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ゼッケン1をつけた2008年、小川友幸(Honda)は1勝もできずにシーズンを終えた。そして迎えた新しいシーズン、新マシンのRTL260Fに乗り、心機一転して開幕戦に臨んだ。
序盤、小川友幸らしい走りがなかなか見られない。第1セクション、チームメートの小川毅士(Honda)が攻めたライディングで1点となった。小川友幸は、それを見てトライするも、マシンをうまく加速させられずに5点となった。第2セクションでもマシンさばきが乱れて3点、さらに第3セクションでも岩の処理に足を出して3点。セクションを3つ終えた時点で、小川友幸の減点は11点。厳しい戦いとなった。
第3セクションまでで、ライバルたちは、2008年チャンピオンの黒山健一(ヤマハ)が減点10、野崎史高(ヤマハ)が減点13。その中で、小川毅士が減点9と活躍が期待された。新時代のホープとして、イタリアにトライアル留学もした小川毅士だったが、これまでは実力を発揮しきれずにいた。
その小川毅士が実力を発揮。特に圧巻だったのは、第1セクションだ。岩から岩へ宙を飛び、さらに岩を乗り越えるというトリッキーな設定のセクションを減点1で通過してみせた。これまでは、スタートで出遅れがちだった小川毅士が、第1セクションでアドバンテージを得た。
開幕戦ということもあり、スーパークラスのライダーの誰もが走りがかたかった。しかし、序盤3セクションを終えたあたりから、徐々に調子を取り戻してきている。その中でも小川友幸と小川毅士が調子を上げていった。第4セクション以降、2人は次々にクリーンしていく。特に小川友幸は、1ラップ目の残り7セクションをたった2点でまとめた。小川毅士も7点にまとめ、1ラップ目の最終セクションまで、試合を引っ張った。惜しくも最終セクションで5点となるも、2位のポジションで2ラップ目に入った。
2ラップ目。第1セクション、ほかのライダーが5点のところ、小川毅士は華麗な走りでクリーン。これで再びトップに立つ。だが、第2セクションで、今度は小川毅士だけが5点となり、し烈なトップ争いとなっていく。その中、黒山が少しずつ調子を取り戻し始める。2ラップ目の最終セクションで小川毅士が再び5点になると、黒山に追いつかれる。3ラップ目、小川毅士が減点を重ねてしまい、3位へ。
小川友幸は、3ラップ目に真骨頂を発揮する。第1セクションこそ、3ラップ目にしてようやく3点で抜けることになったが、以後はクリーンに次ぐクリーン。結局、大ヒルクライムの第9セクションで1点をついたのみで、3ラップ目をベストスコアの4点で走りきった。
2008年、ゼッケン1を背負いながら1勝ができなかった小川友幸が、初戦の勝利を物にした。また、小川毅士も3位を守り、初の表彰台を獲得した。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
1 | 2 | 小川友幸 | Honda | 0 | 34 | 16 |
2 | 1 | 黒山健一 | ヤマハ | 0 | 47 | 14 |
3 | 4 | 小川毅士 | Honda | 0 | 64 | 11 |
4 | 3 | 野崎史高 | ヤマハ | 2 | 73 | 12 |
5 | 10 | 三谷英明 | Honda | 0 | 118 | 3 |
6 | 14 | 柴田暁 | Honda | 0 | 122 | 2 |
7 | 8 | 尾西和博 | Honda | 0 | 123 | 2 |
8 | 15 | 斎藤晶夫 | Honda | 0 | 133 | 3 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 小川友幸 | Honda | 20 |
2 | 黒山健一 | ヤマハ | 17 |
3 | 小川毅士 | Honda | 15 |
4 | 野崎史高 | ヤマハ | 13 |
5 | 三谷英明 | Honda | 11 |
6 | 柴田暁 | Honda | 10 |
7 | 尾西和博 | Honda | 9 |
8 | 斎藤晶夫 | Honda | 8 |
コメント
小川友幸(優勝)
「とりあえずの目標としていた開幕戦ダッシュができました。序盤は走りがかたくて、減点も多かったのですが、ライバルのペースを気にすることなく、自分のペースで走ることを心がけて早めにトライするようにしました。そうしたら、自分の調子も取り戻せました。チャンピオンをとってから、次の1勝までが長かった。マシンの仕上げも、まだまだこれからですので、状況はよくなる余地があります。今年はいきますよ」
小川毅士(3位)
「勝てそうだったし、ここで勝っておかなければと思い、今は悔しいです。でも初表彰台ですから、その点は素直にうれしい。第1セクションは、みんなクリーンしてくるものと思ったけど、なぜか僕だけいけました。勝てなかった、そして2位にもなれなかったのは、3ラップ目に減点を増やしたのが原因です。完全な体力不足です。ライディングがうまくいったかどうかという以前に、まるで身体が動かなくなっていました」
三谷英明(5位)
「5位という順位は、今回限りかもしれません。去年久しぶりにスーパークラスに復帰して、過激なセクションになかなかついていけなかった。でも、1年走って少し慣れてきたところで、自分なりに結果を出す方法を身につけてきました。体力的には、本当に厳しかったので、すべてのセクションを正面からあたらず、可能性のあるところに集中してトライしていたのもよかったかもしれません」