSUGO

小川友幸、堂々チャンピオン

季節外れの台風14号が日本列島を直撃した週末、2010年全日本トライアル最終戦は宮城県のサーキット、スポーツランドSUGOで開催された。

台風の進路からはそれたものの、朝から霧雨模様。時折り雨らしい雨になり、観戦にはなかなか過酷な大会となった。もちろんライダーにも過酷な戦いを強いることになった。

  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 渋谷勲渋谷勲
  • 渋谷勲渋谷勲
  • 柴田暁柴田暁

第1セクションは比較的、クリーンが出やすいセクションだった。しかしここで、渋谷勲(Honda)が真直角のブロックを上がれずに5点。続く第2セクションでも5点となった渋谷は、ここから自分のペースを貫くべく、速いペースで試合を進めていった。その姿は、またたく間にトップ争いをするライダーたちの視界から消え去っていった。

第1セクションをクリーンした4人のトップライダー、小川友幸(Honda)、黒山健一(ヤマハ)、野崎史高(ヤマハ)、小川毅士(ベータ)だったが、次の第2セクションでこの日の流れをつくる最初の機会が訪れる。野崎が1点、小川毅士が5点、そして黒山もタイムオーバーの5点、小川友幸が1点。小川友幸と野崎がほんのわずかのリードをもって、試合を運び始めた。

黒山は第4セクションでも1点を加えて6点、小川友幸と野崎は、まだ1点のまま試合を進めている。新設となった第5セクションで、野崎がバランスを崩し、マシンを支えきれず5点。これで野崎と黒山は同点、小川友幸が単独のトップに出た。

しかし次の第6セクション、長いヒルクライムで今度は小川友幸が失敗して5点。野崎がここで1点を加えたことで、トップは小川友幸と黒山が6点の同点、3位に7点の野崎が続いた。小川毅士はこの時点で16点、渋谷は23点と減点を増やしていて、優勝戦線から遠ざかっていた。

もうひとつ、勝敗を左右する要素があるとしたら、それは持ち時間だった。今回、1ラップ目の持ち時間は2時間半。第8セクションをトライしている時点で、トップグループの残り時間は5分あるかないかになっていた。タイムオーバー減点を何点もらうか、それが勝負の行方を左右することもある。残り時間が少なくなって、1ラップ目の最終セクションは多くのライダーがエスケープして、自ら5点を加算した。1ラップ目にここをトライして抜け出たのは、他選手より約1時間も早く最終セクションに到着した渋谷だけだった。

2ラップ目、第2セクションで試合の流れを決定づけるシーンがあった。黒山が、1ラップ目に続いて再び5点。今度は入り口の大岩が登れずの5点だった。野崎は1ラップ目同様、1点。小川友幸はクリーン。1ラップ目は小川友幸の11点に対して黒山が12点、野崎が14点となっていたが、2ラップ目に入って、小川友幸が少しずつ確実にリードを築いてきた。

第3セクション、小川友幸が1点をつけるが、野崎も1点。第6セクションでは黒山も1点をつけ、さらに野崎は1ラップ目に続いて第5セクションで5点になった。小川友幸の優位はいよいよ確実になっていく。

2ラップ目、黒山、野崎は1ラップ目同様に、それぞれ12点と14点でラップをまとめた。対して小川友幸は、2ラップ目には5点を1つもとらず、減点はたったの5点。1ラップ目にエスケープした最終セクションも3点で抜けて見せたのは見事だった。

タイムオーバー減点を除いて、小川友幸の減点は16点。対して黒山は24点。野崎が28点。残るは2セクションで争われるスペシャルステージ。黒山の逆転の可能性は残されていたが、それには2つのスペシャルステージを両方ともクリーンして、小川友幸の失敗を待たなければならなかった。黒山はSSの1つ目をただひとり3点、2つ目をクリーンしたが、小川友幸も2つ目をクリーンしてゴールに飛び込んだ。

渾とんとした勝負。勝利が半信半疑の小川友幸だったが、情報を仕入れてきた関係者の「おめでとう」という言葉に、初めて表情がゆるんだ。今シーズン4勝目。そして2007年以来、3年ぶりの全日本チャンピオンが決まった。

コメント

小川友幸(優勝) 「今日は我慢のトライアルでした。最後まで我慢ができた結果の勝利だったと思います。最後のセクションでは、5点になっても勝てるような状況でしたが、それでもいろんなことを考えました。滑るのではないか、スピードが足りないのではないか。それで一度止まって、雑念を振り払ってからスタートして、クリーン。勝利とチャンピオン、正直うれしいですね。ありがとうございました」

渋谷勲(5位) 「第1、第2と、ありえない失敗で5点になってしまって、それでみんなを待たずに、ひとりで先に進んで自分のペースをつくろうと思いました。でも1ラップ目は5点が多くてどうしようもありませんでした。2ラップ目は少し回復しましたが、どうにもマシンを扱いきれませんでした」

柴田暁(7位) 「SUGOは相性の悪い会場だったので、なんとか克服したかったのですが、相性の悪さがもろに出てしまいました。細かいところでミスが出て、5点になってしまうという悪い癖も出てしまいました。いいところがあっても、簡単なところで5点になっているようでは、まだまだです。ライディング技術ももちろんですが、考え方など、多方面に課題が山積みです」

決勝
順位 No. ライダー マシン タイム減点 総減点 クリーン数
1 2 小川友幸 Honda 6 27 15
2 1 黒山健一 ヤマハ 5 32 13
3 3 野崎史高 ヤマハ 0 38 8
4 4 小川毅士 ベータ 1 45 10
5 5 渋谷勲 Honda 0 55 7
6 6 田中善弘 ベータ 0 75 3
 
7 8 柴田暁 Honda 0 80 3
10 9 斎藤晶夫 Honda 0 93 2

 

ポイントスタンディング
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 小川友幸 Honda 129
2 黒山健一 ヤマハ 124
3 野崎史高 ヤマハ 97
4 渋谷勲 Honda 93
5 小川毅士 ベータ 87
6 田中善弘 ベータ 68
 
7 柴田暁 Honda 67
8 斎藤晶夫 Honda 42
12 尾西和博 Honda 6