round 1

March 14 2010
All Japan Trial Championship Makabe Trial Land
第1戦 真壁トライアルランド

小川友幸、スペシャルステージで辛くも2位を守る

2010年のシーズンが始まった。国際A級スーパークラスに選ばれたのは15名。開幕戦には、そのうち12名が参加している。うち、Hondaのライダーは4名だ。

2年連続でランキング2位に終わった小川友幸(Honda)は、昨年までの雪辱を晴らすべく真壁へ。小川友幸は、昨年後半にトライアルライダーにとって重要な左手人さし指を負傷しており、今オフはその治療に専念した。初戦は、その回復を確認する意味でも重要な戦いとなる。

今回は、これまでの10セクション3ラップからルールを変更。9セクションを2ラップ、その後、スペシャルステージを2セクション行うという実験的なものだった。9セクション2ラップは通常よりだいぶんセクション数が少ないが、同時に試合を進める国際B級ライダーがいることで、渋滞に巻き込まれる心配もあり、小川友幸はやや速いペースで試合を進める作戦に出た。しかしこれは、小川友幸本来のペースでもあった。

第1セクションでは1点の減点を喫した。ここをクリーンしたのは黒山健一(ヤマハ)と田中善弘(ベータ)の2人のみだったことを考えると、まずまずの滑り出しだ。

しかし第4セクションで尖った大岩を上りそこねて5点。ここでは黒山も5点となったが、野崎史高(ヤマハ)、渋谷勲(Honda)、田中がクリーンして、小川友幸と黒山が4番手を争うことになった。トップは、野崎が1ラップ目の第8セクションまで守ったが、そのまま終わらないのが全日本トライアル選手権だ。

2ラップ目、黒山が第5セクションで5点となる。ここを小川友幸は1点で抜けたため、この時点で両者は同点の12点。野崎がその前のセクションで5点となっていて13点。さらに第5セクションで野崎は1点を加えて14点。三者はきわどい勝負を続けていた。前半に好調だった渋谷は、1ラップ目に2つの5点、2ラップ目にも細かい減点を重ねて、徐々に後れを取っていった。

  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 渋谷勲渋谷勲
  • 渋谷勲渋谷勲
  • 柴田暁柴田暁

しかしその後、第6セクションで小川友幸が5点の減点を喫して3番手に。トップの黒山、2番手の野崎を追う展開となった。

4時間半にわたる9セクション2ラップの攻防は、黒山が12点、野崎16点、そして小川友幸17点となった。3人とも優勝の可能性を残し、残る2つのスペシャルステージへ。

4番手以下に目を移せば、渋谷が27点。ベータにマシンをスイッチした小川毅士と同点となっており、スペシャルステージで4位を争う。6位の田中は41点。6位以下は、上位とはやや点差が開いての戦いとなっている。

インターバルを置いて始まったスペシャルステージ。最初のセクションは大岩をぽんぽんと飛び越えていく設定。最後は3つほどの岩が並んでいて、フロントを持ち上げたまま通過していくのがポイントだ。

ここで野崎が岩に飛び移れずに5点。小川友幸と黒山はクリーンした。この時点で、最後のスペシャルステージを走ることなく、黒山の勝利が決定した。小川友幸と黒山の点差は5点。小川友幸がクリーンし、黒山が5点となってもクリーン数の差で黒山が勝利を握ることになるからだ。

最終セクション。小川友幸が上り口で失敗して5点。黒山と野崎は2点の減点でヒルクライムの頂点に到達した。この結果、2位争いは、わずか1点の差で小川友幸に軍配が上がった。序盤から中盤まで、野崎の2番手を許していただけに、スペシャルステージでの逆転2位獲得は、小川友幸の今シーズンを占う上で、大きな意味を持つに違いない。

スペシャルステージでは、トップライダーの多くが減点する中、最後にトライして見事なクリーンを叩き出したのは、昨年からスーパークラスに昇格したばかりの柴田暁(Honda)だった。柴田は7位。ルーキーでは最上位につけたが、昨年は6位になった実績があるだけに、飛躍に期待がかかる。

コメント

小川友幸(2位)「勝てはしませんでしたが、今日の2位はよかったと思います。第5セクションでの5点は痛かったですが、そのダメージを最小限に食い止めることができた戦いだったと思います。全体の台数が多いので早回りをしましたが、自分のペースを守れたのもよかったです。途中、いくつかのセクションで最初にトライしました。いろんな方法を試しましたけれど、自分のペースを守るのがよい結果を生むというのも分かってきて、それで成功した一日でもありました」

渋谷勲(4位)「4位は、おめでとうとは言えないですね。1ラップ目でそこそこの走りができましたが、2ラップ目の第4セクションで5点を取って、集中力が切れてしまいました。Hondaのマシンに乗り換えてから、すごくよい仕上がりになってきています。これ以上、黒山選手に負けたくないので、次は絶対に勝つ気で挑みたいと思います」

柴田暁(7位)「今年初めてスペシャルステージが真壁でできたので、ちょっと興奮していたところがありました。最後のスペシャルステージセクションでクリーンを出せて気分もよかったし、盛り上げられたのではないかと思うので、今日はそれだけでも気分よく終われたと思います」

決勝
順位 No. ライダー マシン タイム減点 総減点 クリーン数
1 1 黒山健一 ヤマハ 0 14 15
2 2 小川友幸 Honda 0 22 12
3 3 野崎史高 ヤマハ 0 23 11
4 5 渋谷勲 Honda 0 29 10
5 4 小川毅士 ベータ 0 32 8
6 6 田中善弘 ベータ 0 47 2
       
7 8 柴田暁 Honda 0 58 5
9 9 斎藤晶夫 Honda 0 70 4