大型連休の最終日、新潟近郊の山あい、大日ケ原での全日本選手権関東新潟大会。関東エリアでの開催としては、第1戦真壁大会に続く2回目となる。会場は広大なスペースに設けられていて、主催団体に登録することでギャラリーは自分のオートバイでセクションを回ることができる。全日本の中でも、唯一のケースで、ギャラリーには好評を博しているようだ。
会場が広大なので、セクションのバリエーションも豊富だ。第1、第2セクションは土の斜面が中心となり、第3、第4は林の中のごろごろ岩、第5は雨で水量もたっぷりとなった沢、第6、第7は水を含んだ山の斜面、第8は高いせき堤を出口としたダイナミックなもの、第9、第10は大岩を越える大日ケ原の定番セクション、そして最終11セクションは滑る土の斜面を駆け上がるヒルクライムとなっていた。
小川友幸選手(Honda)は、朝からいい調子で試合をスタートした。4ストロークマシンへの乗り換えに手間どり、思うようなライディングができなかった昨年を経て、マシンにも慣れた今年だったが、開幕の2戦は実力を発揮できない不本意な戦いに終わってしまっている。しかし、この日の小川選手はしっかりと気持ちを集中させてトライに臨んでいた。
序盤は、今回から4ストロークのヤマハエンジンを積んだニューマシンに乗る全日本チャンピオン黒山健一選手(スコルパ)がクリーンを続け、小川選手はこれを追う展開となった。しかし、黒山選手は、新しいマシンとの取り組みに、徐々にライディングを乱していき、第7セクションの難関を小川選手が3点減点で終えたところで逆転。小川選手は久々に全日本の試合をリードする立場となった。
慣れないマシンと取り組んでいるとはいえ、黒山選手は強敵。小川選手は気を引き締めたまま試合を続けていく。1ラップ目が終わって、小川選手20点に対し黒山選手は24点、さらに渋谷勲選手(シェルコ)が22点で黒山選手を上回っていて、いつもの黒山選手の圧勝パターンとは異なる空気が試合を支配しはじめた。ただし各ライダーともにセクションの下見に時間をかけすぎたことで、3時間半の1ラップ目の持ち時間をオーバーしてしまう。タイムオーバー減点が加わると試合結果に影響が出ることもあって、チームは戦況の把握に腐心しはじめた。
2ラップ目、黒山選手は第1セクションから5点減点を喫して、小川選手との点差は確実に広がりつつあった。こうなると小川選手も勝ちを意識しはじめた。第3セクションで、小川選手は5点減点を嫌って確実にマシンを運ぼうとするも、その結果3点減点。今年から小川選手のマインダーを務める田中裕大が「守りに入っているぞ、攻めていこう」とアドバイス。この言葉が小川選手を再び目覚めさせた。田中は国際A級のトップを走ることもできる実力派ライダーだが、マインダーとしてもまたトップクラスの実力を持つ。
2ラップ目、減点を増やしてしまったライバルに対し、小川選手は1ラップ目の減点を1点減らしてこのラップを終え、アドバンテージは10点近くとなった。しかし不運が続いている小川選手は気を抜くことなく、注意深くトライを重ねる。
3ラップ目、コンディションの悪化もあって、減点は増えたものの、首位をがっちりキープ。Hondaマシンに乗った最初の大会以来、およそ4年ぶりの全日本優勝を飾った。強敵黒山選手に、終わってみれば14点差の圧勝だった。4ストロークのRTL250Fにとって、待ちわびた全日本選手権初優勝だ。
次回、第4戦近畿大会は5月28日に開催される。
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