round 1

October 17 2010
All Japan Trial Championship Kyosei driver Land
第6戦 キョウセイドライバーランド

小川友幸、タイトルへ向けて逆転V

全日本選手権も残り2戦。今回の中部大会を終えると、残るは最終戦のみとなる。ここまで2勝3敗で、トップとわずか3点差ながらポイントをリードされている小川友幸(Honda)は、地元大会でもある中部大会に背水の陣で挑んだ。

競技の滑り出しとなる第2セクションで、小川は絶好調をうかがわせるライディングを見せた。多くのライダーが攻略しきれずに5点となった最後の階段上の岩場で、野崎史高(ヤマハ)、黒山健一(ヤマハ)が5点となる中、小川毅士(ベータ)が2点、渋谷勲(Honda)が1点と、攻略の糸口が見えたところで、最後にトライしたのが小川友幸だった。ここを見事なタイミングでクリーンでクリアし、試合を優位に進めるきっかけを作った。

しかし直後の第3セクションは、小川毅士が2点、黒山が1点、渋谷がクリーンする中で5点を喫し、築いたリードを、自ら振り出しに戻してしまった。この後、ライバルを含め、クリーン競争で試合が進んでいく。だれがどんな失敗をするかによって勝負の明暗が分かれるが、今回は完全なシーソーゲームとなった。だれかがミスをすれば、次にまた別のだれかがミスをして、トップの座が入れ替わっていく。しかし、そのシーソーの揺れ幅は、ほんのわずかでしかなかった。

その後小川友幸は、第9セクションで1点、第11セクションで2点をつけたのみで1ラップを終了。第3セクションでの5点と合わせ、1ラップ13セクションのスコアは8点となった。小川友幸を2点差で追うのは、小川毅士。第11セクションでの5点によって単独トップから滑り落ちて、2位で試合を折り返した。

ポイントリーダーの黒山は11点で3位。黒山は第12セクションで5点を取って、やはりその時点でのトップから滑り落ちた。

渋谷は第6セクションまでを3点でクリアし、その時点でトップに立ち好調をアピールしたが、第7セクション以降、突如崩れて3連続5点。第12セクションでも5点となって、1ラップ目で大量23点を喫した。同じく序盤に2連続5点を取った野崎にもリードを許したばかりか、スーパークラス2年目の柴田暁(Honda)と同点の6位で1ラップ目を折り返すことになった。

  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 渋谷勲渋谷勲
  • 渋谷勲渋谷勲
  • 柴田暁柴田暁

2ラップ目、試合はまた小刻みに動きながら終盤へ向かっていく。まず第1セクションで小川友幸が2点減点。トップ5の中で、第1セクションで減点したのは小川友幸だけだった。トライアル競技が、技術もさることながら、ちょっとしたメンタルの動きで大きく左右される証ともいえる。

しかし次の第2セクション、小川毅士、黒山とライバルが5点を喫し、これによって試合はまた小川友幸がわずかにリードした。

ところが次の第3セクションで、小川友幸は1ラップ目に続いてまたも5点。小川毅士、黒山はクリーン。ここで小川友幸の総減点は15点、小川毅士も15点、黒山健一が16点と、三者がほぼ横並びとなった。1ラップ目に減点が多かった野崎もこの時点で19点と、調子を戻してきて上位陣に追いつきつつあった。

その後、黒山は最終セクションまですべてのセクションをクリーン。13セクション2ラップを終えて、黒山の減点は16点だった。小川友幸は、第6セクションで1点の減点を喫して、総減点16点。黒山と同点ながら、クリーン数で黒山が上回り、順位は2位となった。この2人に1点差で、小川毅士。さらに3点差で野崎と、上位陣の接近戦は最後の最後まで続けられた。

