レース当日は、朝から雨模様。ときどき本降りになるものの、全体的に雨量はそれほど多くない。天候は昼から回復するとの予報だったが、持ち時間を使ってレースを進めるライダーたちには、天候の回復を待つ余裕はない。
ライバルたちに先がけて第1セクションにトライした小川は、ライバルがみな減点を喫する中、唯一クリーンして早くも優位に立つ。しかし、直後の第2セクションでは黒山健一(ヤマハ)のみがクリーン。小川を含む、ほかのライダーは全員減点5点となってしまった。
結果的にウエットコンディションとなっていたが、雨は小雨程度で、いずれ止むものと見られていため、ほとんど晴れ仕様のセクション設定が施されていた。そのため難易度はいたって高い。いつもなら、ひとつの減点5点は試合を左右する決定打となることも多いが、今回は取り返すチャンスがあった。
しかし、セクションの難易度が増して、国際B級の試合運びのペースが遅くなったことは、国際A級スーパークラスの各ライダーにとってちょっとした試練となった。セクション一つひとつの待ち時間が長くなり、序盤の数セクションで1ラップ3時間半の持ち時間の大半を使ってしまうことになった。
小川は最終第11セクションのヒルクライムをトライせずに、減点5点を受けて1ラップ目のゴールに向かったが、それでも3分間のタイムオーバー。減点3点を加算してしまった。一方、ライバルの黒山は、タイムオーバーを覚悟でヒルクライムにトライしたが減点2点。タイムオーバー減点は4点となった。小川の1ラップ目の減点は21点。黒山は22点。タイムオーバーを加えると、小川が2点差で黒山をリードしている。
雨が上がりはじめ、泥が乾いて、最もライダーを苦しめるコンディションとなった2ラップ目に、小川は6つのクリーンを叩きだした。1ラップ目ではトライしなかった最終第11セクションも、絶妙なアクセルコントロールで華麗に登りきった。坂の下から全開でクラッチミートをしていくライバルが多い中、小川はきちんとグリップを確かめながら、必要最小限のパワーを使って、マシンをうまく坂の頂上まで運んでいった。このセクションで、クリーンをしたのは小川ただ1人だった。
3ラップ目も時間は少々足りなかったものの、ペースを上げてセクションを回った小川は、2ラップ目に比べると減点を増やしたが、3ラップともトップを守ったまま、2007年の全日本選手権開幕戦を制した。
田中太一(Honda)は、マシンのセットアップが雨に濡れて独特の滑り方をする真壁の岩にフィットせず、最後まで本領を発揮できずに終わった。尾西和博(Honda)は開幕直前の練習中に手首を骨折、土曜日の車検ではいったん出場を認められたが、スタート時に出場を止めるよう通達があり、第1セクションをトライしたところでリタイアしている。 |