小川友幸、クリーン差で惜しくも2位
2008年10月12日(日)
決勝
|
会場:キョウセイドライバーランド
天候:晴れときどき曇り
気温:23℃
観客:2000人
セクション:岩、泥 |
全日本選手権の中でも、中部大会は特別な大会だ。通常は10セクション(11のときもあり)を3ラップするが、ここではまず12セクションを2ラップ、さらに見応えのあるスペシャルセクションを3つこなしてゴールする。このシステムを採っている大会は、中部大会だけ。セクションの難度は、そそり立つヒルクライムと点在する大岩が複雑に組み合わさっているため、全日本選手権の中でも比較的高い。
小川友幸(Honda)にとって、ここは地元大会となる。昨年はこの大会で2007年の全日本チャンピオンを決定した。今シーズンは、この大会を含めて残り2戦。一年の締めくくりに向けて大事な大会でもある。
今シーズンの小川は、ここまで2位4回、3位1回。優勝4回、3位1回のライバル、黒山健一(ヤマハ)に比べ、不本意な戦いを続けてきた。タイトルの決定は最終戦までもつれこみそうだ。しかし、全部で7戦しかないシリーズ戦のうち、黒山が4勝。流れは大きく黒山に傾いていた。小川にできることは、残る戦いで最善を尽くすことだ。
いつものように、セクションを1つ2つこなすうちに、優勝争いは小川と黒山にしぼられてきた。そして第3セクション。小川がミスをして足をつき、マシンを運び出したため2点に。黒山はここを登りきれずに5点。さらに第5セクションで黒山が時間に追われてぎりぎりでセクションアウトして3点となると、小川はここをクリーン。前半6セクションを終えて、小川は黒山に6点リード。幸先のいい序盤戦となった。
このあとのセクションで、黒山の5点がクリーンと誤ってパンチされたまま試合が進むというハプニングが発生。ここは小川も5点を取っていたため、本来点差は変わらないはずだった。しかし、このハプニングで6点差は一気に1点差。小川はその後、2点減点で1ラップを終えたため、黒山が逆転トップに立った。しかし両者の差はたった1点。試合はまだまだ混沌としていた。
1ラップ目、3位につけたのは野崎史高(ヤマハ)で、減点は32。小川と黒山は10点台前半。トップ2人の技術がいかに卓越しているかが分かる。
2ラップ目。見かけの1点差を追う小川は、1ラップ目に勝る好調ぶりを見せていた。第6セクションまで、失点は第5セクションの2点のみ。対する黒山は、第2セクションで1点、第5セクションで5点と、小川の優位は揺るがないように思えた。
しかし、この日の小川にとっては、第7、第8セクションと2つ続くヒルクライムが鬼門だった。ここを2つとも5点。一方、黒山はここを1点のみで抜けてきたため、一気に9点の差をつめられることになった。第11セクションでも1点を失い、ラップ後半はすっかり黒山にペースを握られてしまった格好だ。
第12セクションを終えて、残すは3つのスペシャルセクションのみ。2つをクリーンした小川だったが、2つ目で3点。黒山はここで5点減点で、2人の戦いは終了した。2人には、ともに1ラップ目に対して2分間のタイムオーバー減点があった。黒山の1ラップ目のパンチの打ち間違いが訂正された結果、2人の減点は同点。減点数が同点の場合は、クリーン数の多いほうが勝利となる。クリーン数は小川の18に対して、黒山が19。クリーン数1つの差で、勝利はまたしても黒山のものとなった。
黒山は今シーズン5勝目。残り1戦の今の時点で、小川の黒山に対する総合ポイントのビハインドは15点。小川が優勝しても、黒山が10位以内に入ればタイトル獲得が決定する。
3位争いは、2ラップ目で思うように減点を減らせなかった田中太一(Honda)が野崎に敗退。4位となった。その田中に9点差、5位となったのが、去年の北海道大会を欠場して以来、全日本選手権から遠ざかっていた渋谷勲(Honda)。1ラップ目は第2セクションから7連続5点を取るなど、試合感覚を戻すには少し時間がかかりそうだ。しかしキレのあるライディングの復活は、多くのファンを喜ばせた。
|