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倉敷から1時間強、岡山県の原瀧山トライアルパークは、点在する岩が見事に配置されたフィールド。昨年に続いて、2年連続の開催である。昨年同様、午前中に国際B級がスタートし、国際A級は昼からのスタートという、通常とは異なるタイムスケジュールで競技が行われた。
開幕戦以来、優勝を逃している小川友幸(Honda)は、ここが正念場。終盤3戦を勝利すれば、今シーズンのタイトルはおのずと見えてくる。
ところが試合前日の練習中、小川友幸を左手の人差し指を痛めるというアクシデントが襲った。実はこの負傷は今シーズン、ずっとかかえていたものでもあった。なんとか抑え込んで戦いを続けていたが、土曜日の練習で同じところを再び痛めてしまった。
左手人差し指はトライアルではもっとも多用する重要な部位である。これがポイントランキングトップの黒山健一(ヤマハ)と勝利を争うには致命的なトラブルとなり、苦戦を極めることになった。第1セクションで足つきを見せたかと思えば、第2から第4セクションまで連続5点減点。この時点でほぼ最下位まで順位を落としてしまい、難しいスタートとなった。
代わって好調なスタートを切ったのが小川毅士(Honda)だった。黒山、野崎史高(ヤマハ)の二人にはやや水をあけられたものの、3位のポジションをがっちりキープしてレースを進めていた。さらに独特のライディングスタイルが人気の渋谷勲(Honda)が続いている。
1ラップ目終了時点で、小川友幸はなんと6位に沈んでいた。小川毅士は3位、4位に渋谷、5位に田中善弘(ベータ)となっている。
2ラップ目、小川毅士と渋谷は、さらに好スコアをマークすべくトライするが、小川毅士は思うようにクリーンが出ず、逆に1ラップ目よりも減点を増やしてしまった。こんな中、逆境の中でもできる範囲のことをしようとトライした小川友幸が見事な追い上げを見せた。表彰台は逃したものの、2ラップ目をひとケタ減点で抑えての4位は立派だった。最終的に渋谷は今シーズン初表彰台となる3位、小川毅士は5位でレースを終えた。
今回のアクシデントで、小川友幸のタイトル争いはかなり苦しいものとなった。しかしランキング2位を守るため、残り2戦の戦い方を考えることになる。渋谷、小川毅士は、ともに1回ずつの表彰台獲得で、次は表彰台の真ん中を目指し、残り2戦を戦う。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
1 | 1 | 黒山健一 | ヤマハ | 0 | 11 | 21 |
2 | 3 | 野崎史高 | ヤマハ | 0 | 25 | 16 |
3 | 11 | 渋谷勲 | Honda | 0 | 37 | 13 |
4 | 2 | 小川友幸 | Honda | 0 | 41 | 9 |
5 | 4 | 小川毅士 | Honda | 0 | 55 | 8 |
6 | 6 | 田中善弘 | ベータ | 0 | 64 | 7 |
7 | 8 | 尾西和博 | Honda | 0 | 71 | 4 |
8 | 14 | 柴田暁 | Honda | 0 | 78 | 5 |
10 | 15 | 斎藤晶夫 | Honda | 0 | 89 | 3 |
11 | 10 | 三谷英明 | Honda | 0 | 96 | 1 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 黒山健一 | ヤマハ | 77 |
2 | 小川友幸 | Honda | 65 |
3 | 野崎史高 | ヤマハ | 62 |
4 | 小川毅士 | Honda | 52 |
5 | 田中善弘 | ベータ | 38 |
6 | 渋谷勲 | Honda | 36 |
7 | 尾西和博 | Honda | 35 |
8 | 柴田暁 | Honda | 32 |
9 | 斎藤晶夫 | Honda | 29 |
11 | 三谷英明 | Honda | 16 |
コメント
渋谷勲(3位)
「1ラップ目は失敗が多かったので、2ラップ目はひとケタ減点を目指したかったのですが、目標には少し届きませんでした。マシンのセッティング時間もたっぷりとれたし、試合感覚もずいぶん戻ってきました。次はぜひ勝利を目指して、がんばりたいです」
小川友幸(4位)
「今回は、本当に我慢の戦いでした。主治医の先生は、今回はやめろという意向でしたが、ランキングを守るためにとにかく何点かのポイントを獲得しようということでスタートしました。残る2戦は、治療についてもしっかり考えたいと思います」
小川毅士(5位)
「1ラップ目に3位につけて、さらに減点を減らして上位を狙わないといけないのに、5点が多くてポジションを落としてしまった。いけるはずのところがいけないという試合は難しいというところだが、まだそれだけの実力。もっと実力をつけたい」