1ラップ序盤、細かいミスもあって黒山健一(ヤマハ)を追い上げる形となった小川だったが、第8セクションで黒山がミスをしてガケを上りそこねたところで形勢は逆転。さらに第11セクションのロックでも小川減点1点に対して黒山は5点と、第13セクションの1ラップが終わったところで、小川は黒山に対して8点のリードを築いた。黒山はチームメートの野崎史高(ヤマハ)に2位の座を奪われて、3位で小川を追撃する。
2ラップ目、小川は第2セクションで失敗して足を痛めるなどのトラブルもあった。逆に黒山は、2ラップ目に本来の調子を取り戻してきた。しかし終わってみれば、黒山の2ラップ目11点に対して小川は13点。小川が大きなリードを守ったまま、勝負は最後の3セクション、SS(スペシャルステージ)に入った。
中部大会は、13セクション2ラップを走り終えたあと、本部近くに設けられた3セクションのSSを走ることで、山奥まで足を運べないファンにもトライアル観戦を楽しんでもらおうという趣向が採られている。
SSの1つ目、完ぺきな走りでクリーンを飾ったのは野崎だった。小川は1点、黒山は2点。大坂を上る2つ目のセクションでも、小川がクリーンしたのに対し、黒山は1点。リードをとる小川が、確実にその差を広げて、最後のセクションに進む。結果的には、2セクションを残して小川の勝利は決まっていたが、今回はトップライダーに多くのタイムオーバーがあり、小川も正確な情報をつかんでいなかった。最終セクションに入る段になって勝利を確信したという小川は、最後のセクションをクリーンで締めくくり、念願の初チャンピオンを獲得して2007年シーズンを終えた。
田中太一(Honda)は序盤の好調をキープできず、野崎に15点差の4位。SSの3セクションをすべて5点で終えたのも響いた。また、今シーズン2度目の全日本出場となる小川毅士(Honda)は、善戦した前回北海道大会とは打って変わってふるわず。SSのルールを勘違いして、トライはしたものの3セクションとも10点(不通過扱い)となるなど、総減点109点の5位に終わった。今季、シーズン前のケガに泣いた尾西和博(Honda)は、小川毅士同様、SSの1つ目を不通過扱いとなった。尾西は2つ目からは正しくトライができたが、SSの1つを10点となった影響は大きく、これで尾西は6位から最下位に転落することとなった。 |