2006年の全日本選手権シリーズが始まった。昨年、新しい4ストロークマシンがデビューしたのもこの会場での開幕戦だった。マシンとの相性を人一倍重視する小川友幸選手(Honda)は、4ストロークマシンの実力を発揮するまでにほぼ1年を要した。今年は、いよいよ実力発揮の年となるだろう。
今シーズンは、多くのライダーがマシンを替えて、新しい体制で臨んでいる。昨年ランキング2位の田中太一選手(Honda)は、今シーズンより「HRCクラブぱわあくらふと」入りをしてHonda RTLライダーの仲間入りをした。尾西和博選手(Honda)も「ぱわあくらふと」入りしている。
ライバルにも、マシンの変更があった。昨年の全日本チャンピオン黒山健一選手(スコルパ)が、ベータからスコルパにマシンを替えた。そして、世界選手権に専念していた野崎史高選手(ヤマハ)が全日本に帰ってきた。さまざまな変革で、2006年はどんなシーズンになるのか、第1戦は1年を占う意味でも、注目が集まる。
セクションは、おしなべてクリーンをねらいやすいものだったが、多くのライダーにとって最初の難関となったのが第2セクションだった。ここでは、田中選手が減点3で通過するまで、すべてのライダーが減点5。最後に黒山選手が見事なクリーンをしてみせ、序盤にして大きなリードを築いた。
それでも小川選手は、黒山選手との点差を最小限に保ったまま、試合を進めていく。野崎選手はシーズン前に足を骨折する負傷をしていて、ここでも完調ではない。渋谷勲選手(シェルコ)はマシンをスイッチして、乗りはじめたのがほんの2週間ほど前ということで、まだ本調子には遠い。田中選手は、4ストロークRTLの感覚を探りながらのトライで、1ラップ目は大きな減点をとってしまった。
2ラップ目、小川選手は1ラップ目の調子を維持してセクションを消化していた。しかし田中選手が、がぜん調子を上げてきて、不運ないくつかの1点減点のほかは、すべてのセクションをクリーンして帰ってきた。小川選手との点差は、1ラップ目の7点から4点に縮まった。この頃、黒山選手は、ただひとり別次元の戦いを展開していた。1ラップ目も2ラップ目も11あるセクションをすべてクリーンしている。
3ラップ目、田中選手は、減点2点でまとめてきた。対して小川選手は、ふたつのミスがそのまま5点減点となり、あわせて10点。これで点差は逆転し、田中選手が小川選手の上位に立った。しかし勝利は、結局3ラップ33セクションのすべてをクリーンした黒山選手のものとなった。
次回、第2戦九州大会は2週間後。2006年シーズンの波乱は、まだまだ続きそうだ。
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