苦しい戦いの中、小川友幸が2位を勝ち取る

2009年10月11日(日)
決勝
会場:愛知県・キョウセイドライバーランド
天候:晴れ
気温:23℃
観客数:2400人
セクション:岩・土

12セクションを2ラップ。その後、国際A級スーパークラスのみ、3つのスペシャルセクションを走るという全日本シリーズの中では異色の構成をとる中部大会。会場は岡崎市から30分足らずのキョウセイドライバーランド。広大な教習施設の周囲の山々がトライアルの舞台だ。

2連敗の後、指の負傷もあり、前戦は4位に終わり、タイトル獲得はきわめて苦しい展開となった小川友幸(Honda)だが、残り2戦も、負傷している指を守りながら、可能な限り好成績を残すべく地元中部大会に臨んだ。上りではなんとか使えるが、下りでは絶望的という指の状態から、戦いが始まる前から苦戦が予想されたが、「勝利から遠ざかっている現状だが、地元でもあるし、ここで勝ちたい。勝てるかもしれないとは思っていた」と、練習やトレーニングに割く時間が少ない中、きちんと調整ができたという実感を持って試合を迎えた。

第1セクションは小川友幸と黒山健一(ヤマハ)、そしてルーキーの柴田暁(Honda)の3人がクリーン。ところが、次の第2セクションで小川友幸は5点をとってしまう。試合は始まったばかりだが、指の痛みと戦っていることもあり、苦戦が予想される序盤となった。その後も第3セクションで1点、第4セクションで5点と、本領発揮とは言いがたいペースとなった。

1ラップ目折り返しの第6セクションの時点で、小川友幸の減点は12点。最大のライバル黒山はここまで3点。シーズン中盤から調子を上げてきた渋谷勲(Honda)が4点で黒山に続いている。野崎史高(ヤマハ)は13点。小川毅士(Honda)は18点と減点がかさみ、16点の柴田を追う展開となった。

第7、第8セクションはキョウセイ名物の、見上げんばかりのヒルクライム。このポイントでは、百戦錬磨のベテラン勢が力を見せた。渋谷がこの両セクションで5点をとり、小川毅士も連続5点。そんな中、柴田がどちらも3点で抜けるなど気を吐いた。小川友幸は1点とクリーン。負傷があることを感じさせないライディングを見せつけた。

第1ラップ、2つの5点をとりながら、総減点を15点でまとめた小川友幸は黒山に7点差の2位。渋谷は野崎を抑えて3位を守り、試合は2ラップ目に入った。

難セクションばかりが並ぶ国際A級スーパークラスのセクション群だが、さすがに2ラップ目になると、トップライダーはポイントを押さえた走りを披露。黒山、小川、渋谷と、トップ3はいずれも第4セクションまでをすべてクリーンとした。対して、野崎は5点が2つ、小川毅士は5点が2つに1点が1つと、この2人がトップグループに食い込むのは苦しい状況となった。

小川友幸は2ラップ目をよくまとめ、5点一つの、総減点7点で12セクションを走り終えた。しかしライバル黒山は、2ラップ目をたった2点で回った。中部大会は12セクション2ラップの後に、スペシャルセクション3セクションがあるため、逆転のチャンスもあるが、2ラップを終えたところで黒山と小川友幸の点差は12点。スペシャルセクションで、黒山が全部5点、小川が全部クリーンすれば3点差で小川が勝利する計算だが、現実的には逆転は難しくなった。

小川友幸と3位渋谷の点差は8点。渋谷と4位野崎の点差は20点。野崎と小川毅士の点差は9点。この9点差も、たった3つのセクションで簡単に逆転できる点差ではない。一方、小川毅士は、2ラップを終えた時点で6位。5位には若い柴田が入った。柴田と小川毅士は同点だが、クリーン数差で柴田が5位につけた。

たくさんの観客を1カ所に集めて行われる、ダイナミックな設定のセクションばかりのスペシャルセクション。ここで小川毅士が奮起し、11人のスーパークラスのライダーの中でただ一人、3つ全部をクリーンしてみせた。これにより、小川毅士は柴田から5位を奪い返して試合を終えた。

コメント

小川友幸(2位)

「今日は、初めての経験をしてしまいました。腕がつったというのはありましたが、全く言うことを聞かなくなるというのは、これまでにない経験でした。今日は、ケガのことはありましたが、久々に乗れている実感を持っての会場入りだったので、勝ちたいという意識で試合を始めたのですが、2ラップ目の後半から腕が限界で、スペシャルセクションの1つめではインした瞬間から腕がつって、どうにもなりませんでした」

渋谷勲(3位)

「マシンもいい具合に仕上がってきて、自分のライディングにも合ってきています。今回は、練習通りの走りができたかなと思います。まだ主に1ラップ目にミスが出ることが多いので、そのあたりを対策していって、がんばりたいと思います。今後は、より多くのファンの方に楽しんでいただけるようなレース展開を繰り広げられるよう、最終戦に向けて準備していきます」

小川毅士(5位)

「今回は、地元に近いこともあり、たくさんのファンの皆さんが応援に来てくれました。しかし、その応援があるにも関わらず、なかなか思うような走りができず悔しい思いをしました。本当に情けないミスばかりで、これは最下位になるのではないかと覚悟していたのですが、2ラップが終わったときに、柴田くんに僅差で負けているというのを知って、最後のスペシャルセクションで気合をいれました。それで逆転して5位には入れましたが、1ラップと2ラップの間は本当によくなかったです」

決勝リザルト

順位 No. ライダー マシン タイム減点 総減点 クリーン数
11黒山健一ヤマハ01522
22小川友幸Honda02815
311渋谷勲Honda04015
43野崎史高ヤマハ05511
54小川毅士Honda3629
614柴田暁Honda0689
78尾西和博Honda2834
915斎藤晶夫Honda01091
1010三谷英明Honda01091

ポイントスタンディング

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 黒山健一 ヤマハ 97
2 小川友幸 Honda 82
3 野崎史高 ヤマハ 75
4 小川毅士 Honda 63
5 渋谷勲 Honda 51
6 田中善弘 ベータ 46
7 尾西和博 Honda 44
8 柴田暁 Honda 42
9 斎藤晶夫 Honda 36
11 三谷英明 Honda 17