13セクション2ラップを終えて、残るは3セクションで構成されるスペシャル・セクション。お客さんに豪快なトライアルテクニックをじっくり見てもらおうという趣向のこのスペシャル・セクションは、油断なく走ればクリーンも出しやすい設定となっている。そのため、ここでの逆転劇は、あまり起こりえないはずだった。

上位陣では、小川友幸が早めのトライ。最初のセクションを美しくクリーンしていく。これに続いてトライした野崎が失敗し、5点。さらに黒山も、野崎と同じく5点となった。最後の最後に試合が大きく動いた。黒山は、16点に5点を加えて21点で試合を終えた。小川友幸、小川毅士はスペシャル・セクションの3セクションはすべてクリーンで、それぞれ16点と17点。これで勝負は決まった。第6戦にして3勝3敗。小川友幸がわずか2点差ながらランキングトップを守って、最終戦を迎えることになった。

渋谷は、2ラップ目を6点と調子を戻したが、1ラップ目の23点が大きく、5位に甘んじた。序盤の好調ぶりを考えると、勝てるチャンスもあっただけに悔しい結果だった。

若手の伸び盛り柴田は6位。上位陣にひけを取らないクリーンを見せるなど、今後の成長を期待させる走りを見せたが、本人はこの結果に納得はしていない。

2010年シーズンもあとわずか。最終戦は10月31日に、宮城県のスポーツランドSUGOで開催される。

コメント

小川友幸(優勝)「スペシャル・セクションを前に同点。クリーン差で負けているというのを聞いていましたから、僕にできることは、先に走ってクリーンをし、ライバルにプレッシャーを与えることだけでした。スペシャルでの逆転は、まずあり得ないと思っていたのですが、その作戦がうまくいったのか、結果は黒山選手が5点を取って逆転勝利です。正直うれしい勝利ですが、第3セクションで2回とも5点になるなど、練習では1回も失敗しないような失敗もしていますから、試合はつくづく難しいものだと思いました。ポイントはリードしましたが、最終戦は上に出たもの勝ち。とにかく勝ちにいくだけです」

渋谷勲(5位)「今日は散々でした。1ラップ目に、取らなくてもいい5点を4個も取ってしまい、そこで一気に気持ちが沈んでしまいました。まだセッティングに悩んでいるところがあって、それがギアの選択など、ライディングの迷いにもつながってしまった。2ラップ目はその点は克服できて減点も6点にまとめられましたが、間に合わず。野崎選手とのランキング3位争いも気になっているのですが、最終戦でがんばるしかない結果になってしまいました」

柴田暁(6位)「今回は僕好みの会場だったので、今までにない成果を望んで試合に取り組みました。それがいい面に出るところもあったのですが、結果的に空回りしたところも少なくなかったです。終わってみれば、今までと同じようなポジションに甘んじることになりました。1ラップ目は渋谷選手と同点だったので、なんとか競いたいと思ったのですが、2ラップ目に彼らは大きく減点を減らしてきたのに対し、僕は減点を増やしてしまいました。1ラップ目でクリーンしているところでも5点になっているので、まだまだ課題は山積みです」

決勝
順位 No. ライダー マシン タイム減点 総減点 クリーン数
1 2 小川友幸 Honda 0 16 23
2 4 小川毅士 ベータ 0 17 23
3 1 黒山健一 ヤマハ 0 21 24
4 3 野崎史高 ヤマハ 0 25 20
5 5 渋谷勲 Honda 0 34 20
6 8 柴田暁 Honda 0 51 15
 
10 7 尾西和博 Honda 0 88 7
12 9 斎藤晶夫 Honda 0 111 2

 

ポイントスタンディング
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 小川友幸 Honda 109
2 黒山健一 ヤマハ 107
3 渋谷勲 Honda 82
4 野崎史高 ヤマハ 82
5 小川毅士 ベータ 74
6 田中善弘 ベータ 58
 
7 柴田暁 Honda 58
8 斎藤晶夫 Honda 36
12 尾西和博 Honda 6