小川は、第4戦近畿大会のあとに出場した世界選手権日本GPで、ヒザのじん帯を損傷するケガを負っている。いまだ完治には至らず、なによりその影響で練習量も足りない中でのレースとなった。
レースの序盤は黒山がリード。小川は第1セクションで減点1点、さらに第3、第4セクションで1点ずつと細かい減点を重ねていく。第2セクションで3点を受けた野崎史高(ヤマハ)、同じく第2セクションで5点となった田中太一(Honda)に対して、黒山は第3セクションで1点を受けたのみ。ところが、1ラップ目終盤の第8セクション、黒山が直角の岩を上りそこねて減点5点となると、流れが一変した。黒山は第8、9、10と終盤3セクションですべて5点となって、一気にトップ争いから後退した。
小川は第8セクションで1点追加。細かい減点を重ねながらも、大きなミスはなかった小川だったが、黒山が上れなかった坂の頂点の切り株から滑り落ちて5点。小川の1ラップ目のトータル減点は、結局9点となった。
黒山、小川の失速を機に、トップに立ったのは野崎だった。野崎には、ここまで減点5点が1つもなく、1ラップ目のトータルは8点。わずか1点差で、小川を上回っている。
2ラップ目に入っても黒山の調子は戻らず、勝敗の行方は小川と野崎に絞られていくことになった。野崎は2ラップ目を2点でまとめて、好調をアピールしたのが、小川はその上をいき、2ラップ目の10セクションをすべてクリーンして帰ってきた。1点差の野崎のリードはこれで逆転。レースの主導権は1点差で小川のものとなった。
2ラップ目を終えて、トップは小川で9点、2位が野崎で10点。ワンミスでレースの行方が簡単にひっくりかえる接戦状態はあいかわらずだ。一方の黒山は、2ラップ目を終えて30点と、トップ争いからは大差がついてしまっていた。
そして3ラップ目。5時間の持ち時間が残り少なくなってきたのに加え、台風5号が通過して、わっさむ地方には強烈な太陽が照りつけていた。ライダーたちの疲労は大きい。
これで減点を増やしたのが野崎だった。野崎は特に終盤、第7セクションから1点、1点、3点、5点と減点を重ねていった。これに対して小川は、3ラップ目も10セクションすべてをオールクリーン、文句なしの今シーズン3勝目となった。
6戦を終えて、小川は優勝3回、2位2回。黒山は優勝2回、3位3回。シリーズポイントでは小川が94ポイント、黒山が85ポイントとなっている。今シーズンの全日本選手権は残り3戦。小川のタイトル獲得に向けて、北海道大会は大きなステップとなったのは間違いない。
なお今回、イタリアに遠征修業中の小川毅士(Honda)が参加した。序盤、スコアに乱れがあったものの4位と、まずまずの結果を残している。
小川友幸と同じく、日本GPでケガを負っていた田中太一(Honda)は本領発揮には遠く5位。田中のチームメートであり、開幕戦前に右手首を骨折していた尾西和博(Honda)はこの大会が復帰戦となり、6位の成績を残している。
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