前戦に引き続き、天気予報のとおり、土曜日の晴天から一転、日曜日は雨の一日となって、ライダー、観客、関係者ともに苦しい戦いを強いられることになった。
そのような中、本領を発揮し、勝利を収めたのは小川友幸(Honda)。最終セクションでの大逆転で、前戦の近畿大会に続く2連勝。これにより黒山健一(ヤマハ)と同点ながら、ランキングトップとなった。
今回はこれまでの10セクション3ラップに代わって、9セクション(当初は10セクションだったが、1セクションがキャンセル)2ラップに加え、国際A級スーパークラスのみ2セクションのスペシャルステージ開催という試合形態となった。
序盤、第3セクションまでをすべてクリーンしたのは小川だけだった。第4セクションは、金曜日までの大雨でセクションが水没してキャンセル。続く第5セクションは、流量の増した川を渡って大岩を上る難セクションだ。ここでは小川も5点となった。続く第6セクションで小川は痛恨のミス。滑りやすい難セクションではあったが、小川の力量を持ってすればクリーンはたやすいはずだった。しかし、最後のポイントを攻略できずに、5点。
ここまで、ライバル黒山に最大7点差をつけていた小川だったが、第5、第6セクションで、そのリードを一気に帳消しにしてしまった。黒山とは同点、逆に野崎史高(ヤマハ)に3点のリードを奪われた。
後半の難セクションでは、黒山が3点で抜け出て優位を固めていった。9セクションによる1ラップが終わったとき、トップは黒山の18点、続く野崎が19点。小川の減点は21点、3位で試合を折り返すことになった。
2ラップ目も、難セクションは変わらない。雨は時折激しくなり、また止んだりする。2ラップ目も、第3セクションまでをすべてクリーンしたのは小川のみ。黒山は2点、1点と減点し、野崎は第3セクションで5点となった。これで勝負は分からなくなった。
小川は第7から3連続で5点を喫するなど、ライバルが減点すれば、こちらもまた減点するという状況で、トップ3は接近戦を演じた。そのまま、9セクション2ラップによる戦いが終わり、勝負はスペシャルステージにもつれ込んだ。
2ラップを終えて、小川の減点は40点。これに対して野崎が39点、黒山が36点と、僅差。しかし、スペシャルステージはこれまでに戦った第9セクションと第10セクションを使用し、さらに第9セクションは2ラップの結果を踏まえ、少しラインが広げられ、難度が下げられた。こうなると、逆転は難しい。
小川にできることは、この2つをクリーンするしかない。まず小川は、2つのセクションをきっちりクリーンして、ライバルの動向を待つことになった。最初の、第9セクションは、野崎もクリーン。ここで、黒山が2点。点差はさらに縮まったが、それでも黒山のトップは変わらない。ここで3人は、1点差ずつで並んで最終セクションに入るという、まれに見る接戦となった。
まず野崎がトライ。ところが野崎は、最後のゲートマーカーをはねてしまい、5点となった。続く黒山は岩の上から落ちてしまう。なんとかふんばってトライを続行するも、オブザーバーの判定は転倒の5点。ライバルが最終セクションで相次ぐ5点となる中、冷静にクリーンで走りきった小川が、最後の最後で勝利を勝ち取ることになった。
これで小川と黒山は2勝2敗で同点。ランキング順としては、同点ながらも小川が1位、黒山が2位となった。残りは3戦。両者の争いは振り出しに戻り、し烈なタイトル争いが始まる。2007年に小川がチャンピオンを獲得してから3年。再び勝利の可能性が見えてきた。
小川友幸(優勝)「序盤、調子がよい中、みんながクリーンしているところで5点になり、リードが帳消しになってしまいました。今日は、クリーンも多かったのですが5点も多くて、それで苦しい展開になってしまいました。5点が多かったから、2位かな、3位はいやだなと思いながら結果を待つことになったのですが、ライバルが最後に5点となって勝利しました。彼らは納得がいかない5点だったようで、ちょっと後味の悪い勝負になりましたが、正直、勝ててうれしいです。残り3戦。2007年のような戦いがまたできるように、後半戦もがんばります」
渋谷勲(4位)「今日は前半がまったくダメでした。第5セクションで水を吸ってしまい、それもあってマシンも調子を崩してしまって、乗りきれませんでした。それでも、最悪だった1ラップ目から、2ラップ目に4位までポジションを上げることができました。満足はしていないですが、こんな状況では悪くない結果だったと思います」
柴田暁(6位)「今日は厳しい戦いになって、走っていておもしろかったです。つまらない5点が前半だけで4個もあり、それだけで20点ですから、成績はもっと上げられたのだろうという悔いもあります。しかし、満足いく走りもあり、いろんな思いが絡みあっています。次は、今日のような悔しい部分をなくして、上に食い込めるようにしていきたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 小川友幸 | Honda | 0 | 40 | 10 |
2 | 1 | 黒山健一 | ヤマハ | 0 | 43 | 5 |
3 | 3 | 野崎史高 | ヤマハ | 0 | 44 | 7 |
4 | 5 | 渋谷勲 | Honda | 0 | 64 | 6 |
5 | 4 | 小川毅士 | ベータ | 0 | 73 | 2 |
6 | 8 | 柴田暁 | Honda | 0 | 78 | 0 |
9 | 9 | 斎藤晶夫 | Honda | 0 | 94 | 0 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 小川友幸 | Honda | 72 |
2 | 黒山健一 | ヤマハ | 72 |
3 | 渋谷勲 | Honda | 60 |
4 | 野崎史高 | ヤマハ | 56 |
5 | 小川毅士 | ベータ | 42 |
6 | 田中善弘 | ベータ | 39 |
7 | 柴田暁 | Honda | 39 |
8 | 斎藤晶夫 | Honda | 30 |