5年ぶりに鹿野町の会場で開催される全日本トライアル中国大会。ここまでの4戦を2勝で終えた小川友幸(Honda)は、同じく2勝のライバル、黒山健一(ヤマハ)とランキングポイントを同点でこの大会を迎えた。今シーズン、この大会を含めての残り3戦、いわばもう一度スタートラインに立っての戦いとなる。
会場は、大きな岩が点在する深い森の中。清流の沢もあり、トライアルらしいシチュエーションがそろっている。
序盤、小川と黒山は、クリーンをしたり5点をとったりと、シーソーゲームを演じた。10セクションを終えたときには、両者は減点8点で同点。クリーン数で小川が1つ優位に立っているという、互角の戦いだった。しかしその後、11セクションで小川が3点、黒山が1点で2点差となり、そのまま1ラップが終了。わずか2点差をもっての2ラップ目の戦いとなった。
この2人の戦いについてこれるライダーは、今回は現れなかった。3位の小川毅士(ベータ)は、小川友幸より8点多い24点、野崎史高(ヤマハ)は28点、表彰台の常連となった渋谷勲(Honda)は29点で、上位を取り戻すタイミングをうかがっていた。
しかし、この日の敵は、ライバルや行く手を阻む大岩より、暑さだった。気温はぐんぐんと上がり、日差しの強いところでは35℃を軽く超えようかという猛暑。こんな中でマシンの操作に格闘するライダーたちにとって、正確なライディングには、強じんな肉体と同時に冷静な頭脳も必要だ。しかし、この猛暑は、どのライダーにも影響を及ぼした。同時に、岩の表面にのった土はより滑りやすいコンディションを演出し、状況はより過酷になっていた。
2ラップ目に、減点を減らせたライダーは、ほとんどいなかった。逆に小川友幸は、1ラップ目より10点も減点を増やしてしまった。これが決定的な敗因となった。ライバルの黒山は、減点を増やしながら、最終的には小川友幸に12点の差をつけて、勝利を奪った。
チャンピオンシップポイントでは黒山が3ポイントリード。残りは2戦。小川友幸にとっては、今後一戦一戦がさらに重要になった。
小川友幸(2位)「1ラップ目はシーソーゲームでしたが、黒山選手も僕も、あまり乗れていたとはいえませんでした。しかし、2ラップ目にばん回すべきところを、減点を増やしてしまって、勝利をものにすることができませんでした。尋常ならぬ暑さも、影響していたと思います。これで残り2戦。僕は2戦とも勝つしかないので、そのつもりで精一杯がんばりたいと思います」
渋谷勲(5位)「前半は早めにトライしていたのですが、思うようなライディングができないこともあって、ライバルの走りを見るように作戦を変えてみました。ところが今度は、いろんな情報で混乱してしまって、しかも時間も足りなくなってしまいました。SSの2セクションを残して残り5分となってしまって、残念ながら申告5点としました。5位と成績はよくないですが、この内容で5位ならラッキーだったのではないかという気もしています」
柴田暁(7位)「今日はうまく走れなかったですね。暑さにもまいったし、セクションが長いのにも往生しました。まだがんばれるのに、時間切れで5点というところがいくつもありました。成績も7位に落ちてしまいましたが、課題を克服して、6位の座をキープできるように、そしてその上を目指して、またがんばります」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
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1 | 1 | 黒山健一 | ヤマハ | 1 | 36 | 12 |
2 | 2 | 小川友幸 | Honda | 0 | 48 | 11 |
3 | 4 | 小川毅士 | ベータ | 0 | 56 | 8 |
4 | 3 | 野崎史高 | ヤマハ | 2 | 60 | 8 |
5 | 5 | 渋谷勲 | Honda | 1 | 73 | 6 |
6 | 6 | 田中善弘 | ベータ | 0 | 88 | 3 |
7 | 8 | 柴田暁 | Honda | 0 | 93 | 3 |
10 | 9 | 斎藤晶夫 | Honda | 3 | 105 | 2 |
12 | 7 | 尾西和博 | Honda | 0 | 117 | 1 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 黒山健一 | ヤマハ | 92 |
2 | 小川友幸 | Honda | 89 |
3 | 渋谷勲 | Honda | 71 |
4 | 野崎史高 | ヤマハ | 69 |
5 | 小川毅士 | ベータ | 57 |
6 | 田中善弘 | ベータ | 49 |
7 | 柴田暁 | Honda | 48 |
8 | 斎藤晶夫 | Honda | 36 |