round 1

April 11 2010
All Japan Trial Championship Kodanoura Wadayama Tanaka Forest Farm
第2戦 小田浦和田山タナカ森林農場

渋谷勲が3点差で勝利を逃す

2010年全日本選手権トライアル第2戦九州大会が、初開催となる、熊本市から1時間の、八代海に面した森林の会場で行われた。パドックは海水浴場施設を利用した、気持ちのよい会場だった。しかし、会場が新しく、地面がトライアル向けに固まっていないため、ラインができておらず、新しい会場ゆえの難しさに苦しむシーンが多く見られた。

こうした難しいセクションで実力を発揮したのが渋谷勲(Honda)だった。第2セクションでこそ、マシンを空中で回そうとして失敗し5点の原点を受けたが、渋谷が1ラップ目で受けた5点は、このセクションのほかは、1ラップ目にスーパークラスの全員が5点となった第5セクションのみだった。

この日、好調の渋谷は、1ラップ目を終えたところで、2位につけた田中善弘(ベータ)に5点差、チャンピオンの黒山健一(ヤマハ)には10点差という大差をつけ、本来の実力を見せた。しかし、各セクションで好スコアをマークした一方、ライバルの動向をしっかりと見極めながら走行していたため、2ラップが終わったところで9点のタイムオーバーが生じてしまった。それでも、2ラップを終えたところで、2位の黒山に2点差をつけてトップを守っていた。

好調の渋谷にはやや差をつけられたものの、小川友幸(Honda)もしぶとい試合運びを見せた。5点が多く、トップには離されてしまったが、野崎史高(ヤマハ)との3位争いはし烈なものとなった。2ラップが終わったところで、野崎、小川、田中が53点で同点。さらに若い柴田暁(Honda)が55点と、2点以内に4人がひしめく大接戦となった。

スーパークラス2年目で、めきめきと頭角を現している柴田は、1ラップ目には黒山をしのぐ4位。その後、黒山や野崎に逆転を許す結果となったが、2ラップを終えて、大先輩の田中を射程に入れた6位となっていた。

  • 渋谷勲(中央)、小川友幸(右)渋谷勲(中央)、小川友幸(右)
  • 渋谷勲渋谷勲
  • 渋谷勲渋谷勲
  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 柴田暁柴田暁

午前中の2ラップの後、ややインターバルを置いて10セクション1ラップの決勝が行われた。A級ではトップ15名のみが決勝に進出したが、スーパークラスでは12名全員が決勝を走行。決勝の持ち時間は1時間と短く、ギャラリーは全セクションを追いかけられるほど時間的な余裕がなかったが、自分のお気に入りのセクションで最後の勝負を待ちかまえ、観戦を楽しんだ。

最後の10セクションを迎え、トップの渋谷は2点差を守りきろうと、最後にスタートを切った。この日は随所に5点のリスクがあるセクションがあったため、2点のアドバンテージはあってないようなものだった。渋谷と黒山の勝負は仕切り直しとなった。

勝負のカギは、2ラップ目に渋谷のみが上がることができた第5セクションの岩盤のヒルクライム。しかし、渋谷はここでアクションの失敗により5点となってしまう。一方の黒山は3点。2点のアドバンテージはあっという間に消えてしまった。

この結果、渋谷はわずか3点差で勝利を逃してしまった。10点のタイム減点がなければ、渋谷はぶっちぎりの優勝となる。しかし渋谷の点数は、黒山らのトライを見守ってからトライをするペース配分があってのもの。単純に速いペースで走れば、好成績につながるわけではないのが、トライアルの難しいところだ。

小川は、開幕戦と同様、最後のラップで野崎をかわして3位表彰台を獲得。まだ本来の実力を発揮しているとは言えないものの、勝負強さを見せた。柴田は5位に入ることができず、悔しい結果となったが、2年目のルーキーにとって6位入賞は大きな成果といえる。

コメント

渋谷勲(2位)「今日は2位で、おめでとうとは言えないですが、開幕戦よりは意義のある走りができたと思いますし、自分の実力も発揮できたと思います。3ラップ目は、2位と2点差ということでちょっと緊張しましたが、Hondaのマシンにもすっかり慣れていたし、『ぱわあくらふと』のエンジンも僕のライディングに合ってきているので、次こそ、同じ人を勝たせないようにやりたいと思います」

小川友幸(3位)「3位はよくはない結果ですが、一時は3人くらいが同点でいたので、その中から抜け出すことができたのはよかったです。セクションが厳しかったので、ライバルも5点を取っていたのですが、こちらも惜しいところまでいって5点を取ってしまい、同じような結果となってしまいました」

柴田暁(6位)「やっぱり悔しいです。今日は前回と違って、クリーンセクションは確実にまとめられていたので、その点はよかったです。その反面、難しいセクションで5点を取ってしまっているので、そこが反省点です。善弘さんに負けたのが、とにかく悔しいですが、減点の差がそんなに大きくなかったので、それがうれしかったです」

決勝
順位 No. ライダー マシン タイム減点 総減点 クリーン数
11黒山健一ヤマハ05114
25渋谷勲Honda105417
32小川友幸Honda27112
43野崎史高ヤマハ57815
56田中善弘ベータ28110
68柴田暁Honda08510
 
89斎藤晶夫Honda11056
ポイントスタンディング
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 黒山健一 ヤマハ 40
2 小川友幸 Honda 32
3 渋谷勲 Honda 30
4 野崎史高 ヤマハ 28
5 田中善弘 ベータ 21
6 小川毅士 ベータ 20
 
7 柴田暁 Honda 19
8 斎藤晶夫 Honda 15