開幕戦から2週間、全日本選手権第2戦は、九州熊本の矢谷渓谷トライアル場で開催された。ここ数年、全日本戦の定番となっている会場で、自然の持ち味がたっぷりの会場ながら、全体のレイアウトはコンパクトで、歩き回りやすい会場である。開幕戦はマシンをスイッチした黒山健一(スコルパ)がオールクリーンで優勝。Honda勢は2位と3位に甘んじた。
泥、水、岩と、バラエティに富んだポイントがそろっている矢谷渓谷トライアル場。国際A級スーパークラスのスタートを待っていたかのように、ぽつりぽつりと雨が降りはじめた。雨の予報はなく、予想外の展開。それでも昼には晴れるということで、セクションをどう攻めるかも天候次第かと思われた。しかし、実際には天候の変化を想定しながら試合を進める余裕は、どの選手にもなかったようだ。
1ラップ目の第3セクションで、小川友幸選手(Honda)が減点5。登れるはずのヒルクライムのスタートでタイヤを滑らせ、坂道に向かって走り出せずに終わってしまうというミス。
その小川選手を尻目に、黒山選手、野崎史高選手(ヤマハ)、田中太一選手(Honda)はクリーンを重ねていく。そして、名物の大ヒルクライムで野崎選手と田中選手の減点5に対して、ここを減点2で通過した黒山選手が、今回も優位に試合を運ぶことになった。
今回の小川選手は失点が多い展開。マシンの調子も体調も悪くなく、気持ちの入り方も、第1戦よりもむしろいいくらいという小川選手だったが、マシンを振ったあとにバランスを崩して足を出すシーンが多々あった。
一方、今シーズンから4ストロークマシンに乗りはじめたばかりの田中選手は、不慣れさを感じさせずにトライを進めたものの、まだ2ストロークの感覚が残っているようで、岩からの送り出しで前転したりと、減点5に結びついてしまうケースがあった。
1ラップ目、減点5が二つあった田中選手だったが、それでも黒山選手に次ぐ2位。ただし黒山選手の合計2点に対して、田中選手14点と、その点差は大きい。小川選手は20点の5位で1ラップ目を終えることになった。2位の田中選手とは6点差あり、ばん回も可能な範囲であった。
Honda勢が減点を重ねる中、調子を取り戻してきたのが野崎選手。野崎選手はシーズンオフに負った骨折から復活してきたところだった。そして野崎選手は、2ラップ目に田中選手をかわして2位に浮上。田中選手は野崎選手を逆転したいところだったが、野崎選手は3ラップ目をたった減点1で回ってきた。田中選手は減点8とまずまずだったが、逆転はならず。野崎選手の2位が確定した。
小川選手は、それでも2ラップ目3ラップ目とペースを取り戻しかけたが、1ラップ目の減点をばん回するまでには至らず、今回は表彰台を逃すことになった。狭い岩と岩をすり抜けたときに爪を負傷してしまうなど、不運にも見舞われた小川選手だった。
次回、第3戦北陸・大日ヶ原大会は5月7日に開催される。
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